園長先生のつぶやき

心に思うこと、その時感じたことをそのまま綴る、園長の徒然日記です。

2024年07月19日

早いもので本日終業式を迎え、一学期が終了します。

4月には入園したてで泣いていた子や、進級しクラスや担任が変わって少々緊張していた子などもちらほら見受けられていましたが、少しするとすぐに新しい環境に馴染む姿が今年は印象的でした。

先日クラスをまわった時も、プール後の着替えを一生懸命頑張っていたり、先生や友だちと絵の具や粘土あそび、のりの活動を楽しそうにしていたりと、どのクラスも落ち着いて活動している様子が見られました。

小さい組の子ども達でも自分でできることに頑張って取り組んだり、大きな声で泣きながら登園してきていたのに、こんなに好きなことを見つけて遊べるようになったりしている姿に感動しています。昨日今日突然そのような姿になったのではなく、毎日おうちの方の声がけや送り出し、そして担任達の地道な日々の関わりがあってこその姿だと思っています。だからいつも先生達には感謝していますし、もちろんおうちの方々にもいつも元気に子ども達を送り出していただき感謝感謝です。

そんな園生活のリズムがついてきたところに、長い夏休みがやってきます。

お休み中はお出かけしたりおじいちゃんやおばあちゃんのおうちに行ったり、お祭りに行ったりする子も多いかと思います。是非普段できないような経験や夏ならではの季節の遊びも体験できたら最高ですね。たくさんの自然体験や非日常の経験は、子ども達の好奇心や興味関心の芽を育む絶好の機会になるはずです。時にはメディアに頼らず、そんな時間の過ごし方をする日があってもいいかもしれませんね。

そして、一学期の園生活の中でできるようになったことや頑張っていることがたくさんありました。家庭にいるとどうしても甘えてしまうこともあるかと思いますが、できるだけ前向きな声がけを行っていただきながら、夏休み中も『じぶんでやってみよう』とか、小さなことでもいいので『挑戦してみよう』という気持ちが消えないようにいられると、二学期のスタートを順調に意欲的に切ることができると思います。

毎日家にいると、マイナスなことにばかり目が向きがちになってしまう事もあるかもしれません。しかし、どんな小さなことでもいいので『できたこと』『がんばっていること』に目を向けて褒めたり認めたりする明るい言葉がけを意識していくと、きっと子どもも嬉しくってますます張り切ることと思います。だって誰もが褒められたり頑張りを認めてもらったりすること、そして笑顔を向けられることは嬉しいはずですから。

 

保護者の皆様方には一学期も大変お世話になりました。各サークルさんや各種ボランティアの皆さん、委員の皆さん、親父の会をはじめとするお父さん達など、たくさんの保護者の皆様のご協力をいただき、子ども達をはじめ園全体が充実した毎日を送ることができました。ありがとうございました。

二学期もパワー全開で子ども達を受け入れられるように努めます。その前に、まずは明日明後日の年長児のお泊り保育!!

年長さんにとって最高の思い出が作れるよう、職員一丸となって楽しい2日間になるよう頑張ります☆

 

 

園長    伊勢 千春

2024年07月10日

先週土曜日にめるへん親父の会の名物行事、どろんこ大会が開催されました。

昨年度は土砂降りの中でのどろんこ大会でした。行事の充実度はお天気に大きく左右されますが、今年は程よく日が陰って気温も高くどろんこ大会には絶好のお天気になりました。梅雨の時期ではありましたが無事開催できて良かったです。

今回は120名ほどのお父さんたちの参加があり、朝から穴を掘ったり泥田を作ったり、バケツリレーで水を運んでくださったり。

泥んこ大会スタートと同時に子ども達も元気よく園庭に駆け出してきて、あそびを楽しめた一日になりました。最初は躊躇していたり、お父さんたちの数に圧倒されてへの字眉の年少さんもちらほら見受けられたりしていましたが、楽しそうにあそんでいる年中さんや年長さんの姿を見て徐々に楽しみ始めたようでした。初体験の年少さんにとってはきっと驚きの光景だったかもしれませんが、何事も経験ですね。これが来年再来年になれば日常のどろんこあそびにも拍車がかかり、きっと遊びもダイナミックにパワーアップしていくことと思います。

