園長先生のつぶやき

心に思うこと、その時感じたことをそのまま綴る、園長の徒然日記です。

2017年03月07日

今年度の誕生会も全て終わり、ひとりひとりの誕生を祝うことができました。

毎年、年6回行なっている誕生会では、クラス毎に誕生日の意味をみんなで確認するようにしています。最初の頃は特に年少児は「誕生日ってどんな日?」との問いに、「ケーキ食べる日」「プレゼントもらえる日」という答えが返ってきます。もちろんそれも間違いではありませんが、誕生日っていうのは、お母さんのおなかの中から生まれた日なんだよということを伝えています。当たり前のことですが、これがなかなか子どもからは出てこないのです。そして、ひとつ年が大きくなる日で、お兄さんお姉さんになる日…ということは、自分でできるようになることもたくさん増えるんだよ…ということを知らせています。でもそれには自分一人で大きくなっているのではなく、おうちの人達みんなのおかげでこうやって大きくなれているから、誕生日は周りの人たちにありがとうの感謝を伝える日でもあるんだよということを話しています。

ケーキ食べる日、プレゼントもらえる日!と言っている子ども達ですからこのことを理解するのは難しいと思います。しかし年6回、それを二年間、三年間と繰り返していったらきっと子ども達の意識も少しずつ変わってくるだろうと、願いを込めて行なっています。

そんな話を私も誕生会の講話の中でさせていただいています。

そして今年の講話のテーマは 『人との関わり』 に焦点を当ててみました。

人との関わりというのは、もうすでにこの幼児期から始まっている人としての勉強で、学校へ上がっても、社会人になって親になっても一生続く勉強だと思っています。

人と関わっていく中で自分と違う考えや意見、価値観にぶつかることは往々にしてあります。その自分の思いと違うものとどう向き合っていくかが問題になってくるのだろうと思います。

私自身も子育て、仕事、様々なことで悩んだり迷ったりします。しかしそんな時一人で考えていてもなかなかいいゴールにたどり着けないことが多く、その状況を打破できた要因は、周りから入ってきたいろいろな人の言葉や考え方でした。何気なく見ていたテレビで誰かが話していたことだったり、新聞記事からだったり、読んでいた本の中からだったり…。状況や環境が違っても、今の自分の現状に置き換えて考えることができる…ということが結構身近には転がっています。

中にはスッと心に入ってくるものもあれば、今まで自分にはそのような考えや思いは全くなかった、もしくは真逆のとらえ方をしていた…ということだってあります。しかし話を聞いて「なるほど、そんな見方もあるのか」という目からうろこ!的な経験も幾度かありました。そしてそんな中から今の自分の心にピンときた言葉や考え方を取り入れて様々なことをクリアしてきたなーと思っています。ですから「この人は自分と考えが違う!」とすぐにシャッターを下ろしてしまうのは個人的にはもったいないと思っています。たとえ自分とは考えが違っていたり私はそんなふうに思わないけれど…という場合だったりしても、「人によっていろいろな考え方や捉え方があるんだなー」 という別の考え方に出あうということはすごくためになると思っています。

私もよく娘に小言を言うとき「あんた、普通こうでしょ!」「普通に考えればこうだよね?!」なんていう言葉を発してしまいます。しかしこの場合使う「普通」とは自分の物差しが基準になっているのです。自分の考え方の物差しが全て正しいということはありませんし、自分とは真逆の物差しを持っている人だっている。みんな同じ物差しを持っていないという現実をしっかり受け止めることが、人と関わる中では大事になってくるのだろうと思います。私もそうは分かっていても、子育てしているとやっぱりこんな言葉を発しては反省…ということがよくあります(苦笑)。

難しいことですが、そこをしっかり理解し、意識しないでいると、考えの違う人のことを受け入れられなかったり、敵視してしまったりすることになってしまうのかなーなんて思っています。自分の中でここは譲れないという部分を持ち得ることは大事なことですが、折り合いをつけるところを見つける柔軟さを持ち得ることも大事かと。

 

今回私がこのテーマを講話に選んだのは、最近読んでいる教育本などでも、子どもを取り巻く周りの大人に焦点をあてたものがとても多いのです。大人がもっと寛容な心をもって、子どもや社会に接していくことが大事なのではないか…きっと子どもはそういう大人の雰囲気を感じ取るはず…と思っており、取り上げてみました。大人社会の人間関係が子ども社会にも影響を少なからず与えていること、そしてあの人は考えが違う、分かってくれない、と目くじらを立てる前に、一度一呼吸おいて、人はそれぞれ考えや価値観の物差しが違うんだということを意識すると、ストレスにもなりにくいのかと思ったり。実際私自身、「まあ、そんな考えもあるか。」「なるほどなーこんなふうに受け止める人もいるんだな。」という考え方が比較的定着しているので、イライラすることがほとんどなく、これはいいことかも♪と客観的に自己分析しています(笑)。

いずれにしても子どもは大人が気づかないうちに親や大人の背中を見ています。このことだけは肝に銘じ、子どもに言う前にまず自分、人に言う前にまず自分…そんな呪文を日々自分に唱えています。

 

 

園長    伊勢 千春

 

 

 

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