2024年02月14日
先日、自宅ポストに入っていたフリーペーパーに『子どもが描く未来・理想の家』というタイトルで絵画が2枚表紙に載っていました。子どもが自由な発想でこんな家があったらいいなという想像画でした。
めるへんでも絵画活動はもちろん行っており、年長になると『想像画』として『こんな乗り物あったらいいな』とか『魚の王様ってどんなかな』など、想像を膨らませながら楽しめる造形活動を行っています。クレヨンや絵の具を使って自由にのびのびと絵画活動を楽しめたらいいなという思いです。
そして、このフリーペーパーの表紙に載っていた二枚の絵と解説などを目にし、ふと作品の名前に目をやると、「あれ?これはめるへんの○○ちゃん?!」しかももう一枚の絵は「ん?!こちらは卒園生の○○君…?!」と二枚の絵がめるへんの在園児と卒園生?という驚きでした。
今年度は八木山動物園の作品展にも応募し、表彰された年中男児もおりました。もしかすると、もともと絵画活動が得意だったり描くのが好きな子だったりということがあったかもしれません。しかし、自由応募で描いてみたい、やってみたいと思うこと自体素晴らしい事ですし、それに寄り添って応募までの段取りを進めた親御さんも素敵だなと思います。
誰にでもそれぞれ得意なこと不得意なこと、好きなことや苦手なことがあるはずです。
当園の先生達の中にも絵やイラストがとっても上手な先生もいれば、文章を書くことが好きな先生もいます。ピアノが得意な先生もいればピアノは苦手だけど体を動かす運動あそびが得意な先生もいます。当然と言えば当然のことで、それぞれに得意分野や不得意分野があるのが当たり前でしょう。先生達を見ていると、ピアノが得意、イラストが得意、裁縫が得意だったり運動神経が抜群だったり。「○○先生と言ったらこれ!」というそれぞれ得意分野があって羨ましいな~と数年前に感じたことがありました。私の得意なことってなんだろう…私の個性ってなんだろう…と考えた時に得意なことや人より秀でていることが悲しいことに何も思いつきませんでした。以前一緒に勤めていたM先生も作り物がとても得意で自分で作ったブラウスを着て出勤したこともありました。ですからそんな先生達を横目に、私の得意なことって…とふと考えた時にひとことで言える得意なことが何も思いつきませんでした(涙)。私はこれといって得意なこともなければ個性もないのかも…ということを、ぼそっとM先生につぶやくと、「え…?千春先生なんて個性の塊じゃない」と言われてびっくりました。「え?どうして?人と比べてなにも秀でたところがないのに?!」と。しかしM先生と話をしていて、個性とは決して他の人と比べて秀でている部分があるということだけではないということに改めてその時気づきました。
得意なことにかかわらず、その人の持っている雰囲気だったり考え方だったりふるまいや行動だったり…全て含めて個々の『個性』といえるのですよね。
以前、当園に在籍していたMちゃんとお母さんはお魚に詳しく、特にグッピーにとても詳しくて、幼稚園にも飼育物として自宅で育てたグッピーを分けて下さったこともありました。私はMちゃん親子を「グッピー博士」と呼んでいろいろ教えてもらっていました。その当時「先生も何かの博士になりたかったな~(過去形)」とMちゃん親子につぶやくと、Mちゃんママから「え…?園長先生だって【めるへん博士】じゃないですか」と言われたことがありました。「誰よりも長くめるへんにいて、園長先生に聞けばめるへんのことはなんだってわかるじゃないですか」と言われたことがあり、目から鱗でした。「私がめるへん博士?!そうなの?!もしそうだとするならば、『博士』の名に恥じないように、もっともっと子ども達を見て、先生達を見て、保育も極めなければ」とやる気がますますみなぎったものでした(笑)。お恥ずかしながら何とも単純です…。
そういえばめるへん博士でふと思ったことがありました。私はこれまで「できれば○○を続けてみよう」とか「今日から○○を実践してみよう」と様々なことに興味があり、やってみたいという意欲や実際取り組んでみる行動力は多々ありました。しかし、これがなかなか続かないのです…。今回は絶対こうしようとかこれを頑張ってみようと思って勢い勇んで取り組み始めても、本当にごく短期間(数回)しか続かず、長続きしない性格で、それは家族には十分周知の事実です。自分でもかなり自覚はあります。だから「次は絶対!」とか「○○やってみようかと思って」という話を家族にすると「絶対無理だって。自分が一番よく知ってるよね」と取り組む前からピシャリと言われるのがオチなのです。
しかし確かにめるへんだけは、気がそれたことが一度もありません。もちろん落ち込むことも悩むことも多々ありますが、毎日が学びで、次はこうしようと決めたら絶対やりこなしたいし、問題を試行錯誤しながらなんとか解決したいし、楽しいことは皆とも共有したい…そうこうしている間に気づけばここでの生活だけは相当長い年月が経過していました。こんなに長続きしない自分がです。
大人も子どもも興味関心の向きどころは人それぞれ違いますし、得意なことも不得意なことも、好きなこともみな違います。だからこそそれが『個性』なのですね。自分の物差しも塩梅も人それぞれ。「みんなちがってみんないい」という言葉を聞きますが、その通りだなと納得です。
私も、人より秀でた特技などは全くありませんが、めるへんへの興味、幼児教育への関心は大きく、だからこそ長く続けていられるのかなと思うと、それが私の個性の一部として自分自身を受け止めていきたいなと思っています。
子ども達も私達大人もそんなひとりひとりが持つ個性を自分自身も受け止め、他の個性も受け止めていけたら、皆が補い合い輝けるのでしょうね。
園長 伊勢 千春