園長先生のつぶやき

心に思うこと、その時感じたことをそのまま綴る、園長の徒然日記です。

2023年06月09日

6月に入りだいぶ気温の高い日が増えてきました。もうすぐ仙台も梅雨入りでしょうか。

さて、新年度が始まって、各クラスのおたよりに目を向けると、年中年長のクラスでは隣接する風の子公園からとってきたフキやヨモギの話題や、園庭の梅の木の梅をとって梅ジュースを作った話題等が盛りだくさん!3月にはフキノトウを風の子公園からとってきて天ぷらやばっけみそを作ったり春にはつくしを食したり。今年は、ワラビが群生しているポイントを見つけた先生がいたようで、「ワラビもとってきたよー!」と息を荒くして帰ってきた子も(笑)!もはや自然食材だけでも生きていけるような自然環境です(笑)。

私も自宅でフキを使った料理はしますが、生のフキを買ってくることはなく、筋がきれいにとってあり、調理するだけの状態で売られているものしか買ったことがありません。ヨモギ団子だって香りが良く春になると食べたくなりますが、ヨモギをとってきて自分で作って食べる…ということを家庭でしたことはありません。日々の生活の中ではどうしても時短や便利さに負けてしまいます。

しかし、めるへんではこうして食材探しから始まります。森の中から野生のフキを見つけ出すわけなので、フキってどんな形だろう?どこの部分を食べるのかな?など、子ども達もそれなりの知識が必要となるわけです。そして収穫したフキの筋取り体験も行います。細いフキだとなかなか筋を取るのは至難の業ですが、フキの筋を取っている時の子ども達の表情は寄り目がちで真剣そのもの!「これじゃ、食べるところがなくなっちゃうよ~」という声も聞こえていましたが、「さけるチーズみたい」「するっとむけると楽しい」なんていう声も聞こえ、こんな表現も何だか頷けます。フキは今年大量にとれたようで、甘辛煮にして美味しくいただいたクラスが多かったようです。味付けは先生達。それを食した子ども達は、「おかわり~」が続出!こんなに努力してようやく口に入る甘辛煮はそれはそれは美味しかったことでしょう。

そして、ヨモギはポイントを絞り雑草と見分けながらの収穫。最初は雑草も交じりながらの収穫で、副担任が雑草とヨモギの仕分け作業に追われているクラスもありましたが(笑)、雑草とヨモギを見極める目が日々育ってきていたようでした。ヨモギを使ってパウンドケーキを作ったり団子を作ったりと、こちらも食育につながる貴重な活動となりました。年少組さんにはまだ少しハードルが高い活動なので、来年以降のお楽しみですね☆

風の子公園ではタケノコもたくさん取れますが、これからなのか今年は不作なのか、先日タケノコ探しに行ったクラスは一本も見つけられなかったと帰ってきました。自然とはそういうものですよね。その年の天候などに左右され、常に同じ状況で食せるとは限りません。もし今年が不作の年ならば、大変残念ではありますが、子ども達にとってはそういうことを知るのも、また学びにつながります。

そして、園庭の梅の木の収穫は年少さんでも体験できました。枝の下の方は年少さん、中くらいのところは年中さん、高い枝に実っている梅は年長さんと、それぞれ皆が考えて収穫できるように先生達が配慮してくれていたようです。各クラスできれいに洗ってヘタをとって、めるへん恒例の梅ジュース作り。みんなで「カンパ~イ♪」するのが待ち遠しいようで、毎日ビンの中を覗いているかわいい子ども達です。

その他、各学年畑のお世話も頑張っています。

今、めるへんの畑ではミニトマトやピーマン、ジャガイモやスイカにインゲン等々たくさんの野菜を各学年で植えてお世話しています。どんな葉っぱが出てくるか、どんな花が咲くのかなども楽しみにしながら野菜の生長具合に熱視線を送っています。皆で植えて水やりや雑草取りなどのお世話をし、少しずつ大きくなる様子や食物の変化を楽しみ、観察画を描いたり収穫した後は皆で調理したり。野菜を洗う、葉をちぎる、混ぜる、こねる、ピーラーや包丁で切るなど、少しずつレベルアップしながらお料理体験もしています。お店で売られている野菜や家庭の食卓に出てくる野菜とはきっと子ども達の想い入れも違ってくるでしょう。このように野菜を身近に感じれば、野菜が苦手な子や食わず嫌いの子も「ちょっと食べられた」「もう一回味見したい」「おかあさんとおうちでも作ってみたいな」など、食への興味も少しずつ生まれてくると思います。

食が細くてお悩みのご家庭もあれば偏食でなかなかいろいろなものを食べてくれないなど、食に関してのお悩みは案外多いと思います。給食はどのくらい食べているだろうかとか、ほとんど給食に手をつけていないようだとか、特に入園してまだ間もない年少さんの保護者の方は心配されているかもしれません。しかし、偏食も食の細さも案外心配しなくても何とかなるものです。こうして皆と野菜を育てながら少しずつ野菜に興味を持ったり食育活動を楽しんだりしていく中で食への意識が変わってきますし、年齢が上がるにつれ運動量も増え、身体も成長して大きくなってくれば自然におなかもすいて食べる量も増えてくるものです。ですから、心配し過ぎず少し大らかな気持ちで今の子どもの状況と向き合っていくことも必要かもしれませんね。

 

 

園長   伊勢 千春

 

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