園長先生のつぶやき

心に思うこと、その時感じたことをそのまま綴る、園長の徒然日記です。

2021年11月11日

先日、年少組のクラスだよりに『柑橘類の種を集めます!』という記事が載っていました。春に向けてアゲハチョウの幼虫のエサにしたり卵を産み付けにきたりする環境を作る取り組みのためです。

私がまだクラス担任だった頃。

当時の園長K先生ご自身が、チョウやメダカ等生き物への関心が強く、園に着任された当初から命の循環の様子を見ることができる身近な生き物の飼育をめるへんの教育環境に…というご意向をお持ちでした。畑でキャベツを作りモンシロチョウが卵を産み付けるための環境を整えたり、アゲハチョウが卵を産み付けにやってくる環境を作るため、山椒やカラタチの木を植えたり柑橘類の種を植えたり。

当時は、ミカンやレモンなどの柑橘類は寒い東北の地で育つわけがないのでは…と思っていました。ところが、子ども達と給食に出たオレンジの種を集め、ポットに植えて室内で育て始めると、芽が出て、春にはアゲハチョウのエサになるくらいにまで育ち、アゲハの幼虫たちのエサになりました。また、気温が暖かくなり室内で育てていた黒ポットを外に出すと、ミカンやレモンの葉にアゲハチョウが卵を産み付けていくということも!1㎜程度の小さな小さな黄色い卵が葉の裏についているのを見つけた時にはすごく感動しました。だって自分たちで食べたミカンの種を植え、育つわけがないと思っていた種から芽が出て、その葉にアゲハが卵を産んでいったのですから…。その頃から今でも当園では柑橘類の種を集め、育てています。

私が担任をしていた頃は子ども達の興味はその目的だけにとどまらず、家庭で食べたアボカドやピーマン、柿やスイカ等々あらゆる種を持ってきては芽が出るか試してみたい!ということで様々な種植えがブームになっていました。その頃植えたY先生のクラスの裏庭の柿の種は立派な柿の木に成長し、今年7つもの実を付けていました!記念すべき一口目を食べたY先生。「うわ~!なにこれ~!!! しっぶ~い!!!」・・・残念ながら渋柿でしたがとても立派な大きな実となっていました。

また、芽の出たどんぐりを風の子公園から拾ってきて子ども達が黒ポットで30㎝ほどになるまで育て、その後風の子公園に戻すプロジェクトをしたどんぐりの木は、昨年の時点で8m越え!そんな歴史もあります。

 

アゲハチョウといえば、これまた楽しかったのは、年長担任時代に子ども達とチャレンジしたアゲハチョウの『ウ〇コ染め』です。

たまたま見ていたテレビに、アゲハチョウのフンを集め、染め物をしている大学の先生が出ていました。上記であげたようにアゲハの幼虫はたくさん飼育しており、飼育ケースを掃除する時にはフンはそのまま処分していたということもあり、すぐに「やってみたい!!!」と思いました。子ども達に提案したらどんな反応をするだろう~と考えたらワクワクが止まらなくなったあの時の胸の高鳴りを今でも覚えています(笑)。早速子ども達に提案してみると「え~?!それって汚くないの~?!」「臭くないの~?!」「どんな色になるの~?!」と質問攻め。「先生も全く分からないんだー」と知らせると「じゃあやってみよう!!」ということになり、その日からアゲハの幼虫のフン集めを開始したのでした。アゲハの幼虫を飼い始めた頃は飼育ケースにたまるフンを掃除するのも躊躇していた子ども達が、どうなるのか知りたい!という怖いもの見たさのような興味もあってか、毎朝張り切って各クラスをまわってフンを回収。他クラスの先生達は飼育ケースの掃除をしなくてよいので、大変重宝がられました(笑)。ようやく煮だせるくらいの量が整い、煮だした時の匂いは?色は?と子ども達とあれこれ想像しました。煮だし始めると子ども達が想像していたような動物のフンの匂いは全くなく、柑橘類の葉しか食べていない幼虫のフンを煮だす匂いは、まさに漢方薬!子ども達は「変なにおい~!!」「くっさ~い!」とワーワーキャーキャー大騒ぎでしたが、これほどまでに強い漢方薬のようなにおいになるとは!と私も驚きでした。今も鮮明にあの時子ども達が大騒ぎしながらはしゃいでいた光景が浮かびます。べっこう飴のような綺麗な色に染まったハンカチは父の日のプレゼント用にしました(笑)。 後日お会いしたパパたちからは「先生~綺麗な黄色だったけど暑い中外回りで汗をかいた時に顔拭くの、ちょっと躊躇したよ~(笑)」「トイレの後、きれいに手を洗って使うハンカチがあのハンカチで、ちょっと拭くのためらったわ~(爆笑)」など面白エピソードが後を絶ちませんでした。

 

また、教務主任時代にはカマキリの卵から赤ちゃんがうまれた時の赤ちゃんのエサのために、ショウジョウバエ発生装置(←勝手に命名しています)を作るよう園長のK先生に任命されたことも。生ごみがあれば自然に発生するでしょうが、悪臭を放ったり視的に問題があったり(笑)。そこで毎日コツコツバナナを食べて皮を利用してショウジョウバエを発生させていました。カマキリの赤ちゃんのため!と子ども達も家からバナナの皮を持ってきてくれており、ショウジョウバエがいるかどうか毎日観察していました。ただ、ご存じの方もいらっしゃると思いますが、カマキリの卵からは100匹も200匹も一斉に赤ちゃんが生まれるのです。しかも3~5mmという本当に小さい赤ちゃんがうじゃうじゃと…。そんな数の赤ちゃんのエサが追いつくわけがないのです…(涙)。冷静になって考えてみるとショウジョウバエなんて台所の流しに現れたら間違いなく煙たがられるはずです。それをわざわざ待ち望み、いないとがっかりしどうやったら大量に発生してくれるかそんなことばかりを真剣に考えていた時代もありました。なかなか大量発生してくれぬショウジョウバエ…あの時は辛かったな~(笑)。でも今思い返すと最高に笑える楽しい思い出です。

 

こうして振り返ってみると、保育って楽しかったな~本当にそう思います。

めるへんの先生達には、そんな『先生楽しむ保育』を実践してほしいと常々思っています。そうすれば、きっと子ども達もいつの間にか様々なことに興味を持ち、子ども自身が主体的に行動できるような環境が自然と作られていくだろうと思っています。

そうあるように、保育の楽しさを知らせていくのが私の役目でもあるだろうと思いながら…。

 

 

園長    伊勢 千春

 

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