園長先生のつぶやき

心に思うこと、その時感じたことをそのまま綴る、園長の徒然日記です。

2015年07月07日

これは年少組の絵画活動で行なった「ぺろぺろキャンディー」です。

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ひとことで言えば、ただのなぐりがきですが、実はこれ、すごく大事なクレヨン活動の第一歩となる活動です。

私が新任時代にお世話になった当時の主任の先生で、現在は他県の小学校の学習サポーターをやっているI先生と話す機会がありました。

I先生は主に小学校低学年の担当で、そこで感じている事などの話をしてくださいました。その中の話題の一つに「乳幼児期のなぐりがき」がありました。

小学校に上がってくる子の中で、筆圧がすごく弱い子が毎年必ず何人かいるそうです。小学校に入ると、ひらがなの読み書き、書き順もしっかり覚え、正しい字を書けるようになっていきますが、どうやらそれ以前の部分に少し問題を感じることがあるようです。I先生の見方では力を入れて描くということやなぐりがきの経験が少ないのではないか…ということでした。

まず形などにこだわらず、とにかくクレヨンで力強く描く…という行為は小学校に上がった時のこのような筆圧にもつながっていくのではないかという話になりました。

めるへんでも、年少のクレヨン活動では、このようななぐりがきや「雨ザーザー」のようにたくさんの線を描くような経験、クレヨンで形の中を塗りつぶす…などの経験をし、そのような経験を経て、まるなど形を表現するような活動に少しずつ入っていくような段階をふんでいます。

ただの「なぐりがき」や「塗りつぶし」・・・も、こうして考えてみると小学校へ上がった時の勉強にとりかかる基礎につながっているのかもしれませんね。

 

大人から見れば形にもならず、何を表現しているのかも分からないものが子どもの絵の中にはあるかもしれませんし、クレヨンが持てるようになり、使えるようになると、どうしても何か形を描かせようとしてしまいがちではないでしょうか。

しかし、子どもは最初から「何かを描こう」などと思わず、ただひたすら、クレヨンでグリグリと描くことを楽しんでいるだけ…ということもあると思います。

赤ちゃんも、寝ていただけだったのが、寝返りが打てるようになり、這いずりのような段階を経て、ハイハイ、つかまり立ち…と立つという行為に至るまでには順序があります。

こんなふうに考えると、何事にも順序があるのだなーと感じます。

そのような経験がその後につながっていくと思えば、子どもの描く「なぐりがき」も温かい目で見られそうですね。

形が綺麗、色使いが綺麗…の前に単色でもこのような経験をたっぷりし、その後少しずつ次のステップにいけるような活動を、今後も考え取り入れていきたいです。

 

園長   伊勢 千春

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