園長室から

心に思うこと、その時感じたことをそのまま綴る、園長の徒然日記です。

想いをこめて

年長の子ども達が巣立つ日になりました。

93名の年長めるへんっこのみんな、卒園おめでとう

三月になってから長い休みが続き、卒園式ができるだろうか、子ども達の姿を保護者の皆様に見ていただけるだろうかと毎日心配していました。新型コロナウイルスの状況が日々変化し、経験したことがないだけに社会全体も先の見通しがなかなかつかない状況のため、なおさらでした。休園措置や卒園式の実施も決断した後に状況が良い方向に変わるかもしれないし悪い方向に変わるかもしれない、そんな先の読めない中ではありましたが、たくさん話し合いたくさん考えて「よし、卒園式は絶対やろう」「保護者の皆さんにも子ども達の立派な姿を見てもらおう」と決めました。

なぜなら、入園したばかりの頃、あんなに泣いて幼稚園に来ていた子、恥ずかしくておはようが言えなかった子、みんなと一緒に行動するのがちょっぴり苦手だった子、そんな子ども達が、今こうしてこんなに立派に成長したのですから。そんな子ども達の成長した姿を是非みていただき、たくさん我が子をほめてもらい、なにより保護者の皆さんと園とで卒園の喜びを一緒に味わいたかったからです。ですから、今日こうして無事卒園式を迎えられて本当に嬉しく喜びでいっぱいです。

 

今回、長い休みになって分かったことがありました。それは幼稚園でいっぱい遊べること、友だちとたくさんかかわれること、こんなことはいつだってできる当たり前のことだと思っていましたが、そうではありませんでした。

9年前の三月、東日本大震災を経験した私達。その時にも同じような思いを味わっていたはずです。

これまでできていた当たり前のことができなくなったり、何気なく過ごしていた毎日すら送れなくなったり。だからこそ、日々の幸せを当たり前だと思わず、一日一日を大事に過ごし毎日を送れることに感謝しながら過ごしていかなければならないことを身をもって知ったはずでした。しかし時がたつにつれ、また日々の幸せのありがたさが「当たり前」になってしまっているかもしれません。日々のありがたさが当たり前になれば、相手への感謝の気持ちや謙虚さもどこか薄らいでしまうかもしれません。

学校に通えることのありがたさ、先生から勉強を教えてもらえることのありがたさ、給食センターの皆さんに子どもの昼食を提供していただいていることへのありがたさ。親の目線からだけでもまだまだあるはずです。

今の年長児を含め幼稚園の子ども達にも、今回のこの状況から何かを感じとり何かを学びとってほしいと願っています。

幼稚園でいっぱいあそぶこと、お友だちや先生とたくさんかかわること、そんないつもできていたことが突然できなくなってしまった今回。だからこそ、年長さんには学校に行ったら新しい友だちをたくさん作って多くの友だちと関わってほしいし、みんなで勉強したり遊んだりすることを楽しんでほしいと思っています。

ご飯が毎日食べられること、「いってらっしゃい」「いってきます」の言葉がうまれるひとりひとりの帰る場所があること、そして家族がいつもそばにいてくれることへの感謝の気持ちを持てる子になってくれたらとても嬉しいです。そんな何気ない毎日を送れることが何よりも幸せだということに、いつか気づいてくれたらな…と思います。

 

今回、年長有志の保護者の皆様がずいぶん前から卒園式後の『ありがとうの会』を企画し準備を進めてくださっていました。しかし卒園式自体も時間短縮措置を取らざる得ない状況だったため、やむなく『ありがとうの会』は中止としたので、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。そしてバスを利用していた年長さんにも最後のスクールバスの日を告げられず終わってしまったことや幼稚園生活最後の月に存分楽しませてあげられなかったことへの申し訳なさも相当ありました。そして年度末から新年度にかけ準備し進めていた全てのことがまた検討しなおしとなるなど、春がもう来ているというのに気持ちが上昇するような気配が全く感じられない多忙な数週間が続いているので、私自身かなり老け込んでしまったという自信があります(涙)。現に仕事から帰宅した私の顔を見て、娘が「どうしたの!?ママ!めっちゃ老けてる!!」と驚いている日があったくらいです…(涙涙)

しかし、この娘のひとことで目が覚めました!

