園長先生のつぶやき

心に思うこと、その時感じたことをそのまま綴る、園長の徒然日記です。

2016年06月14日

現在、めるへんにはたくさんの小さな生き物たちが各保育室にいます。

メダカやサワガニ、ドジョウから金魚、モンシロチョウやアゲハチョウの幼虫に、カタツムリ・・・。

「生き物」・・・としてみれば、それほど珍しくもない生き物たちですが、子ども達にとっては出会う生き物全てが新鮮!アリですら見つけると大騒ぎ(笑)。でもそれが好奇心の芽生えの第一歩ですから、寄り添う私達も常にオーバーリアクション!「ほんとだ~アリさんだね~。お散歩中かな?どこに行くんだろうね~」などと言葉を添えると、「きっとお買い物に行くところだよ」とか、「でも一人じゃ迷子になっちゃうんじゃない?」「もしかしたら、おうちに帰るところかも」などと、たった一言の添え言葉に子ども達の想像も膨らみます。

今週発行の各担任のクラスだよりをみたら、生き物とクラスの子ども達とのかかわりの記事がたくさんありました。

アゲハチョウの幼虫が葉っぱを食べている光景を見て、「食べてる!葉っぱが動いてる!」と驚く年少さん。

カタツムリは食べる餌によってウンチの色が変わることや、カタツムリが通った道には透明な汁が出ていて、どこを通ったかすぐ分かる。でも、この透明な汁はいったい何?・・・と驚きや不思議がいっぱいの年中さん。

そして、年長組ではみんなで【生き物会議】。

アゲハチョウの飼育ケースがウンチでいっぱい。みんなの住んでいるおうちがウンチだらけだったらどうだろう…と考える。飼っているカナヘビのケースに餌がない。みんながご飯なしだったらどうだろうかと考える。チョウの幼虫も、カナヘビも全ての生き物に命があること、そしてその生き物たちが住みやすい環境を作ってあげることも、また飼うものの大事な役目…。

年長ではなおの事、そんな心が育っていく環境を作り、考える機会をクラスで作っていくことが大事だとクラス発行のおたよりを読んで感じていました。

生き物を見つけて満足…から、生き物を捕まえて満足…そして生き物を飼育ケースに入れて満足…。

その工程は子どもたちみんなが通る道だと思います。しかし、そこからその生き物を飼うために、生き物にとって良い飼育環境はどんなものかをみんなで考えたり、調べたりして、飼育物を自分の仲間のように身近に感じることができれば、きっと生き物へのより深い興味や理解、愛着が生まれるのだと思います。

年長おか組のクラスだよりにチラリと私が『カナヘビ博士』…と載っていましたが、以前の私は生き物が大の苦手でした。あまり大きな声では言えませんが、今でも苦手な虫や生き物はたくさんいますが、自分の中での小さなポリシーがあって、自分でお世話できないなら飼わない、餌の確保ができないなら飼わない…など小さな決め事をしています。クラス担任時代はそれを子ども達にも伝え、飼育するということは責任が伴うことをその年齢ごとに噛み砕いて話をしていました。ただ『飼いたい』という気持ちだけで捕まえて満足、飼育ケースに入れて満足に終わらないための、その後の子ども達の心育てに重きを置いていました。

ですから、カナヘビを飼った時などはクモやバッタなどの生きた虫しか食べないカナヘビの餌の確保に翻弄されました。平日子ども達はカナヘビの餌採りに自由あそびの時間などは夢中でした。土日や連休などが問題でしたが、私もクラスの子ども達と『飼う』と決めた以上、休日は自分が当番となり、自宅に飼育ケースを持ち帰り、餌の確保にいそしんでいました。

もちろん、中には苦手な子もいるので、餌となるクモや小さなバッタを捕まえられる子は、餌採りの中心に…そして、苦手な子は飼育ケースの掃除や水替え、カナヘビ日記をつけるなど、自分ができることに取り組んでいました。

そのようにお世話をしっかりしていれば、自然に愛着がわき、小さな生き物にも命があること、みんなと同じように生きているということを頭で理解するのではなく心で理解することができるのだと思います。

働かざる者食うべからず・・・ではないですが、お世話せざる者飼うべからず。見つけて、採って、飼育ケースに入れて満足…だけに終わらず、小さな生き物にもしっかり心が寄り添える、そんな子ども達に育てたい。そのためには、もちろん私達教師もそこに意識を持っていき、子ども達に言う前にまず自分。人に言う前にまず自分。そこを心に留め、いい保育をしていきたいなーと思う毎日です。

PS: ちなみに、今私が「うちの子ちゃん♡」としてかわいがっているのは、つがいのサワガニ。赤ちゃんを産まないかなーと期待して毎日水替えと餌やりを怠らず見守っている最中です。そして、今日、年中で飼っているカタツムリからたくさんの卵が生まれたとの情報をいち早くゲットし、その卵をいくつか分けてもらいました。卵の大きさ、一ミリあるかないかの小さな小さな卵…。 是非カタツムリの赤ちゃんを子ども達にも見せてあげたい!!!

 

園長   伊勢 千春

 

 

 

 

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