園長先生のつぶやき

心に思うこと、その時感じたことをそのまま綴る、園長の徒然日記です。

2016年09月21日

運動会が今週末と近づいてきました。年少・年中さんはみんな楽しく運動会の練習を行なっていますが、毎年年長さんは『楽しい』という様子とは少し違った姿が見られます。

私が全体を通して感じる子ども達の成長のひとつに運動会があります。

私自身も親として娘の運動会や学芸会に行った時感じる気持ちには、いつのまにこんなに我が子は成長していたのだろう…という思いがあります。きっと私と同じように感じている保護者の方は他にもいらっしゃるのではないかと思います。しかし立場を幼稚園側にかえてみていくと、この成長はしっかりと積み重ねた土台の上に成り立っているのです。いつの間にか成長していたのでもなく、突然成長したのでもなく、日々の小さな経験の積み重ねにより、毎日少しずつ成長してきたからこそ今の姿があると言えるのです。

年少・年中時代の積み重ねを経て、年長さんの運動会では『たくましく頑張る姿』が見られるのです。

頑張る力は一人だけで得られるものではありません。楽しいだけで得られるものでもありません。時には苦しい思いをすることだってあるし、悔しい思いをすることだってあると思います。でもそのような思いを経験することなくして頑張る力の成長はあり得ないのです。親であればできることなら子どもにいらぬ苦労はさせたくないし、失敗したり恥をかかせたりもしたくない、もがいている子どもを見るのは親としてもとても苦しくつらいものです。しかし黙っていてもそのような心は育たないし、楽しいだけでもそのような心は育たないのです。

幼稚園の教諭になりたての頃、子ども達には苦しい体験、しんどい体験、踏んばる体験、不自由な体験をさせなければだめだと教わりました。なんでも大人が心地よく生活できるように整えた中だけで子どもを育ててはだめだと、そう教わりました。人が生きていく中には明の部分もあれば暗の部分もあって、そのどちらも経験し、乗り越える力をつけていくからこそ初めて明の部分を味わうことができるのだろうと思います。

ですから、私は子ども達には時には叱られる体験や失敗する体験、くじける体験も経験してほしいと思っています。心の強さはそういう経験をひとつひとつ乗り越えていかなければ育たないと、この現場にいて痛感しています。きっと今年の年長児の中にもそのような小さな、いや、本人にとっては大きな壁にぶつかっている子もいると思います。

ただしそういう経験をした、その子への心の寄り添いはなくしてはいけないと思っています。つらかったことを共感したり頑張ったことを認めてあげたりしながら、ちゃんと見ているよ、ちゃんと応援していたよ…という気持ちをしっかり伝え、その子自身の次へつながる糧にしていかなければならないと思っています。

 

年少さんではとにかくお友だちや先生とこんなことができるようになったよ…という楽しんでいる姿をみていただき、年中では少しずつ頑張る気持ちが芽生えていることを感じていただきたいです。そして年長はそのような発達段階を経て、上記にあげた私達の子ども達に対する思いをうけた子ども達の姿を是非見ていただけたら嬉しいです。

 

さて、ここ数日雨続きだった仙台にも久しぶりにおひさまが顔を出し、元気に外に飛び出してきた子ども達。

今週末の運動会はお天気に恵まれますように・・・。

園長   伊勢 千春

 

 

 

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