園長先生のつぶやき

心に思うこと、その時感じたことをそのまま綴る、園長の徒然日記です。

2024年01月25日

めるへんを代表する教育活動のひとつ『劇あそび』の二週間が終盤を迎えます。

保護者の皆さんが『劇』と『劇あそび』の違いをイメージするのはなかなか難しいため、この時期毎年劇あそびについて触れています。

皆さんご承知の通り、台本があってひとりひとりの役が決まっていて、観客にみてもらうために練習するのが『劇』ですが、『劇あそび』は台本無し、なりたいもの(役)はそれぞれ自由、発表するものではないため練習の必要なし…それが劇あそびです。

保護者の皆さんからすれば、かわいらしい衣装やその役に見える衣装をきて、舞台に上がる我が子を見たいという思いもあるかもしれませんし、舞台で立派に自分のセリフを言って役割をこなすという行動も、ある年齢になれば必要なことかもしれません。しかし、幼児期にとって必要なあそびの中の学びとは…と考えた時に、想像力や創造力、表現力や工夫する力、自分の思いを伝える力に人の意見や発言を聴く力…様々な力が養われるのが劇あそびなのです。だからこそ、当園で長きにわたってこだわり、大事にしてきた教育活動のひとつとなっているのです。

例えば『桃太郎』というひとつの物語がベースになっていても、実際のお話に出てくる動物に限らず、なりたい動物になったり、鬼を退治する方法を皆で考え、作戦を立て、失敗したらまた作戦を練り直したり。鬼の住んでいる家(鬼ヶ島)を段ボールや机、いすなど身近なものを利用して作ったり自分のなりたい役に見えるよう身体表現をしながら、お面や小道具をつくったり。とにかく劇あそびから芽生える子ども達の発想力や想像力(創造力)は果てしないのです。

先日、いつも子ども達の降園時間に、廊下やトイレの清掃をして下さっているTさんが、「この時期のお掃除は難しくて(笑)」とおっしゃっていました。ゴミに見えるような紙屑が廊下に散らばっていると「それは○○に仕掛けた罠だから」と掃き掃除しないようにお願いされたり「これは…必要なものかな…?」と思うと案外そうでもなかったり。この時期の清掃は、まるで園内の鑑識をしているみたいだと(笑)。

この時期の保育室や廊下は、私達大人から見ると本当にまるでゴミ屋敷や荒らされた廃墟ように見えることもしばしば(苦笑)。昨日はたまたま来客があり、保育室を一緒にまわらなければならない状況で、様々なものが散乱している保育室と興奮しながらのめり込んであそぶ子ども達の勢いに冷や汗ものでした(笑)。そして来客をご案内していた私自身もトイレに潜んでいたカニに扮した年少S先生に「ぎゃあ~!」と驚いて声を出してしまったくらいです。(←本当はかわいいカニだったのですよ♡)大人が思う綺麗さや整えなど目に見える形に縛られないのが子ども達。綺麗だの汚いだの見た目の形なんて、劇あそび中の子ども達にとっては全く関係なし。むしろ散らばっている紙屑を「誰かの仕業かも!」と想像を掻き立てたり、悪者に仕掛けた罠にする工夫につながったりしているわけですから、そう考えると、見た目のきれいさやいかにも形が整えられている環境では、もしかすると逆に想像力や工夫する力が半減…なんていうこともあるかもしれません。

毎年のこの劇あそびの二週間は、先生達も子ども達のそんな世界観にどっぷりつかり、子ども達のアイディアや工夫をひとつひとつ救い上げながらあそびを構成していくわけですから、毎日が疲労困憊するわけです。もちろん中にはなかなかお話の世界にすんなり溶け込めない子だっていますし、登場する鬼や魔女が怖くてドキドキする子だっています。そんな個々の想いをどう救っていくかということも私達の大事な役目になってきます。意見やアイディアをたくさんだす子もいれば、それなりに見えるように黙々とモノづくりにいそしむ子もいたり、これまであまり関わりがなかった子とも意気投合して想像の世界を楽しんだり。このように個々の個性がキラリと光り、あそびのバランスが保てることもあれば、この子にこんな一面があったのね!とこれまで眠っていた力が開花し、驚かされることもあります。

だからこそ、先生達も確実にこの劇あそびという活動を通して、子ども達の育ちが大きく変わることを実感できる二週間となることは間違いないはずです☆

そんな劇あそびはきっと子ども達にも先生達にも大きな収穫を残してくれると思います。子ども達の育ちに少しでも彩が加わり、次につながっていけたらいいなと思っています。

 

そんな今日はかなりの積雪。

大雪の中、朝早くから預かりに入ってくれたM先生や日直のC先生。早朝から雪かきをしてくれていた技能主事のNさん、Mさんはじめ先生達。雪道を安全に子ども達を園まで送り届けてくれた運転手さんや添乗員さん。保護者の皆さんも小さな子ども達を連れてバス停までの道のりや園までの送迎は大変だったと思います。皆さんのおかげで今日も子ども達が劇あそびや雪あそびを存分に楽しむことができました。ありがとうございます。

早朝から園をはるかに超えて歩道の雪かきをしてくれた先生達でしたが、保育時間前に相当体力を奪われたのではないかと気がかりでしたが、今日もめるへんの先生達はそりあそびに大きな雪だるまづくり、そして劇あそびにと元気はつらつでした☆

たくさんの小さなことに感謝しながら、また明日を楽しみにしたいと思います。

 

園長    伊勢 千春

 

 

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