2015年02月04日
今から7~8年前。
毎年行なっている園内研究のまとめ方の勉強をしたいと思っていた時、交流のある大学の先生から、子ども達の育ちをまとめた研究論文を募っているところがあるから、勉強のために応募してみてはどうか…というお話をいただきました。
それが、ソニー教育財団主催の「科学する心を育てる」というテーマ論文でした。
そこで、自分たちの勉強のために…という目的で、子ども達の育ちを論文という形でまとめてみようと思ったのですが~…。
幼児と科学……。
「科学」という言葉だけを聞くと、どこか難しいイメージがあり、こんなに小さい子ども達と科学とのつながりって一体なんだろう…との思いがあり、なかなかその答えが見いだせずにいました。
そんな中、震災もあり、「論文」という形にまとめられない時期もありましたが、その間もこの視点で子ども達の育ちを見、教師間で話し合いを重ねていきました。
そのうちに気づいたことがひとつ…。
「幼児の科学する心」 とはとてもシンプルなものではないかということ。でもとても奥深いものであるということ・・・。
子ども達は小さなうちから自然も含め、いろいろな物事や事象に関して「どうして?なぜ?」という疑問や好奇心を持ちます。皆さんも「これはどうしてこうなの?」と、我が子に聞かれて説明に困った…という経験が少なからずあるのではないでしょうか。
興味や関心、好奇心から科学する心ははじまっていました。
不思議に思ったら知りたくなるし、面白いと興味をもったらやってみたり試してみたりしたくなるはず。そんなシンプルなものならば、おそらく1~2歳児でも芽生えているのではないかと思います。
子ども達の素朴な「なぜ?」の世界にとことん付き合う、子ども自らがもっと知りたい試したいという探究心にとことん付き合う・・・そして子ども達のそういう芽を育てていくということは、人間形成の土台となるこの幼児期にはとても大事な部分ではないかと、より一層実感するようになりました。
今はまだ小さい子ども達が、今後、小学校や中学校に進んでいった先の事を見据えると、この時期のこのような心育てはとても重要で、最初は自分たちの勉強のために…と取り組み始めた論文でしたが、いつの間にかこんな心の育ちがたくさんできる子ども達になれたらいいだろうなーという思いの方が大きく膨らんでいきました。
そのためには、どんな教育環境がいいのか。私達教師も含め人的環境・物的環境の在り方、子ども達との向き合い方などの勉強を、ここ数年続けてきました。
思い返せば私も小さい頃は「好奇心の塊」のような子どもでした。何でもやってみたい、試してみたい、本当に本に書いてある通りなのかどうか自分で確かめてみたい…そんなことばかりで頭がいっぱいで、親には相当迷惑をかけていたように思います。「思います」ではなく、そうでした(笑)。
しかし、その子どものころに芽生えた「好奇心」が大人になった今でも引き続き根づいています。それが今は子ども達と一緒に不思議の世界を楽しめる要因にもなっているのではないかと思います。
今年度、ソニー教育財団の「科学する心を育てる」の論文で最優秀賞をいただきました。
それだけめるへんの子ども達の好奇心や探究心が育ったのだろうと思っています。
子ども達自らが伸びようとする力に寄り添わせてもらいながら、今後もきっと私と好奇心の関係は、子ども達や先生たちと一緒に続いていくのだろうと思います。
園長 伊勢 千春