園長先生のつぶやき

心に思うこと、その時感じたことをそのまま綴る、園長の徒然日記です。

2017年03月01日

3月に入りました。

もう少しで東日本大震災が発生した3月11日がやってきます。この日が近づくたびに、いざという時のために日頃から何ができるか、何をしなければならないのか考えさせられます。

当園では年6回避難訓練を行なっていますが、この6回の訓練では火事と地震を想定したものを中心に行なっており、その都度ねらいを立てて取り組んでいます。

一回目はまだ子ども達が幼稚園に入って間もない時期に。大きなねらいは 『非常ベルの意味を知ること』 です。始めて幼稚園に入った子ども達はこの非常ベルがどんな時になるのか、なったらどうしなければならないのかなど知らないことがたくさんあります。最初にこのベルの音を聞くと、怖がって泣いてしまう子もいます。でもそうなんです。非常ベルというのは子ども達にとっては怖いこと、危ないことが起こった時になるもの。だから怖くなければならないと思っています。地震や火事など怖いこと、危険なことが起こった時になるベルだよ、ということを最初の訓練の時にまず伝えています。非常ベルが鳴ったら話をやめてその場で動かず放送に耳を傾けること、近くの先生の所に集まることなど、非常ベルがなったらどうしなければならないのかを伝えて実際に避難をするという訓練に入ります。

これが少しずつ回を重ねるごとに、地震の時は頭を守る、火事の時は煙を吸わないように口と鼻をハンカチなどでおさえる等避難する時も地震と火事とでは少しずつ違うところがあるということも伝えています。避難訓練のシチュエーションもいろいろと変え、クラス毎の集まりの時間だったり、給食の時間だったり、自由あそびの時間だったり、登降園の時間だったり。整ったクラスの時間だけではいろいろな場の変化に対応できなくなりますから、時間帯もいろいろ工夫しています。また、クラスの机が出ている時間の地震想定の訓練の時は机の下に隠れる、自由あそびの時間で万が一担任が近くにいなくても、そばにいる先生のところに集まるなど、その場その場でどうやって自分の身を守るのかを知らせながら、6回の訓練をこなしています。

本当の災害はいつ起こるか、どんな状況の中で起こるか分かりません。だからこそ、しっかり訓練をしながら万が一の時に備えられる術を身に着けさせたいと考えています。

それは子ども達だけではなく、私も含め教職員の訓練であるという認識もとても重要だと思っています。もし万が一災害が幼稚園で起こった場合、年齢の小さなこの子ども達の命を守れるのは私達しかいません。ですから私達教職員がしっかり子ども達と一緒に真剣に避難訓練に向かわねばならないと思いますし、そのためにはパターンなどもマンネリになってしまってはだめだと思ってます。

そこで今年は消防署に依頼をしてスモークマシーンを使って実際煙によってどのくらい先が見えなくなるのかなどを実体験しました。様々なことにおいて実体験というのは日頃からとても大事だと思っていますが、今回やはり実際に自分たちが経験してみるということは大事なんだということを改めて知りました。

この訓練の時ポケットにハンカチを入れていなかった子が、「煙が入ってきちゃって、手で鼻と口を隠すの大変だった。でももう大丈夫!ほら!」とポケットからハンカチを出して見せてくれました。今までもハンカチのことは担任からも訓練があるたびに聞いていたこととは思いますが、やはり実際の煙を体験したから身をもってハンカチの重要性を知ったのでしょう。「前が全く見えなかった」「モクモクしてて先生も見えなくなっちゃって怖かった」と話している子もいて、これもやってみたから分かったことなのだろうと。いくら耳で聞いて頭では分かっていても実際自分が身をもって学ぶという体験は特に年齢の小さな子ども達にとっては必要なことなのかもしれませんね。

先生達も実体験!実際に消防署に電話をかける通報訓練、消火器を使っての消火訓練なども取り入れています。

災害はいつ起こるか分かりません。だからこそ、万が一が起こった時に慌てず対処できるよう日頃からこのような積み重ねを大事にしなくてはならないと思っています。

 

 

園長    伊勢 千春

 

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