これではいけない、落ち込んでばかりはいられない!保護者の思い、子どもの思いのその穴をどうやって埋めるか。埋めるどころかこの穴が盛れるくらい挽回するにはどうしたらいいか。今度はそんなことを毎日考えました。書道経験も幼い頃にわずかで全く自信はありませんが、卒園証書の名入れの一文字一文字にしっかり想いを入れて書き上げよう、卒園式自体は略式になるけれど子ども達の出番はしっかり確保し保護者の皆さんにお子さんの成長を存分に感じていただこう、卒園する最後の日は子ども達が毎日乗車したバスともしっかりお別れできるようにしよう、ありがとうの会で飾る予定だった保護者有志の力作もしっかり飾ろう、とにかく今できる思いつく限りを出し尽くそう!そんな想いで臨んだ卒園式でした。

『人の想いには想いで返す』

今回のコロナウイルスの件ではマイナスなことばかりが形として見えていたと思いますし、『想い』はなかなか目に見える形になりにくい。しかし、めるへんから巣立っていく子ども達と保護者の皆様から得たこれまでの学びに私達も精いっぱいの想いを返したい、そう強く思います。そしてこの想いは卒園してからもずっと、子ども達の健やかな成長を願いながらつないでいきたいと思います。

卒園する93名の子ども達のこれからが、自分の力で強くたくましく伸びていき、光り輝けるものになるよう心から願っております。

 

 

園長    伊勢 千春

 

 

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羽ばたけ!めるへんっこ

明日はいよいよ年長児最後の日、卒園式です。

三月に入ってから新型コロナウイルスの感染防止の為、やむなく臨時休園の措置をとることになり、子ども達にも保護者にも、そして担任達にも申し訳ない気持ちでいっぱいでした。三月といえば現在のクラスで保育の行える最後の月であり、担任達にとっても大変想いの深い月です。特に年長組は一日一日カウントダウンをしながら幼稚園生活の楽しかったことを振り返ったり、卒園式の練習をしていく中で自信を深めたりしながら、小学校に行くための心の準備をするものです。それが行えないことへの申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが、インフルエンザなどと違い、どのような状況になるのかわからない社会全体の動きから、まずは子ども達の健康や安全を第一に考えるという措置に至りました。

私事ですが、三月二日に娘も高校の卒業式を終えました。

保護者の参加はなし、各教室にて担任とクラスメイトとだけの、そして放送による略式の卒業式というメールが学校からまわってきた時は、「もう最悪!テンション下がる…」と怒りと悲しみが混ざったようなひとことをつぶやいていた娘でしたが、袴を着せ、「卒業式をやってもらえるだけありがたいと思わないと」となだめ、親としてできることは行いました。

当日、私は美容室での袴の着付けのための車だしやら学校までの送迎やらで、娘のただのお抱え運転手になってしまい、卒業式が終わるまで車の中で駐車場待機(笑)。雨も降っていたので、さらに娘のテンションは下がってしまっただろうな…と思っていました。しかし、娘が帰ってきて車の中で真っ先に「はぁ~!高校、楽しかった~!」ととびっきりの笑顔。そのひとことで私のモヤモヤしていた気持ちは吹き飛びました。

そうかそうか。よかったよかった!

『卒業式』という一日はきっと最初に思い描いていた形とは違っていたけれど、青春を費やした部活にいそしみ、勉強も…(ん~ここはちょっと控えさせていただき(笑))、たくさんの新しい友達や先生と出会って絆を深めたこの高校生活の三年間はきっと充実したものだったのでしょう。だからこそ、思い描く卒業式ではなかったとしても、娘にとってそんなことはもうどうでもよかったのかもしれません。きっと、それを上回る三年間の積み重ねた時間の方が勝ったのでしょうね。なにせ、三年間、無遅刻無欠席で早退や抜けた授業も一度もなしだったため皆勤賞の賞状をもらって帰ってきましたから(笑笑)。

 

明日卒園を迎えるめるへんっこたちにも、「幼稚園楽しかった~!!!」という充実感が、ひとりひとりの心を満たしてくれていることを願い、卒園の日を迎えたいと思います。

 

本来なら今日は、明日の卒園式に向けて前日練習のために登園日に充てていました。しかし休園中ではありますが、先週数日の午前だけの登園日を設け予行も行ってみると、「え…?!今は休園中だよ…ね…?!」と目を疑うほどとても立派な子ども達の姿に大変驚きました。こんなに練習できなかった年はなかったのに、こんなに立派な姿だなんて…と感動してしまいました。きっとこれまでの小さな小さな日々の積み重ねがこのような形であらわれたのでしょう。だから、もう練習なんてしなくて大丈夫。練習しているくらいなら風の子公園に行って思いっきりあそんできたらいい!!と年長担任達に話をし、風の子公園に送り出しました。送り出した…というより、私も年長さんの最後の風の子公園でのあそびを体感したくてついていってしまいましたが(笑)。