 

さて、めるへんの親父の会は1999年(平成11年)からスタートし、今年で25年目を迎えました。立ち上げ初年度に企画会にいらしてくださったお父さんの人数は3名程度。そのうち徐々に拡大していき、私が担当をしていた頃はどろんこ打ち上げの親睦会は最大50人を超えたことも。「めるへんの子はみんな我が子」をコンセプトに、「子どもと一緒に親父も楽しむ」をスローガンに掲げておりました。その神髄は今も変わっておりません。

それ程入念な計画や細やかな準備も特に必要ないのが親父の会。なぜなら仕事ではないからです。臨機応変にそこそこの塩梅で進めていくのが当園の親父の会の良さでもあります。親父の会として企画運営に携わってくださっている皆さんが大まかな計画は立てて下さいますが、そこに当日参加して下さっているたくさんのお父さん方のちょっとしたアイディアや知恵、遊び心を盛り込んでいき、参加しているお父さん達みんなで作り上げていくのが親父の会の醍醐味でもあります。その目的はただひとつ。子ども達と参加してくれているお父さんたちが楽しむことにあるからです。

アバウトでいい。そこそこの塩梅でいい。実際あそんでみたらここをこんな風にした方がいいかも!などあそびながらの修正だって大ありです。せっかくこんな数のお父さんたちが集まるわけですから、子ども達とお父さんたちがより楽しくより積極的に、あそび、関われたら嬉しいなーといつも思っています。親父の会で毎回企画を立てて下さっているお父さま方に感謝しつつ、是非、秋のお父さんめるへんたいむもそんなイメージでご参加いただき、盛り上げていただけたらありがたいです。

 

さてさて私はと言うと。

毎回オープニングイベントのようなことをお父さん達から無茶振りされ、いつもはウォータースライダーで泥水に飛び込むということをやらされておりますが(笑)、今回は園長VS親父数名の泥田の中での綱引き対決でした。心の中では泥水に飛び込むよりまだましね…なんて思っていましたが、数回の全力綱引きの代償は翌日からの筋肉痛。しかもほぼ全身(笑)。なぜお父さん達相手に全力で一生懸命やってしまったのか…と後悔(笑)。しかしめるへんスピリットはあそびも全力、先生も全力!・・・だとすると、筋肉痛もいたしかたないだろうと泣く泣く諦めております。

楽しい雰囲気やワクワクの空気感を作り出すために常に全力投球という精神は長年にわたり染みついた感覚なのでしょう。しかしそれは私だけでなく、対戦した親父の会メンバーの大げさすぎる倒れ方と表情をご覧いただければわかるはず。子ども達もこの光景を見て大喜びでした。

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年少Y君は私がお父さん達をこっぱみじんに倒したことが印象に残ったらしく、帰宅後どろんこ大会の感想は「お父さん達に綱引きで園長先生が勝ったんだよ!」だったらしいです。しかも20回くらいこの話ばかりしていたそう(笑)。「どうしてあんなに強いのかな。ご飯いっぱい食べて早く寝てたら強くなれるかな。」そんな会話が行われていたようです。よほど印象に残ったのでしょうね。

場の雰囲気作り、楽しい空気感は大人から子どもへ伝染します。子ども達を楽しませようと思ったらまずは大人も一緒に楽しむこと。そんな空気が「秋のお父さんとあそぶ会」でもさらに表れたら、より子ども達にとってもお父さん達にとっても楽しい会になるでしょうね。

 

 

園長   伊勢 千春

 

 

 

2024年06月28日

早いもので来週から7月に入ります。

梅雨真っただ中の季節ではありますが、泥んこあそびや水あそび、ボディペインティングにプール活動と季節のあそびを満喫している子ども達です。

 

そんな活発なあそびの傍らで、年長児が砂場の道具を使ってなにやら楽しいことをしている様子。

「園長先生、見て!のりたま!」

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見ると、たこ焼きの容器に黄色のまさにのりたま風の細かい何かが入っています。「え~?こののりたまは何?」と聞くと年長女児数名が、「あのね、黄色い葉っぱでできてるんだよ」「こうやってのりたまづくりしてた」と言ってやり方を見せてくれました。

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「黄色い葉っぱをこするとのりたまで、緑の葉っぱをこすると青のりの完成~!」

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本当に青のり(のよう)です!

