園長先生のつぶやき

心に思うこと、その時感じたことをそのまま綴る、園長の徒然日記です。

2023年11月17日

先日、柿の収穫をした年長さん。

数えきれないくらい大量の柿を目の前に、こんな時こそ数を数える経験をしてみよう!ということで、年長担任N先生には「いくつあったか教えてね」とお願いしていました。

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その日の午後。

「柿の数は全部で42個でした!」と園長室に知らせにきてくれたR君。しかし、相当数の柿がとれているのを見ていたため、42個の訳がないなと思い、R君に「ん?!42個よりもっとあったんじゃない?」と少々疑いのまなざしを向けてしまいました。しかし何度聞いても42個だとのこと。「そっかそっか。教えてくれてありがとね」と言って帰すと、しばらくしてまたR君がやってきて「園長先生~やっぱり柿の数間違ってた~!正解は102個だった!」と教えてくれました。

夕方N先生と柿の数の話になると、どうやら42個も102個もどちらも違っていた様子。

翌日、今度は別のR君がやってきて、「園長先生ー!あのね、柿の数は200、300、2個だったよ!」と元気に知らせてくれました。これまた???(笑)。「R君もう一回教えて」というと、やはり「200、300、2個!」…「それは、202個か302個のどっちかなのかな?」というと「違う違う!200、300、2個だってば~」。。。とりあえず「OK!教えてくれてありがとね~」と声をかけると満足げにダッシュで走り去ったR君でした(笑)。

その日の帰り。

Hちゃんが「園長先生、あのね柿の数はね」とまたまた新たなメンバーが登場。するとHちゃんはニコニコしながら無言で『2、3、2』と秘密の暗号のように指を2,3,2と立てていました。「ん?もう一回柿の数教えて~」と言うと、やっぱり秘密の指暗号「2、3、2」と無言でニコニコしながら指だけ静かに立てるのでした。と同時に「そっかそっか!232個ってことね?!」と言うと、「そうそうそれ!」とHちゃん。

最初のR君から始まった柿数え騒動(笑)。正解は232個でした。

「42個」「102個」「200、300、2個」秘密の指暗号「2,3,2」。答えにたどり着くまでの数字は、なんだか微妙にどれも惜しい!という感じでした。おしりの一桁だけは皆合っているし、正解の数字にちょっとかすっている…そんな印象でもあります(笑)。 このいきさつを担任に話し、なんだかとっても惜しいよね~と二人で爆笑。やっぱり三ケタの数字になると覚えておくのが難しくなるのかな~とちょっとした新発見ができたようなそんな気分にもなりました。きっと教室で柿の数を実際皆で数えた時は、相当悪戦苦闘したことでしょう。

 

今自由あそびの時間には戸外で長縄あそびなども盛んです。跳んだ数を先生と一緒に数えたり「昨日は〇回だったけど今日は〇回跳べたよ!」などと教えてくれたりしています。どちらが大きい数かちゃんと理解した上で跳べる数が増えていることを喜んでいる子ども達です。また、年長児はドッジボールもこの時期から盛んになってきますが、リレーやドッジボールは人数合わせも重要です。子ども同士でチームを決める時などはそのようなポイントにも気づいて調整していきながらあそびを進めていくのも『数』に触れる大事な経験です。

クラス活動でも『ナンバーコールゲーム』というあそびは、私もクラス担任時代はよくやりました。音楽に合わせてクラス内を自由に歩いているところに担任から「2人組~」と声がかかれば近くの友だちと二人組に、「5人~」と声がかかれば5人組になるというゲームです。単純ですが、皆とあそびながら数に親しむという経験ができます。

幼稚園での活動は、ただあそんでいるように見えて、実はこういう日常の中から自然に数を数えたりどちらが大きい数か少しずつ理解したりしながら『数字に興味を持つ』という機会を意識的に設けているため、あそびながら学べる要素がちりばめられているのです。机に向かって勉強することだけが勉強ではないというのは、こういうことなのです。特に幼児期は先生が前に出て子ども達全体に何かを教えるような学びのスタイルよりも、こうしてあそびの中からたくさんのことを学んでいけるような環境づくりを意識していくことの方が、子ども達にとっては楽しく様々なことが習得できると考えています。子ども達はただ遊んでいるだけという認識しかないと思いますが、私達教員はそのような活動を計画を立てながら取り入れています。

数って1~10までじゃないんだ、232なんていう大きい数もあるんだ!という発見ができただけでも十分〇だし、232っていう数字はこんなにたくさんの数の事なんだと実際目で見て体感するということも、これまた数への興味の始まりにつながります。子ども達が数に触れ、「すごい」と驚いたり「次の数はどんなかな、もっと知りたい」と意欲を高めたり「○○まで数えられるようになったよ!」と小さな自信につながったり。

そんな興味や関心の芽を膨らませて、小学校へつなげていきたいと願いを込めて、日々あそびながら学べる環境づくりに努めています。

 

 

園長    伊勢 千春

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