久しぶりの風の子公園に草転がりをしたり鬼ごっこをしたりだるまさんが転んだをしたり。子ども達の歓声と笑顔がいっぱいでした。最後に、持って行ったおやつとジュースをみんなで食べて帰ってきました♡

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友だちと駆け回ったり草転がりしたり木登りしたり不思議をいっぱい見つけたりした風の子公園。この自然も、心も体も豊かにのびのびと成長できためるへんっ子の大きな力になってくれました。梅林の紅梅や白梅も満開だった今日。梅の花同様にいつもと変わらない年長さんの笑顔が、今日の風の子公園にたくさん花開いていました。

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年長さん

明日、まってるよ。

自信をもって卒園の日を迎えよう。みんななら大丈夫。

みんななら大丈夫だよ。

 

 

園長     伊勢 千春

 

 

 

 

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劇あそび裏話♡

全てのクラスの劇あそび旬間が終わってから約2週間がたちました。この時期はクラス担任からあそびの状況や経過がクラス便りで発行されていたと思います。私自身もこの時期はどんな風にあそびが展開されているか、子ども達はイキイキあそんでいるかワクワクしながら様子を見に各クラスに足を運んでいました。

ところがクラスをまわっても子ども達が教室にいるとは限らず…というよりむしろ教室にいるほうが少ない!いったいどこへ行っているのだろうと思うと、「オオカミを見なかったか」「鬼がこっちへ逃げてこなかったか」「宝の鍵を知らないか」などなど、とにかくあそびの内容や進み具合をしっかり把握していない私などはちんぷんかんぷん(笑)。しかし子ども達の目がとにかくキラキラを通り越してギラギラしていて、想像の世界への食いつき力が半端ない!それだけはかなり感じていました。いつもそれほど率先して自分から話しかけてこない子も通りすがりの私の腕にしがみつき「悪者をみていないか」「園長室にはいなかったか」などお話の世界に入り込んでいる様子を肌で感じ、この子はいつの間にこんなにあそびに夢中になり自己表現をするようになっていたのだろうと思うこともしばしばでした。劇あそびの劇場はひとつではなくとにかく至るところですから私もあちこちに出向き風の子公園へも数回足を運びました。

風の子公園は劇場としては申し分がないスポット!

鬼や魔女などすごい格好でなりきった先生達が一人先回りをしてヒントや仕掛けを仕込むこともあり、それが園庭から見えて爆笑したことが何度かありました。どう考えてもあの格好は散歩をしている近隣の方に見られたらそれこそ怪しく、本気で通報されてしまうのでは?!と心配したことも…(笑)そんな危険を冒してまで子ども達のあそびに寄り添い奮闘する先生達でした。

私も風の子に様子を見に行った時、ご近所のSさんが散歩中で、「ん…?園長先生。あの方は江戸時代を演出していらっしゃるのかな?」と質問されたのが下の写真のR先生。

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「いえ…あれは浦島太郎です…」答えた私も苦笑い。ボロボロの衣装を身にまとい身を削っての風の子探索中でした。

さらに進むとちょうど狼探しに来ていた年少組に遭遇。

狼探しに夢中の年少児がまたまた散策中のご近所Sさんを見つけると、「おじさーん!オオカミみませんでしたか~?!」と駆け寄る姿が。

Sさん「ん?オオカミ?オオカミというのは野生のオオカミのことかい?」

ひかり組「やせい???・・・・・・???・・・・・」

Sさん「あのね、野生のオオカミというのはね、絶滅危惧種で日本にはおそらくもういないんだよ。だから風の子にはいないな~。よその国なら…例えば…(Sさんは次々と野生オオカミの生息する国を挙げていき)」

ひかり組「・・・?・・・でも幼稚園にいたよ!それで逃げていったんだよ!」

Sさん「ん…?!幼稚園に現れた?」

こんな最高に楽しいやり取りが続きましたが、副担任のM先生が見かねてその場を離れ、狼の被り物をかぶり遠くの茂みから「ガオォォォ~」と姿を現すと、「あああ~!!やっぱりいたぁぁ~!!」と駆け出すひかり組さんでした。

残された私とSさん…。

「すみません。劇ごっこであそんでいる最中で。いろいろお付き合いいただきありがとうございました♡」と私もその場を静かに離れました(笑)。

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こんな楽しいことが約二週間の間、至るところで繰り広げられました。

風の子からそろそろ帰ろうかと思っていたら、幼稚園の方から「ウオォォォ~」と公園まで聞こえてくる声!一年目のかわいいM先生の声でした。普段は穏やかで優しくにこにこのかわいらしいM先生からは想像もつかない、こんなところまで響き渡るような迫真の演技!驚きでした!

