園長先生のつぶやき

心に思うこと、その時感じたことをそのまま綴る、園長の徒然日記です。

2019年09月17日

いよいよ今週末は運動会です。

毎日、自由あそびの時間には園庭にかけっこのBGMが流れ、小さい組さんから年長さんまでリレーをしたりかけっこをしたりと楽しんでいます。

ここ数年、運動会が行われる9月は厳しい残暑もあり、それに加えて台風の心配などもあるため悩みが尽きません。時期をずらすなど毎年検討にあがりますが、様々な行事との兼ね合いや近隣駐車場借用のための日程調整等々をクリアしてのこととなると、一筋縄ではいかず、置かれている状況の中で最善を尽くすという形になっております。

今回大きな検討事項にあがったのが、やはり子ども達の暑さなども含む体力面の負担でした。特にここ数年で年少さんの人数も増加したため、午後までかかる運動会の持ち方については見直し時で、その負担を軽減するには、やはり運動会の規模縮小が大前提となります。

近年、お昼をはさんで午後まで運動会を行う幼稚園や小学校はほとんどなく、あっても小学校と地域町内会が合同で開催する運動会くらいです。そのような中、めるへんは昔ながらのお弁当持参で午後まで運動会を行っています。規模縮小が必要となれば、競技種目数を減らすかお昼をカットして午後の競技を前倒しし、昼過ぎ頃で終わりのプログラムを組むか…ということになります。

これまで保護者の皆様から寄せられたご意見等も参考にさせて頂き、職員間で話し合いを設けました。そこで、まずお弁当の時間をどうするかということがターニングポイントになりました。私の密かな想いとすれば、昔ながらの青空の下で食べるお弁当持ちの運動会は、めるへんの恒例行事のひとつでもあるのでなくなるとなれば名残惜しいなーという想い…しかし、乳児や未就園児連れで尚且つ朝も普段より早い登園となるため、さらにお弁当作りがプラスとなるお母さんの負担はかなりのウエイトをしめるだろうな…という想いが入り混じっていました。

昭和から平成、平成から令和へと時代も変わり、社会の風潮としてもいかに便利で合理的に無駄を省きながら物事を考え進められるかなど変化しているように思います。そのようなものの考え方は、もちろん社会にとって必要な部分が大いにあります。しかし、そんな時代だからこそ残したいものや風景、大切に丁寧に扱っていきたいことが何かと考えた時、利便性や合理性だけで物事をはかることはできないと思うのです。

運動会は子ども達が主役。しかしそこには応援しにきてくれる家族や運営する先生達などたくさんの人が携わってはじめて成り立つものですから、それぞれの立場でのものの考え方を総合的にみて判断していく必要があると思います。ですから、お弁当を含む運動会の持ち方についても皆からの意見を聞いて決定したいと考えていました。

まず、主婦層の30代以上の先生達からは、お母さん目線の意見もあがりお弁当時間をカットしてお昼をはさまない内容にしても良いのではという声があがりました。お弁当時間をカットして午後の競技を午前中に持ってくればお昼過ぎには全ての競技が終了できるので、午後の子ども達の負担も少なくなるのではないかというような意見でした。私の勝手な予想ではこの話し合いが行われる前から、きっとお弁当はカットの方向で進んでいくのだろうなーと思っておりましたが、なんとなんと思わぬ方向に話が展開していきました。

世代で言えば20代の若手の先生達から、「お弁当をなくしたくない!」 という強い意志を感じる意見が続出しました。 「家族みんなが青空の下、笑顔でお母さんの作るお弁当を食べているあの光景をなくしたくない」 「小さい頃お母さんのお弁当を食べるのを楽しみにしながら運動会を頑張ることができた」 「今は小学校も運動会はお弁当がないから、せめて幼稚園のうちはそんな経験を味わってもらいたい」 「運動会のお弁当はお母さんがいつも張り切って作ってくれていた」  「お母さんの作ってくれる運動会の唐揚げが忘れられない」 などなど(笑)。お弁当にかける熱い思いが若手の先生達からたくさんあがりました。まさに、自分が子どもだった頃の運動会を回想しながら子どもの立場での意見だなーという率直な感想を持ちました。そんな話を聞きながら、私自身も幼少期の運動会のこと、母が作ってくれたお弁当のことなどを思いだしました。もうほぼ実現はしないだろう母の手作り弁当をまた食べたいなー、もしそうなったら、今だったらどんな思いでお弁当を口にするのだろうかなど想像を膨らませていました。

お弁当論議だけでもこのように白熱し、言葉は正しいか分かりませんが若手からもたくさんの意見がでた楽しい会議となりました。

そしてその結果、運動会のお弁当に対する若い先生達の想いを尊重する形となりました。

当日はお母さんたちが大忙しの一日になると思いますが、先生達のお弁当への想いはきっと子どもたちの想いの代弁であり、我が子が大人になっても忘れられない思い出の一つになるとするならば、一年に一回の運動会の忙しさも頑張れそうな気がしませんか? 是非、当日よろしくお願いします☆

お弁当の時間が残る代わりにこれまでもいろいろと悩みの多かった親子競技を削る形になりました。3学年の親子競技は招集から誘導まで、各学年100組近い親子の動きが出るためかなりの時間も場所も要すること、そして狭い空間での競技内容には制限もかかること、肝心の子どもの姿が大人に遮られてしまい、観ている側は何が行われているかも分からない等、様々な問題点が寄せられていました。やむなくお母さんしか運動会に来られないご家庭もあるので、小さい子を連れて競技に参加というケースも多々あるなどクリアできることとなかなかクリアが難しいものとがあったためです。

運動会を俯瞰的にみての結果ですのでご理解いただければと思います。

 

先週総練習も終え、子ども達の楽しんでいる表情や頑張っている姿に心打たれました。

年少さんは初めての運動会。先生やクラスの友だちと入場行進をしたりかけっこをしたり。大好きな家族から離れてその子なりにみんなと一緒に行動している…そんな姿だけで、それだけで、ひとつひとつが愛おしく感じられると思います。お母さんやお父さんの顔を見つけてしまったら泣き出してしまうかもしれませんので、こっそり我が子の姿を楽しんで下さい。

年中さんはかけっこも遊戯も元気いっぱい!友だちと一緒に楽しむ部分と頑張る気持ちが交差しています。特に今年の年中さんの遊戯は昭和感満載で本当なら私もまざりたいくらいです(笑)☆☆☆

そして年長さんは最後の運動会。全てにおいて本気をだして運動会に向き合う気持ちが育ってきています。やれる力、頑張る力がひとりひとりについてきていることが子ども達の姿から感じていただけるはずです。

このように、どの学年も見どころが満載!

是非お子さんの学年以外の子ども達にも声援を送って頂き、たくさんの感動を子ども達から得てほしいと思います。

当日は手狭な中での運動会になりますが、中身の濃い充実した運動会になるよう職員一同頑張ります!!

 

 

園長   伊勢 千春

 

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