本来の砂場道具の使い方ではない、道具の新たな使い方を発見した子ども達。葉っぱをこする姿は真剣そのもの。まさに大人が大根おろしを作る時のような懸命さです(笑)。

「青のりとのりたまできたから、園長先生にご飯作ってあげる!」「ご飯大盛にする?中盛りと小盛りにもできるよ」とYちゃん、Hちゃん、Mちゃん。

「おなかペッコペコだから、大盛で!!」と答えると、「OK!待っててね!」と走り出す三人組。

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赤い容器はパンケーキ。その下はローリエ入りのカレーライス。よーく見ると、白砂と黒砂に分かれており、カレールーと白米を再現した様子。リアルなカレーライスです。そして、中央の黄色いお皿はのりたまと青のりのふりかけご飯にスナップエンドウ風の添え物、プリン。右のお皿の青のりは、足りなくなった時用のおかわり分追い青のりだそう(笑)。

腹ペコの私のおなかを十分満たしてくれる最高のメニューでした♡

 

子ども達のあそびは年齢やあそびの経験と共に確実に進化していきます。そして、遊び道具の使い方も、子ども達の手にかかれば何通りもの楽しみ方ができるのです。こういう瞬間に立ち会うと、本当に子ども達は面白いことを発見したり、想像力を働かせた見立てあそびをしたりする名人だなーと改めて思います。大人の凝り固まった頭ではなかなか思いつかないような楽しい発想や、生活に密着した真似から始まるあそびは、やがて一人あそびよりも周りの友だちと共有してあそぶ方が楽しくなり、それは人とのコミュニケーションを深める手助けにもなります。みんなであそべばさらなる楽しい発想にもつながり、もっと楽しくしようという意欲にもつながります。

その証拠に、

「園長先生~最後に青汁もどうぞ」とH君。

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これは!・・・そうです。葉っぱを削った青のりと水を混ぜ合わせ、かなり濃厚な深い緑色の青汁…。この分量はかなり葉っぱを削っただろうなーという濃さでした。

「えーーー!すごい!この青汁、葉っぱ何枚使った?」と3人組の女児から興味津々のまなざしを受けるH君でした。

 

子ども達からの格別のおもてなしに大満足☆

子ども達の楽しい発想力に大満足☆

こんなあそび方をしている年長さんの姿から、小さい組の子ども達にもあそびの伝承がなされていくのでしょうね。

 

 

園長   伊勢 千春

 

2024年06月06日

子ども達ってやっぱりかわいいな~そう思う瞬間がたくさんあります。

そこで、ここ最近のエピソードをご紹介☆

 

★僕はきれい好き★

途中転入してきたY君と私が会話していた時の事。

Y君の担任「園長先生~Y君はどろんこあそびあまりしたくないんですって~」

私「え~?!そうなの~?あんなに楽しいのに~」

Y君「あのね。それには訳があってね。実はぼく、とってもきれい好きなんだ♡」

私「あ…一応私達もきれい好き…(笑)。Y君洗えばまたきれいになるから大丈夫よ☆」

 

★ピカリン発見!★

バス待ちの子ども達と会話中の時の事。子ども達との話が面白くて大笑いしていると、K君がものすごく驚いた顔で

K君「園長先生!!園長先生虫歯があるよ!もう一回口開けて笑ってみて!」

私「え。。。。。やだよ(笑)」

K君「お願い!!!!もう一回だけでいいから大きく口開けて笑ってみて!」

私「えーーーーはずかしいなーーー」ガバっっ!

K君「わあ~!!園長先生、すっご~い!奥にピカリンがいっぱい!!」

※注意※ 何だか褒められている気分ですが、ピカリンは2個だけです。。。

私「K君もピカリンにならないように、歯磨き頑張ってね」

しっかり指導しておきました☆

 

★おもてなし攻撃★

お迎え待ちの時のこと

S君「園長先生、今日暑いからアイスどうぞ♡」※エアアイスです

H君「オレンジジュースもどうぞ♡」

K君「アイドルになれる薬もどうぞ♡」

子ども達からのおもてなしをありがたく受け取っていると…

Y君「じゃあさ、筋肉ムキムキになれる薬もどうぞ♡この薬を飲むとね、園長先生が一人でぼくんちの車を持ち上げられたり幼稚園も持ち上げられたりするくらい、ムキムキの筋肉になれるよ☆」

