園長先生のつぶやき

心に思うこと、その時感じたことをそのまま綴る、園長の徒然日記です。

2023年07月04日

先日、帰りのお迎えを待っていたYちゃんからこんな質問がありました。

「園長先生、あの数字は何?」

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Yちゃんが指さしていたのは、7月末に行われる仙台市議会議員選挙のためのポスター掲示板でした。

私「あー、あれはね。今度「選挙」って言いうのがあってね、数字のところにいろんな人の顔の写真が貼られるんだよ」

Yちゃん「どんな人のお顔が貼られるの?」

私「んー、それは選挙に出たいっていうおじさんやおばさん(←子どもではないことを伝えたかったのですが、大きくくくってしまいました💦)のお顔だよ」

Yちゃん「じゃあ、そのお顔が貼られた後はどうなるの?」

私「その後は、そのお顔が貼られた人の中から、だ・れ・が・い・い・か・な~って選ぶんだよ」 ( ※そんな簡単なものではないですが… )

Yちゃん「それは誰が選ぶの?」

私「Yちゃんのママやパパ、先生達みたいな大人が選ぶんだよ」

Yちゃん「じゃあ、その選ばれた人はどうなるの?」

私「えーっとね…(汗汗)Yちゃんたちみたいな子ども達や仙台にいるみーんなが楽しく元気に生活できるにはどうしたらいいかな~っていっぱい考えて、みんなが楽しく暮らせるようにしてくれるんだよ」

Yちゃん「えーすごい!Yも選んでみたい!」

私「そうだね。Yちゃんも大きくなってもっとお姉さんになったら選べるからね」

まだ4歳のYちゃんの鋭い質問ったら、もうタジタジになりました(笑)。間を開けず次々に飛び出す質問に頑張って食らいついていった園長でした💦💦

Yちゃんが興味を持った数字の掲示板。そしてYちゃんも選んでみたいと言っていた選挙。

Yちゃんの興味の質問攻撃に真っ向から真摯に答え、説明した私もYちゃんにこんな風に答えたからには大人の責任を果たさねば!と心にとめました。選ぶ側も選ばれる側も「頑張ろう、大人たち!」そう思った一コマでした。

お迎え待ちの短時間での、この濃厚な会話。子ども達の興味はいつどこでどんな時にうまれるのか分かりませんね。

 

過去にも、子どもの「なぜ?」にどこまでどのように付き合えばよいかわからない、という未就園児のママさんのお悩みを聞いたことがありました。その時の子どもからの質問は「なぜお月さまは形が変わるのか」とか「なんでまっすぐなキュウリと曲がったキュウリがあるのか」という問いだったそう。この質問をしたお子さんのこの時の年齢はまだ3歳でした。そしてお母さんは月の満ち欠けについて調べたことそのままを我が子に伝えたらしく、それが正しかったのかどう答えたらよかったのか教えてほしいと聞きに来られました。

子育てに正解や間違いはないと思いますが、子どもの年齢や状況によっても答えが変わってくるのだろうと思います。もしかすると、私だったらまだ年齢の低い3歳の子に今回のようにお月さまのことを聞かれたら、「そうだね。お月さまって、いろいろな形に変身しちゃうからすごいよね。まん丸になったり半丸になったり細っちょになったり。今日のお月さまはどんな形かな。夜になったらみてみよっか」そんなニュアンスの返答をすると思います。明確な答えには全くなっていませんが、今のこの年齢には明確な答えよりもお月さまに興味を持ったその子の想いに共感し、今日のお月さまはどんなかな、と、親子で一緒に夜空を眺めながらワクワクしたり驚いたり喜んだり。そんな感性を働かせる親子時間を楽しんでみるのもありではないでしょうか。とお答えしました。そんなことを繰り返していると、月の微妙な色の違いや雲の流れ、見える星など、新たに目に留まることも出てくるかもしれません。こうして子どもの興味や関心は様々なところに広がったり想像力がかきたてられたりひとつのこと追求してみたくなったりしていくのかもしれません。ですから、まずは子どもの『気づき』に共感すること、ふと湧いた子どもの「なぜ?」にさらりとスルーしてしまわずに、「ほんとだね。どうしてこうなってるのかな」とあえて答えを言わずに子どもと一緒にあれこれ想像してみたり考えてみたりすることを楽しむことだって大いにありだと思います。

そしていつか、もう少し年齢が大きくなって、もっと深く月の満ち欠けについて知りたいという時が来たら、その時は本質的な答えを自分で調べるようになると思うのです。

 

今回の4歳のYちゃんのハテナには、ほぼ真正面から回答し、会話のキャッチボールが次々に繰り広げられましたが、お月さまのような流れになることだってあるでしょう。子どもから生まれた興味や好奇心をどのように活かしていくのかは、受け取る側のセンスによっても様々な答えがあるかもしれません。数学のように明確な答えが出ないのが子どもと向き合うことです。子ども達はいつも「どうして?」「なぜ?」の好奇心でいっぱいです。まずはその子どもの好奇心に大人も一緒に寄り添い、驚きや喜びを共感し、時に一緒に想像の世界を楽しんでみることから始めてみませんか。

 

 

園長    伊勢 千春

 

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