園長先生のつぶやき

心に思うこと、その時感じたことをそのまま綴る、園長の徒然日記です。

2023年02月22日

2月も下旬となり、春の便りが聞こえてくるころとなりました。

現在、暦の上では「雨水(うすい)」の季節。「二十四節気」のひとつで「降る雪が雨に変わり、雪解けが始まる時期」と言われています。文字だけ見ると、梅雨の季節を想像したくなりますが、今年で言うと、雨水の時期は2月19日~3月5日までだそう。ひな人形もこの時期に飾ると良縁に恵まれるという言い伝えもあるのだとか。当園にも今では珍しい七段飾りのひな人形を正面玄関に飾っています。ぜひ期間限定の七段飾りを幼稚園にお越しの際にはご覧くださいね。

さて、この節気通り、少しずつ春の訪れを私自身も実感しています。

園に隣接する風の子公園に散策に行ったクラスでは「ふきのとう」を見つけてきています。クラスで天ぷらにして食べたり、ばっけみそにして給食のおにぎりと一緒に味見したり。子ども達にとっては少し大人の味だろうと思いますが、春の味を体感してもらいたいと、担任達が食育として取り入れています。こんな自然の恵みをいただきながら少しずつ春の訪れを楽しみにしています。

 

さて、先日、朝一番のバスに乗ってきた子ども達がバスを降りていつもなら各教室に入っていくのに、この日は向かう先が園庭でした。どの子もわき目もふらず園庭に一直線。見ると、園庭にできたたくさんのくぼみに氷が張ってあり何とも耳に心地のよい氷の割れる音が聞こえてきました。

静寂につつまれた朝早い園庭から「パリパリッ」「パキッ」「パキパキパキッ」あちこちから氷の割れる音。

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私も思わず園庭に出てみると、子ども達が前日にシャベルで掘った土のくぼみに沿ってキレイに氷が張っていました。そして、その道をたどるように子ども達がそーっと足を踏み入れていました。「いい音がする~」「わぁ~すごい」とそれはそれは楽しそうに無心に氷を足で割っていく様子。きっと皆さんもこの感触や音が想像できるのではないでしょうか。

足で氷をパリパリと割った後は、割れた氷をそーっと持ち上げていろいろな形を楽しんだり、氷を通して友だちと顔を見合わせたり。中には氷を綺麗に洗ってくる子もいて、「園長先生の顔が見える~!」と覗いてきたので「ほんとだ。○○君の顔も見えるよ~」とお互い氷を通して顔を見合って楽しんだり。

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「せんせ~い!おっきなこおりとれた~!」「みてみて!すっごいとがってるよ」とあちこちから「みてみて」の嵐。そんな中で、R君が「園長先生!うなぎみたいな氷発見したよ」というので見せてもらうと、本当にウナギのようで、びっくりと同時に思わず笑ってしまいました。

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うねり具合といい、長さや太さといい、本当にR君が言うようにウナギのよう。右の写真の左下の部分を良ーくご覧ください。本物のウナギの顔の形に見え、空洞になっている小さな丸い黒い部分がまるでウナギの目のよう。そして口元に見える部分からたまたま子ども達が踏んでできた氷の亀裂がこれまたウナギのヒゲのよう。氷にできている小さな粒粒の水泡も何とも言えないウナギの表面ような模様でした(笑)。そして何といってもR君、ウナギを知っているのですね(笑)。

偶然できた形や模様にたくさんの想像力がかきたてられたようです。そして持ち上げた氷を地面の氷の上に落として、粉々になるのを楽しんだり散らばる氷にさらに歓声をあげたり。靴で踏んだ時と氷の割れる音が違うことも年長さんが年少さんに教えている姿があり、「やってみてごらん」とあそびの伝授をしている姿も見受けられました。こうして子ども達の想像の世界やあそびから知ることの幅が自然に広がっていくのですね。

 

朝早くに子どもをバスに乗せるお母さん達は毎日大変。お仕事で朝早く園に子どもを連れてこなければならないママ達だって大変。もちろん早起きしなければならない子ども達だって大変です。しかし、園に着いた子ども達はお部屋に着く前からこんな楽しいことにであったり歓声をあげて楽しんだりしているのです。このような自然の事象は朝早いからこそ味わえることでもあるのです。

私も娘が小さい頃は毎朝時間との闘いで必死でした。仕事をしながら朝早くに子どもを送り出す親として、子どもにかわいそうなことをしているのかもしれないとふと頭をよぎることもあり、我が子に申し訳ない気持ちになることもありました。しかし、こんな子どもたちの風景を見て、少しだけ先輩ママとして今子育てに頑張っているお母さんたちに伝えたいこと。

それは、子ども達はみんな朝早くからこんな楽しい瞬間に出合えているよ。朝からたくさんの楽しいことに出合ったり友だちや先生と笑い合ったり。だから大丈夫。子どもの世界は大人が思うほど心配がいらないようですよ。

そんな気持ちを伝えたくなった朝の風景でした。

IMG_4107 園長    伊勢 千春

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