私「あ……うん……ありがとね…」 アニメの主役になれますね(笑)

 

★虫メガネ★

職員室には虫メガネが常時あり、園庭であそんでいて借りにくる子ども達が、日々職員室の窓から顔を出して「虫メガネ、貸して下さい!」とやってきます。「虫メガネください」という子には、「虫メガネは貸してあげられるけど、みんなのものだからあげることはできないんだな~そういう時はね「虫メガネ貸してくださいっていうんだよ」」と知らせています。そうするとちゃんと言葉を変えて話すことができる年少さん達。時々「メガネ虫貸してください」と言いに来るかわいい姿も♡

そんな中

年少H君「園長せんせ~い!えっと~あの~虫探しの探偵メガネ貸してください!!」

隣にいたF先生と、「虫メガネ貸してください」より難しい言葉が言えたねとほっこり♡「虫探しの探偵メガネ」でH君は何を見つけられたかな。

 

★ティータイム★

「いらっしゃいませ~」「ケーキはいかがですか~」

お店屋さんになりきって元気に呼び込みをしている年少さん達。私もケーキを買いに行くと、たくさんのケーキがいっぱい☆「コーヒーもいかがですか~」と何とも商売上手。

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ケーキとコーヒーをいただいて、そろそろ仕事に戻ろうかと正面玄関に行ってみると~

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私「M君、こんなところで一人で何してるの~?みんなのところであそんだら~?」

M君「あのね、いまね、メダカさんみながらケーキとコーヒーのんでたんだっ♪」

M君は、茶色い壺のメダカを眺めながら一人ティータイム中だったようです。一人であそんでいるからと言って、寂しいわけではなく、むしろ充実の時間だったようです。お茶した後は、ちゃんとケーキとコーヒーのカップを持って、みんなのもとに戻っていったM君でした。

幼稚園の毎日は、こんなほっこりがあちこちで生まれています。泣いたりみんなで笑いあったり、ケンカしたり仲直りしたり。いろいろな場面があり、いろいろな表情の子ども達に出会えます。そのひとつひとつが子ども達にとって大事な経験になるのでしょうね。

 

 

園長    伊勢 千春

 

 

 

 

2024年05月13日

GWも過ぎ、平常保育が始まりました。

新入の新しい子ども達も幼稚園の雰囲気やリズムにだいぶ慣れてきたようです。これからあそびの幅も広がりますし、体をたくさん使って遊ぶことも増えてきます。少しずつ気温も上がってくる時期になると疲れもたまりやすくなってきますので、なるべく大人時間に合わせず、早めの就寝を心がけていけると良いかと思います。

さて、毎年この時期、新入の子ども達を見ていると嫌なことされたと泣いている子や自分の思いと違う方向に物事が進んでしまい泣いている子を見かけます。

先日も帰りのお迎えを待つ時間に、年少M君が隣に座っていた年少R君のリュックについているキーホルダーを見たかったようで何も言わずに手に取って見ていたら、R君が「さわらないで!」と怒り出しました。すると今度はR君の肩に「チュッチュ」と口を近づけM君がスキンシップをとると、またまたR君が「だからやめて!!」と泣きそうになりながら訴えていました。そこで私が中に入りM君に話を聞いてみると、「キーホルダーを見たかった」「なかよししたかった」ということでした。

ちょうど職員室でそんな話をしていたら、N先生も同じような光景を見たと。

これも年少さんの話ですが、「お友だちを引っ張ったらだめだよー」と年長さん達が懸命に年少H君に教えている様子。確かにN先生からみても滑り台でお友だちの手を引っ張ているように見えたようでした。そこで先生が「H君、なんでお友だちのこと引っ張ってたのかな?」と聞くと「引っ張ってたんじゃないよ。お友だちが滑り台滑れないでいたから助けてあげようと思っただけだよ。」とH君が話しをしてくれたそうでした。

