園長先生のつぶやき

心に思うこと、その時感じたことをそのまま綴る、園長の徒然日記です。

2023年09月15日

9月も半ばにさしかかりましたが、いまだ残暑が厳しく暑い日が続いております。最近は、私が帰宅する頃には、あちこちから秋の虫の声が大きく響き渡ってきます。こういう虫の声を聞いたり夜の少し涼しい風を感じたりすると、着実に秋が来ているのだと実感。しかし、日中はまだ毎日暑さ指数を一時間おきにチェックするのが今の日課になっています。暑さ指数が『危険』のレベル時は外あそびを控えるよう放送を入れ、それ以外は十分に注意を払いながら外あそびも楽しんでいます。今月下旬に予定している運動会の練習も少しずつ始まっておりますが、『危険』レベルは先週頃から出ておりませんので、水分をとったり休憩を上手く取り入れたりしながら安全に気を配りながら進めていくように気を付けています。運動会の練習が少しずつ始まると、暑さも相まって疲れも出やすくなります。ご家庭でも朝ごはんをしっかり食べ、早めの就寝を心がけてください。

さて、運動会と言えば園行事の中でも大きなイベントになりますし、我が子の様子や子ども達の様子などを観ることができるいい機会にもなります。

年少さんは『運動会』がまだどういうものかよくわかっていないため、皆と同じ行動がとれなかったり他のことが気になったり集中力が短かったり。そんな姿がきっとあると思いますが、それが年少さんの運動会というものです。普段とは違う環境の中でクラスの先生や皆と一緒にいるだけでも〇という寛大な気持ちで観ていただけると良いかと思います。

年中さんは少し運動会が意識され、皆と一緒に楽しんだり頑張ろうという気持ちが芽生えたりすると思います。ただ、まだ成長の差も大きいので、一生懸命頑張ろうという気持ちがある子もいれば、気持ちはあるけれどまだ存分に発揮するところまでいかない子もいます。個々の想いを認めながら体を動かす楽しさを知ってほしいと思っています。

そして、早く走れるようになりたいとかみんなで力を合わせて頑張ろうという意欲などが大きく育つのが年長さんの今の時期です。もちろん体を動かすことが好きな子もいれば他への興味の方が上回る子だっているでしょう。そして頑張りたいけれど早く走れないから走るのが嫌だとか頑張ることがきついと思う子もいるかもしれません。しかし、運動会を通して成長することはたくさんあります。あきらめずに最後まで頑張るとか、ひとりの力ではできないことも皆と力を合わせればできるという達成感や喜びなどは、本人でなければ味わえない感覚です。そういう気持ちを体得しながら心が大きく成長する絶好の機会です。これから先、踏ん張らなければならないことや、苦手でも本人なりにできるところまで頑張ること、そういう機会は必ず出てきます。そんなたくましい心育ての第一歩としての役割が運動会にはあるのです。ですから年長さんには体を動かすことを楽しみながら、そんな心の根底に備わってほしい生きていくために必要なたくましい力も少しずつ根付いてほしいと思っています。

体を動かすことは好きでも絵を描くことはあまり好まない子もいれば、絵を描くことが好きでも運動あそびはちょっと苦手…誰にでも得意不得意はあるものです。全員リレーなどは皆で力を合わせなければならないので、もしかするとあまり走るのが好きではない子は、少し後ろ向きの感情がでるかもしれません。しかし、その子なりの頑張りで良いのでひとりひとりのペースで取り組んでほしいと思っています。早く走れるようになることがその子にとっての最終目標ではなく、自分の出来る範囲のことをしながら皆と一緒に取り組もうとする前向きな気持ちの成長が目指したい姿ですから。

だからこそ私も担任時代はその子なりに一生懸命取り組めたら、あとは『持ちつ持たれつ』という言葉があるように互いに助けたり助けられたりするそんな心育てを大事にしながらクラス運営をしてきました。技術面の向上などというよりは子ども達のやる気や意欲、前向きな気持ちが育つようなそんなきっかけに運動会がなってくれたらという想いでした。

運動会に限ったことではありませんが、その子なりの頑張りや一人一人の個性を受け入れ許容し、苦手な子の分は周りの得意な子がカバーしていくような、そんな雰囲気が作れたらいいなと思っています。日々の教育活動の裏にはそんな子ども達の心の育ちが隠れていますし、私達教師もそういう目にはなかなか見えない部分を、丁寧に地道にすくい取っています。

何かに一生懸命取り組むことや、足りないところをカバーし自分にできることをひとりひとりが行うことができる社会は、私達大人の社会でも忘れずにいたい部分です。そんな未来を生きる子ども達を想像しながら、その土台作りをし、心の根っこにたっぷりの栄養を与えるのが幼児教育の役目だと思っています。

木も花も根っこが大事。

大きく立派になるか、イキイキ育つかは根っこしだい。

土の下の隠れて見えない部分こそが幼児期の部分なのです。そのことを私達はひとりひとり理解し、日々子ども達と関わっていきたいと思っています。

 

 

園長   伊勢 千春

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