園長先生のつぶやき

心に思うこと、その時感じたことをそのまま綴る、園長の徒然日記です。

2017年06月07日

先日、今在園中のAさんからお声をかけられました。

3年前にめるへんを卒園して現在小学校3年生になったI君の話題でした。

I君のお母さんとAさんは今でも交流があり、このI君のお母さんから、息子が梅ジュースを飲みたがっているため、ネットなどで梅ジュースの作り方を調べ、作ってはみたもののI君から「この味じゃない。」と言われている…との話でした。

実は毎年この時期になると、隣の風の子公園で拾ってきた梅も気持ち程度加えながら、梅ジュースを各クラスで作っています。ちょうど運動会の時期あたりに飲み頃になるので、みんな今か今かと首を長~くして美味しい梅ジュースの完成を心待ちにしているのです。I君も幼稚園に在園中、きっと出来上がりを楽しみにしていた一人だっただろうと思います。卒園後もI君からお母さんに梅ジュースのリクエストがあったため、お母さん自身いろいろ調べて作ってはみたものの、「幼稚園の味と違う。幼稚園のはもっと美味しかった!」といわれ、いったい幼稚園ではどんなレシピで作っていたのだろうと疑問に思っていらした様子。

そこでI君のお母さんから、まだ在園中のAさんにめるへんの梅ジュースレシピを聞いてきてほしいとお願いされたとのことでした。I君の元担任にレシピを聞いてみると、梅と氷砂糖のみのいたってシンプルなレシピで、特別なことは何もしていないとの返答。

そこで数人の先生達と話題になったのは、きっとめるへんで作った梅ジュースの味自体が特別美味しかったわけではなかったのではないかということでした。きっと、I君がクラスのみんなで梅を隣の公園に拾いに行ったこと、梅をみんなで綺麗に洗ったりしっかり水を拭き取ったりしながらクラスみんなで作ったこと、そしてその梅ジュースをみんなでまだかな~まだかな~と楽しみにしながら飲み頃を待ちわびていたこと、さらに運動会でみんなで力を合わせて頑張ったり、一生懸命取り組んだりした後に梅ジュースで乾杯したこと、一瓶の梅ジュースをクラスみんなで分けて味わう訳ですから、ほんの少しのお味見程度だったこと、その全てが相まった格別のジュースだったからこそ、とびっきり美味しく感じたのではないか…という結論に達しました。そしてそんなふうにして飲んだ梅ジュースはI君にとってははじめての梅ジュースとの出会いだったんじゃないかなーと私達の想像も膨らみました。

私もうすうすそうじゃないかな~とは思っていましたが、話をした先生達もやはり同じように感じたようです。だって隠し味も、特別な何かもしていないいたってシンプルなレシピの梅ジュースでしたから…。

でもI君にとってはたったいっぱいのほんの少しの梅ジュースでも、きっと幼稚園での楽しい思い出がたくさんつまった梅ジュースだったからどんな梅ジュースよりも美味しく感じたのではないかと思います。そう考えたら、なんだかすっごく嬉しく幸せな気持ちになりました♡

・・・・・と考えると、家庭ではきっとその味は出せないでしょう。でも、卒園して何年かたった今でもそんなふうに楽しかった思い出の味を覚えていてくれているめるへんっこを愛おしく思いました。ひとりひとりの心の中にそんなふうに刻まれるひとつひとつの小さな楽しかった思い出や記憶を今在園している子ども達にも積み重ねていける、そんな保育がしたいなーとしみじみ思った出来事でした。

 

卒園したI君へ♡

もしよかったら、また秋ごろあそびにおいで♡

卒園してもめるへんっこ。いつまでもめるへんっこ。

あの時とは少し違う味かもしれないけれど、おうちの味とはまた違った梅ジュースの味にであえるかもしれないね。今度飲んだらI君にはめるへんの梅ジュースがどんな味に感じるかなー。

 

 

園長   伊勢 千春

 

 

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