(こんなに大きな声!そしてあの迫真の演技!やればできるのね♡)と大収穫もありました。

子ども達は楽しいこと、面白いことが大好き。そして劇あそびには失敗や間違いがない。だから自由に想像したり考えたりしながら言いたいことを言ったりアイディアを出したりできるのです。年少の副担任のM先生から「普段控えめな子がこの劇あそび中に言いたいことを言ってくるようになったし自己表現も豊かになって~」と嬉しい感想がありました。

きっと子ども達のみならず先生達もたくさんの収穫ができ成長できた実りある二週間だったと思っています。

さて2月ももう終わり。

学年の集大成の時期です。

世の中は感染症のニュースで心落ち着かないですが、このまま卒園進級を迎えられるよう願いながら過ごしていきたいと思います。

 

 

園長    伊勢 千春

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避難訓練からの学び

今年度5回目の避難訓練を先日行いました。

今回は火災を想定し、消防署と連携を図り、スモーク訓練と通報訓練を行いました。

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通報訓練は今回は職員室をいつも守ってくれている事務のS先生。訓練とはいえ実際119番通報するわけですから、少なからずドキドキするものだと思います。しかしS先生、とても落ち着いた対応でした。

そして、一階廊下の踊り場は設置されたスモークマシーンからでた白い煙があっという間に広がり、あたりは真っ白。「前が全然見えない…」「変なにおいがする」と時々声が聞こえ、そんな声がするたびに「煙を吸い込むからおしゃべりしません!」と私に一喝されるのでした。

それでも子ども達は教師の指示に従って、しっかり鼻と口をハンカチで抑えながら腰をかがめ避難することができました。今回は風の子公園から出火したという設定だったため園庭ではなくホールに避難しましたが、消防士さんからは避難の仕方についてとても上手だったとお褒めの言葉をいただきました。

そして消防署の方からは、「今回の訓練で発生させた煙は白くて少し甘い匂いがしたかもしれないですが、本当の火事の煙は真っ黒ですごく臭くて4~5回吸い込んでしまったら倒れて動けなくなってしまいます。」というお話も聞きました。訓練が終わった後、消防隊員の方からは万が一の時、命を守る方法としてさらにこうしていくとよいというお話をいくつか聞きました。その中で特に印象に残ったことがありました。それは、もちろん先生や大人の指示に従って動けること避難することは大事だけれど、最後に自分の命を守れるのは自分しかいない。だから幼稚園の子ども達のように小さくても、万が一の時どうすれば命が助かるかということを日ごろから家庭や幼稚園で子どもと話し合うことが必要なことだとお話をいただきました。例えば地震が来たらとにかく頭をしっかり守るということ、そして身の回りに落ちてきそうなものがあったりガラス窓があったりしたらその場から離れるなど、普段から子どもと確認すること。そして危険な場所は自宅ならどこか、幼稚園ならどこか、逆にここなら安全…ということを子ども自身に考えさせることなどが自らが考えて行動し自分の命を守ることにつながっていくということをいわれました。

当園の考えにおいても、『自分で考えて行動する』ということは普段の保育の中でも大きな比重を占め、子ども達の土台作りにおいて大事な部分と考えています。年齢によって自分で考えて行動する内容はもちろん変わってきますが、大人の指示で動けるから大丈夫…ではなく、3歳なりに5歳なりに自分で考えて動くことのできる子ども達の姿を目指しています。消防署の方のお話を伺い、これらの考えは最終的に自分自身の命を守ることにもつながるのだと、違う方向からの見方もできました。

後日、担任達が書いたクラス便りの中で「訓練用の真っ白な煙だったのに前の子と少し離れただけで見失ってしまいそうなほど視界が悪い。子ども達も私たちも煙の怖さを知る良い経験になった」「歩くと前が見えづらく前の人についていくのも大変。本当の火災はより黒い煙で暗くはぐれやすくなるだろうとハッとした」というような文が載っていました。子ども達だけでなく、担任も身をもって実体験したからこその声だと思います。だからこそ次はどのような点に注意を払いながら避難させたらよいかなど具体的な策がうまれるのだろうと思います。そのようなことを担任達も感じることができたならば、この訓練は実りあるものになったはずです。

今回、消防署の方からお話いただいた内容で即実践できるものはすぐにでも取り組み、次回の避難訓練でできるものは即次回から。地震や火災、災害はいつ起こるかわからず明日にでも起こりえるかもしれない。そう考えるとスピード感をもって行わねばならないこともたくさんあるはずです。これまで行ってきた避難訓練の計画や内容を再度よりよいものになるよう見直し、進めていきたいと思っています。

まずは次回の避難訓練。職員にも子ども達にも内緒の抜き打ち訓練を行います!

