園長先生のつぶやき

心に思うこと、その時感じたことをそのまま綴る、園長の徒然日記です。

2023年10月13日

10月4日の河北新報に【『育児は母親』偏見も影響か】という記事がありました。河北新報の『声の交差点』に投稿された記事を受けてのものでした。投稿の内容は、仙台市バスの車内で幼い姉妹の下の子がぐずって泣いていて、母親は懸命にあやすも、近くの席の高齢男性に「うるさい、静かにさせろ」と怒鳴られ途中下車したというものでした。その場面を目撃した投稿者が、自身も含め、周りも何もできなかったことを記事に寄せたということでした。

幼稚園で同じような年齢の子ども達と関わり、子育て真っ最中のママ達と関わっている立場からすると、その情景を想像せずにはいられず、なんとも切なくなりました。

私も子育て経験があるのですごくよく分かります。

どんなに言い聞かせても子どもの年齢によってはいい事悪い事が分からなかったり、周りの空気を読むということができなかったり。そんな年齢の時にやむなく公共交通機関を使わなければならなかった時は、「どうかぐずらず、静かに乗ってくれますように」と祈るような気持ちでした。私の娘が小さい頃は今のように『スマホで育児』という概念がなかったので、子どもをあやすグッズにスマートフォンやタブレットは入らず、ぐずってしまった時のための必殺アイテムとして、おしゃぶりやちょっとしたおやつ、小さな絵本や指人形など、様々なグッズをバックに忍ばせていたなーと記憶が蘇ってきました。それらのグッズやオムツ、着替え、ミルクなどなど、ママが子どもを連れて出かける時の荷物の量といったら、それはそれは半端ないのです。大荷物を持ちながら幼子をおんぶしたり手をひいたりしながら公共交通機関を使わなければならない大変さは、経験した人でなければわからないかもしれません。

今思い起こせば、私も子育て全盛期の時は、自分も必死で頑張っていたなーと、自分を褒めてあげたい気持ちです。そのくらい子育ては体力勝負だし様々な面で神経も使います。自分のことはほぼ後回し。現在はそんな大変な育児をやむなくワンオペで頑張っているママ達だって少なくありません。だからこそ、小さな子を連れた子育て中のお母さんお父さんには優しい世の中であってほしいと思います。子どもを泣かせたくて泣かせている親も、周りに迷惑をかけようとしてかけている親もいないはずです。

この投稿を受けて、ご年配の女性からは「最近はしつけがなっていない母親が多い。怒鳴った男性は我慢の限界だったのでは」との声も寄せられていたようです。

『しつけ』をどう考えるか、何歳くらいからを『しつけ』と捉え子どもに関わっていくかなど、考え出すと奥が深く難しい問題だとも思います。

私も以前温泉宿に宿泊した際、お風呂の中を幼稚園の年中さんくらいの男の子たちが3名、お風呂のヘリからジャンプして、飛び込んだり泳いだりを繰り返していたということがありました。ママ友かなという若いママ達も一緒で、「ほらほら~、よその人に迷惑でしょ~」と一応声はかけるものの、子ども達は全く耳を貸さないという状況が続いていたということがありました。お友だち同士で来ていて楽しくなったのでしょうが、年齢的には『公共の場』ということを親としてもしっかり教えていくいい機会だっただろうと思いました。「ほらほらだめでしょ~」とただ声をかけたところで、すんなり聞く子もいればそうでない子もいるでしょう。『言葉がけ』とは案外奥深いもので、子どもが少しでも心で理解するように言葉をかけなければ、子どもの心には全く響かずにただその子の頭上を通り過ぎるだけの言葉になってしまうこともあります。

幼稚園のスクールバス内も、もちろん一般客が乗車しているわけではありませんが、子ども達には「幼稚園バスも皆が乗っている市営バスや地下鉄と同じ」と説明しており、大きな声でおしゃべりしたり騒いだり立ち歩いたりはしないことをルールとして日々指導しています。こうして日常の場面場面で公共のマナーを知らせていくことを積み重ねています。それは幼稚園児の年齢には必要なことだからです。

今回の投稿にあったお子さんの年齢や状況は詳しく分かりませんが、3歳くらいまでは親が言って聞かせるということがまだまだ難しいという場合もあるでしょうし、お子さんのその日の体調や機嫌、個性によっては年齢がそれ以上でも難しい場合だってあると思います。

私達大人も想像力を働かせ「共存できる社会」を意識し、子育て中のお父さんやお母さんにも寄り添える寛容な心で受け入れられたら、子育てに奮闘しているママ達も救われる気がしてなりません。

 

♪10月に見つけたいいもの♪

wレインボー2回・幻想的な雲と月・R君が見せてくれた帽子付きの緑のどんぐり♪

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心がほっこりするものは案外身近にたくさん溢れているんですね。

 

 

園長   伊勢 千春

 

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