幼稚園の中ではよくある話で、どちらの例も全く特別なことではありません。特に年少の子ども達は、習得している語彙がまだ少ないことや人との距離感や空気感を含めコミュニケーションの取り方などを学ぶ入り口に立ったばかりの年齢のため、このようなことが起こるのです。何も声をかけられないで自分の持ち物を触られたり、シャベルを取りに行っている間に自分が使っていたバケツを持っていかれてビックリして泣き出す子がいたり。それがきっかけとなって小さなトラブルに発展することもよくある光景です。どれも決して意地悪なことではないのですがちょっとした誤解や言葉が足りずに起こる事だったりします。

している方は全く悪気はないのですが、声をかけていなかったり、やってあげよう、助けてあげようという気持ちが前面に出てしまい、相手にとっては少し強引な印象を受けたりすることもよくあることです。そうなると、受ける側は「いじわるされた」という認識になってしまうのでしょう。小さい組の子が一生懸命自分で靴を履こうとしている時に年長さんがお世話をしてあげようという親切心で手伝ったことが「自分でやりたかった」という思いから、大泣きしてしまい、お手伝いしてくれた年長さんが困惑する…という光景も時々目にします。

大きくなるにつれどちら側の気持ちも少しずつ理解していけるようになるのだと思いますが、そういう相手の気持ちなどを学ぶのも集団生活の中での大事な学びなのでしょう。

ですからこういう出来事は、子どもが嫌な思いをしてかわいそうだから…などという大人の感情で失くしていくとかできるだけ起こらないようにしていく…ものではなく、実体験からの学びとして経験しながら体得していくものだと思っています。だとすれば、時には親切心が残念な気持ちに代わることもあれば、意地悪されたわけではなかったけれども嫌な気持ちを味わうことだってあるはずです。しかしお互いがこんな気持ちだったということを、経験を通して学び、そうだったのかと相手の気持ちにも触れる経験をしていく中で、少しずつ相手の気持ちが理解できるようになるのだと思います。

ですから、現場では常にそんな子ども同士の関わりを見た時には、「見せてほしいものがある時には突然触るんじゃなく、「これ見せて」と一声かけてからにするといいよ」と伝えたり「この時はこんな声をかけていたら、意地悪で引っ張っていたんじゃないとお友だちに伝わるよ」とコミュニケーションをとった子にも話していきます。そして受けた側の子達にも「M君はね、R君のカバンについているキーホルダーが見たかっただけだったんだって。だからとろうとしたり意地悪でキーホルダー引っ張ってたわけじゃなかったんだって。でも突然触られちゃったからR君もビックリしたんだね」とどちらの気持ちも受け止めて代弁するようにしています。そしてその後「キーホルダー見せて」「いいよ」という本人たちの言葉のキャッチボールまで見届けるようにしています。決して悪いことをしたわけではないけれど、言葉足らずが引き起こしてしまった誤解などがある場合は「ごめんね」も子どもから子どもへ伝えさせるようにしており、このような地道な関わりを大事にしています。

お互いの言い分は必ずあります。片方だけの話を聞いて一方のみ注意するということはケガにつながるような場合を除き、ほとんどしていません。ケンカやトラブルの際の鉄則だと思っています。特に年齢が低ければ低いほど、言葉の獲得もまだ未熟ですしコミュニケーションの取り方も学んでいないため、自分の「こうしたい」という思いが先行するのが当然のことです。集団生活に入る前までは大人の世界で過ごしてきているわけですから、人との関わりの面で言えば特に大きな問題にであわず比較的心地よく生活ができて当たり前です。しかし集団生活が始まれば、同じ年齢の子ども達がたくさんいてその中で自分の思うようにならないことにであったり我慢することを覚えたりしていくわけです。それがこれから先、子ども達が生きていく上で習得していかねばならないことでもあるでしょう。どう問題を解決していくかという術も今後子ども達自身が身につけていかなければならないことで、子ども達の世界にはこうした学びの実践の場が必要不可欠なのです。

そんな時は、大人が過剰に反応するのではなく、ひとつの点から少し広げた範囲で物事を見ていくと良いかもしれませんね。今はまだ隣のお友だちが「名前も知らない子」かもしれませんが、少しずつ顔を覚え名前を覚え仲良しになっていけばこのような小さな誤解から生まれるトラブルも減っていくものです。

 

 

園長   伊勢 千春

 

 

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