 

 

園長    伊勢 千春

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めるへん座談会

先日、めるへんを卒園したWさんとSさん、そして在園中のOさんの三人が園長室を訪れました。

というのも、この皆さんは歌のサークル「コールめるへん」のメンバーで、皆さんの歌う曲の中には当園の初代園長富田先生が作詞されたものもありました。富田先生は児童文化にも大変精通していらしたので、私も本当に多くのことを担任時代学ばせてもらいました。そんな話をたびたびしていたこともあり、「富田先生の理念やめるへんで脈々と受け継がれてきたことなどを是非聞かせてもらえないか」というお話があったので、それはそれは是非!ということになったのです。

富田先生がいつも私達に口にしていたことは、「幼児教育は親の教育7割、子どもの教育3割」ということでした。『幼児期の教育は家庭教育が柱』とのことからです。どんなに子ども達を教育しても親の意識がどうあるかによっては何の意味もないことになりかねないと常々言われてきました。ある程度の経験も重ね、自分も母親になった今なら、その言葉の意味はよく理解できます。しかし、夢をもって幼稚園の先生になり希望に満ち溢れていた当時新任だった私にとっては驚きの言葉でした。私たち教師にとっても大変厳しい先生でしたが、保護者にとっても厳しく、今の時代に富田先生がいらしたら、どんな言葉をかけていただろうとふと思うことがあります。

人にものを伝える時の話し方、日本語の美しさを子ども達に伝えるためにはまず子どもに接する大人が正しい日本語を使わねばならないこと、そしてよその家や職員室に入るときは上着を脱ぐ、食事の時はファッション云々ではなく帽子をとるなど幼稚園教諭というよりは、人としての作法や礼儀などを、大人が普段から意識していくことが子ども達にとっても自然の教えにつながると教わりました。かなり厳しい教えを受けたり、たくさん叱られたりもしました。しかしその叱られたことがその後の私の保育に対する向き合い方や仕事に対する姿勢に大きく影響し、後に富田先生はきっとこういうことを伝えたかったのだろうと理解することができました。そしてその厳しい教えがなかったら今の自分の幼児教育に対する思考や子育てへの向き合い方は違ったものになっていたと思います。

現在のめるへんには富田先生の教えを受けた先生はほんの一握りになってしまいましたが、それがめるへんの教育の太い柱になっていますから、職員が入れ替わっても、何年たっても何十年たってもそれらの教えを脈々と先生達や保護者の皆さんに伝えていきたいというお話をさせてもらいました。そんな話の流れからWさんSさんOさんからも現在の小学校のお話など私も興味深いお話を聞くことができ、やはり昔の人の教えはすごいね…ということで全員納得。時代はどんどん変わって社会全体の考えや親の考え方も様変わりしているけれど、子育てに対しても人としても大事なことは時代の流れに流されずにしっかり見極めていきたいね…ということで話がまとまりました。

話の最後に、「お忙しい中、お時間をとっていただき~」といわれましたが「いえいえ『握ったらひらけ、ひらいたらまけ(撒け)』ですから」とお伝えし、富田先生が幼いころにおばあちゃんからよく言われ年をとっても忘れられないでいるとおっしゃっておられた、このフレーズを私も大事にしていることを伝えました。自分がもらったお菓子を周りに分け与えず独り占めしていた幼い頃の富田先生が、よくおばあちゃんにこの言葉を言われていたそうです。「自分の手に入れたものは握ったまま独り占めせずに周りのみんなに分けるものだ」という教えです。私もその言葉を聞いてからは、自分の伝えられることや得たことは自分だけのものにせずに周りの人と分かち合ったり共有したりしていこうと思い今に至ります。今回こうして皆さんとお話しできたことで私も得ることがたくさんあり、これからも人とのかかわりを持ちながら自分自身も豊かになれたらと思っています。そうしていくうちにきっと撒ける種も自然に増えていくのではないかと思います。

皆さんともぜひ機会があればいろいろなお話ができたらと思っております。日々の子育ての悩みでもどんなことでも、よろしかったらぜひお声をかけて下さいね。

 

 

園長    伊勢 千春

 

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