園長先生のつぶやき

心に思うこと、その時感じたことをそのまま綴る、園長の徒然日記です。

2020年02月24日

全てのクラスの劇あそび旬間が終わってから約2週間がたちました。この時期はクラス担任からあそびの状況や経過がクラス便りで発行されていたと思います。私自身もこの時期はどんな風にあそびが展開されているか、子ども達はイキイキあそんでいるかワクワクしながら様子を見に各クラスに足を運んでいました。

ところがクラスをまわっても子ども達が教室にいるとは限らず…というよりむしろ教室にいるほうが少ない!いったいどこへ行っているのだろうと思うと、「オオカミを見なかったか」「鬼がこっちへ逃げてこなかったか」「宝の鍵を知らないか」などなど、とにかくあそびの内容や進み具合をしっかり把握していない私などはちんぷんかんぷん(笑)。しかし子ども達の目がとにかくキラキラを通り越してギラギラしていて、想像の世界への食いつき力が半端ない!それだけはかなり感じていました。いつもそれほど率先して自分から話しかけてこない子も通りすがりの私の腕にしがみつき「悪者をみていないか」「園長室にはいなかったか」などお話の世界に入り込んでいる様子を肌で感じ、この子はいつの間にこんなにあそびに夢中になり自己表現をするようになっていたのだろうと思うこともしばしばでした。劇あそびの劇場はひとつではなくとにかく至るところですから私もあちこちに出向き風の子公園へも数回足を運びました。

風の子公園は劇場としては申し分がないスポット!

鬼や魔女などすごい格好でなりきった先生達が一人先回りをしてヒントや仕掛けを仕込むこともあり、それが園庭から見えて爆笑したことが何度かありました。どう考えてもあの格好は散歩をしている近隣の方に見られたらそれこそ怪しく、本気で通報されてしまうのでは?!と心配したことも…(笑)そんな危険を冒してまで子ども達のあそびに寄り添い奮闘する先生達でした。

私も風の子に様子を見に行った時、ご近所のSさんが散歩中で、「ん…?園長先生。あの方は江戸時代を演出していらっしゃるのかな?」と質問されたのが下の写真のR先生。

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「いえ…あれは浦島太郎です…」答えた私も苦笑い。ボロボロの衣装を身にまとい身を削っての風の子探索中でした。

さらに進むとちょうど狼探しに来ていた年少組に遭遇。

狼探しに夢中の年少児がまたまた散策中のご近所Sさんを見つけると、「おじさーん!オオカミみませんでしたか~?!」と駆け寄る姿が。

Sさん「ん?オオカミ?オオカミというのは野生のオオカミのことかい?」

ひかり組「やせい???・・・・・・???・・・・・」

Sさん「あのね、野生のオオカミというのはね、絶滅危惧種で日本にはおそらくもういないんだよ。だから風の子にはいないな~。よその国なら…例えば…(Sさんは次々と野生オオカミの生息する国を挙げていき)」

ひかり組「・・・?・・・でも幼稚園にいたよ!それで逃げていったんだよ!」

Sさん「ん…?!幼稚園に現れた?」

こんな最高に楽しいやり取りが続きましたが、副担任のM先生が見かねてその場を離れ、狼の被り物をかぶり遠くの茂みから「ガオォォォ~」と姿を現すと、「あああ~!!やっぱりいたぁぁ~!!」と駆け出すひかり組さんでした。

残された私とSさん…。

「すみません。劇ごっこであそんでいる最中で。いろいろお付き合いいただきありがとうございました♡」と私もその場を静かに離れました(笑)。

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こんな楽しいことが約二週間の間、至るところで繰り広げられました。

風の子からそろそろ帰ろうかと思っていたら、幼稚園の方から「ウオォォォ~」と公園まで聞こえてくる声!一年目のかわいいM先生の声でした。普段は穏やかで優しくにこにこのかわいらしいM先生からは想像もつかない、こんなところまで響き渡るような迫真の演技!驚きでした!

(こんなに大きな声!そしてあの迫真の演技!やればできるのね♡)と大収穫もありました。

子ども達は楽しいこと、面白いことが大好き。そして劇あそびには失敗や間違いがない。だから自由に想像したり考えたりしながら言いたいことを言ったりアイディアを出したりできるのです。年少の副担任のM先生から「普段控えめな子がこの劇あそび中に言いたいことを言ってくるようになったし自己表現も豊かになって~」と嬉しい感想がありました。

きっと子ども達のみならず先生達もたくさんの収穫ができ成長できた実りある二週間だったと思っています。

さて2月ももう終わり。

学年の集大成の時期です。

世の中は感染症のニュースで心落ち着かないですが、このまま卒園進級を迎えられるよう願いながら過ごしていきたいと思います。

 

 

園長    伊勢 千春

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