園長先生のつぶやき

心に思うこと、その時感じたことをそのまま綴る、園長の徒然日記です。

2014年08月28日

夏休み中に成長していた畑の作物。

その中に里芋がありますが、この里芋、実は葉っぱがすごく面白いのです。

葉っぱの上に雨粒などがあると、コロコロ転がったり、水の量によってはスライムのような形や動きをしたりもします。

葉の裏側から雨粒の部分をトントンと押し上げてみると、雨粒が飛び跳ね、葉の傾斜によりビー玉のように転がり落ちたりおはじきのように平べったい丸になったりもします。

数年前にこの面白さを発見して以来、「食す」という目的はもちろん、収穫するまでの過程で葉っぱの面白さを子ども達に体験させることも念頭に置き、里芋の栽培をしています。

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この、里芋の葉っぱで水を転がし遊んでいる子ども達の会話を聞いていると

「すごーい!水が生きてるみたい!」

「水が転がったり、跳ねたりしてる~!」

「なんか水がクネクネしてるよ~」

「ちょっとちょっと~!!来て~!この葉っぱすごいんだよ~、見ててね~」と友だちを呼びに行き、今度はその楽しさをさらにたくさんの友だちと共有していました。

面白さや不思議さに気づくと、それが言葉となって表現され、今度はその発見した驚きや感動を友だちや先生に伝え共有する・・・という流れがうまれています。

年長さんは里芋の葉の他に、メロンの葉やシソの葉など、里芋以外でも試していましたが、水の転がり具合が他の葉では里芋のような面白さが味わえないことに気付いたようでした。

「こっちの葉っぱはザラザラしてるからお水が転がらないのかな~」

「里芋の葉っぱは大きくてちょっと硬いよね~」

「ツルツルしてるし~・・・」

という会話も出ており、面白さに気づいたことから今度は違うもので試したり、なぜ上手くいかないのか予想を立てたりしていました。

 

 

この子ども達の様子を見ていて、ふと先日の夏季研修伝講会で、ある先生が学んできた研修会の伝達内容を思い出しました。

 

―――以下、研修伝講資料より抜粋―――

【心を動かす体験により、様々な思いを持ち、思わず口に出したくなったり教師や友だちに伝え共有したくなる。それらをたくさん経験することで、自分の気持ちを表現する楽しさが味わえ、友だちとの関わりも深まることで友だちの思いや考えに興味をもったり、友だちの気持ちや行動を理解したいという思いが生まれる】

【≪学びの芽生え≫・・・幼児期におけるあそびの中での学び。学ぶということを意識しているわけではないが、楽しいことや好きなことに集中することを通じて、様々なことを学んでいく

≪自覚的な学び≫・・・小学校における各教科等の授業を通した学習。学ぶということについての意識があり、集中する時間とそうでない時間(休み時間等)の区別がつき、与えられた課題を自分の課題として受け止め計画的に学習を進めること】

 

という内容でした。

幼児期の第一歩は、まず「学びの芽生え」を大事にし、小学校へあがる時期が近づいてくる年長の頃になったら、少しずつ「自覚的な学び」を意識できるような環境が必要になってくるのだろうと思います。

 

ちょうど先日見ていた新聞の中で、全国小中学校の学力テストの結果をうけての記事が目に留まりました。その中で全国学力テストで上位常連の秋田県の小学校教諭の「疑問と気づきがキーワード」という話が載っていました。自分達の好奇心から生まれた「なぜ」を自ら解き明かしていく姿勢の醸成が、自然に学力を培っていくという話でした。

決して受け身ではなく自らがその出来事への面白さに気づき、「なぜ?」と感じて試してみたり、もっと知りたいという好奇心をもったりすることが、言葉や表現する力にもつながり、人とのつながりも生み出していくのだろうと思います。そのような体験の出来る環境を作り、子ども達が心動かされる体験をたくさん経験して、小学校へ送り出していけたらと思います。

卒園した後のめるへんっこ達に備わる「チカラ」を想像しながら・・・。

 

園長    伊勢 千春

 

 

 

 

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