園長先生のつぶやき

心に思うこと、その時感じたことをそのまま綴る、園長の徒然日記です。

2021年10月19日

秋もだいぶ深まってまいりました。

隣の風の子公園に出向く子ども達は、どんぐりや色づいた葉っぱなどたくさんのお土産をもって「ただいま~!!」と元気に帰ってきます。

 

昨日、あるクラスのクラスだよりに目を通していると、こんな記事が載っていました。

『 風の子からの帰り道、R君が「風の子って、どんぐりもくりもあって虫もたくさんいてなんだか宝さがしみたいだね♪」とひとこと。子ども達にとって風の子は宝の山だったのですね。』

という、風の子エピソードが書かれていました。R君をはじめ、子ども達にとっては秋のこの自然環境が宝物に感じるくらい、魅力的なものに映っていたのですね。そしてその記事の最後は、

『 担任が「風の子にあんなにたくさんのどんぐりくりがあるなんてびっくりだなぁ~」というと、「先生、まさか今ダジャレ言った?!」とするどいツッコミが。いがぐりのトゲのようなするどいツッコミに一人大けがをした担任でした(笑) 』

と締めくくられていました。担任と子ども達とのやり取りに思わずクスっと笑ってしまう微笑ましい光景が目に浮かぶようでした。

 

春には春の、夏には夏の、そして秋には秋の楽しみ方がある風の子公園は、まさに五感をフル活用できる宝の宝庫なのです。

子ども達が親しんでいるこの公園から、視覚・聴覚・味覚・触覚・嗅覚と、それらを全て感じることができるのです。

春には桜やカタクリの花から始まり、初夏には目にも鮮やかな新緑、そして秋にはモミジをはじめとする木々の葉が黄色やオレンジ、赤や紫に少しずつ変化していく様子もみられます。また、冬になると風の子公園が一面の雪景色に変わり、季節によって本当にたくさんの色や風景を楽しむことができます。季節ごとにであう虫や生き物達にも子ども達はワクワクです。

春は特に鳥たちのさえずりも耳を楽しませてくれます。鳥たちのさえずりは園にまで届くほど。私も担任時代には、園から『鳥笛』を持参して、子ども達と一緒に鳴らして鳥を呼んだものです。そして鳥が応えてくれた時には、子ども達と「すごい!今、返事してくれたね!」と大喜びしたものです。風で木々の葉がサワサワと音を立てるのも耳に心地よく、そんな日は帰りの集まりを風の子で…なんていう日もありました。そんな環境の中で子ども達と楽しむ絵本の時間は、なんとも言えない贅沢な時間でした。

また、風の子は食の宝庫でもあります。フキノトウやヨモギ、フキや梅の実などたくさんの自然の恵みを味わうことができます。先生達とは「風の子で生活できそうだよね(笑)」なんていう会話をしているほどです。

最近は栗がたくさん落ちているため初めて栗のイガを触ったという子も。そのトゲトゲの中に栗が入っていることを初めて知り、おっかなびっくりツンツンと触っている子ども達です。たくさんの種類の葉もあるため、葉脈の違いに気づいたり手触りの違いを楽しんだりもしています。

そして、自然の中から子ども達は土のにおい、草のにおいも感じています。ヨモギの葉や梅の実を拾って匂いを嗅いで、感じたことを言葉で伝えてくれたり「先生も匂いかいでみて!」と言われ子ども達と一緒に驚きや発見を共有したりもしています。

 

五感が働くと、たくさんの驚きや発見にであいます。そして周りの人とそれを共有したくなります。共有したくなれば、自然に会話で周りともつながりコミュニケーションもうまれます。

木の樹液を触って「うわぁ~ベタベタする~触ってみて~」と大騒ぎ。ハチミツみたいだけど匂いを嗅いでみると「うぇ~変なにおいがする~嗅いでみて!くっさいよ!」とまたまた大騒ぎ(笑)。

ゲームもなければタブレットもない。遊び道具もおもちゃもなにひとつない。しかし、こんなに楽しい発見やビックリする出来事がたくさん溢れている風の子公園。

今はなかなか普通の公園では崖のぼりや木登りの体験もできないでしょう。しかしそんな中めるへんっ子達は今日も果敢に様々なことにチャレンジしています。年長さんがやってのけているのを見て、「年長さんってすごい」「自分もやってみたい」と真似をして挑戦してみたり、入園したばかりの頃はちょっとのすり傷にも敏感に反応していた子も、卒園の頃には多少のすり傷切り傷はへっちゃらになるたくましさも身についたりしていくような環境の中で、子ども達はたくさんの学びを体得しているのです。

 

心が豊かになる。

とは、こんな何気ない日常の中からなのかもしれません。

 

 

園長     伊勢 千春

 

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