2015年02月19日
今からさかのぼること7年前。
子ども達と先生とで隣の森から拾ってきたどんぐりの中から、芽が出ているものをいくつか選び、黒ポットに植えて大きくなるかどうか試してみました。
一年たったどんぐりの芽は15cm~30cmほどに成長しました。
そこで、このまま黒ポットで育てるよりも、このどんぐりが育っていた場所に戻してあげたほうがいいのでは…そうすることでもっと大きなどんぐりの木になるのでは…という思いを込めて、約20本ほどの成長した苗を長命舘公園サポーターズクラブの皆さんのご協力をいただいて、隣の森に戻しました。
それが今から6年前の2009年11月でした。
その植えたどんぐりたちも4~5年たって私の身長をはるかに超えて2mほどにまで成長したものも。
このままでは、木と木の間隔が狭すぎて木が大きくなれないから、植え替えたほうがよいと森を愛するサポーターズの方からお話をいただきました。
そこで時期をみていよいよ決行!
2月17日。年中組を中心にボランティアさんのどんぐりの木のお引越しに立ち会わせていただきました。
木を掘ってみると蛇がとぐろを巻いているような太い根っこにビックリ!話によれば、苗で植える時に根っこを伸ばさずに植えてしまい、おそらくそのまま渦を巻いたように成長してしまったんだろう~ということでした。
植えたどんぐりのほとんどが「コナラ」のようですが、どうやらクヌギやミズナラなどの種類もあるようです。どんぐりの葉で種類もわかるようですが、なにせ時期が時期なだけに全ての葉っぱが枯れており見分けが難しかったです。
ミニ図鑑を持ってきて、どの種類のどんぐりがなるのかを知りたがっていた子どももいて、サポーターズさんに聞いていましたが、春になったら新しい緑の葉が出てきて、葉の長さ、太さなどの葉っぱの特徴で木の正体もわかるだろうし、どの実がなるのかもわかるね~と言われていました。
また、掘り起こすとクモやミミズも出てきてみんな大騒ぎ!
「まだ冬眠中なのに起こしちゃったんじゃな~い?」
「まだ眠いよ~きっと」
「土のお布団に戻してあげた方がいいよね~」などの声があがっていました。
「よく 「冬眠」 なんて言葉知ってるね~!」と褒められ、嬉しそうな子ども達でした(笑)。
今回のこのどんぐりの木のお引越し。
あの芽が出たどんぐりの実を黒ポットに植えたのが7年前なので、今幼稚園にいるめるへんっこ達の命がお母さんのおなかの中に芽生えるずっと前から土の中で静かに根を張り少しずつ少しずつ成長していたことを想うと、すごく感慨深く感動します。
そして、自然のチカラ、育つチカラをすごく感じます。
このどんぐりの木達がこうして子ども達の代が変わっても後輩めるへんっこ達に引き継がれ、見守られ、そしていつか立派な木になり新たなどんぐりの実をつけた時、また後輩めるへんっこ達がその実を拾うのだろうことを想像すると、何とも言えない感情で心が満たされます。
子ども達にとって少し難しいことかもしれませんが、でもこのどんぐりの木の歴史を私はこれからも子ども達に語り継いでいきたいと思います。
お日さまの光をたっぷり浴びて心地よく成長できる時もあれば、雨風にさらされ、暑さや寒さも辛抱し、ぐっと我慢しなければならない時もあることをこの木たちは経験し、今こうして成長し続けているのです。
めるへんの子ども達にもこのどんぐりの木のような成長を望みます。
「せんせい。どんぐりの木、お引越しできて気持ちいいだろうね。これでいっぱい大きくなれるね。」こどものつぶやきです。
園長 伊勢 千春