園長先生のつぶやき

心に思うこと、その時感じたことをそのまま綴る、園長の徒然日記です。

2020年09月25日

吹く風も秋の風に変わり、近頃は夜になると鈴虫やコオロギの声も聴こえてきて秋を感じるようになってきました。風の子公園へ出かけていく子ども達も、バッタを捕まえてきたり栗を拾ってきたりと自然の移り変わりを肌で感じることができるようになってきています。

さて、先日、おはなしの会の『がじゅまるの樹』の皆さんに紙芝居や絵本、パネルシアターなどを通しておはなしの世界の面白さを味わわせていただきました。会の最後に代表の久美子さんと観にいらした保護者の皆さんとで『親子で楽しむおはなしのコツ』というテーマのもと、ちょっとした座談会を設けました。その会の中で、お話の良さはいつどんな時でも誰とでも楽しめるところだと再認識しました。

当園では各学年ごと一年間に必ず触れさせたい歌・絵本・紙芝居を選び、保育に取り入れております。幼稚園で先生がクラス全体に向けて読む絵本の時間ももちろん楽しいし、おうちの人がお布団に入って寝る前に読んでくれる絵本やお膝に抱っこで読んでくれる絵本もこれまた格別でしょう。先生がクラスで読んでくれる絵本はみんなと笑いやドキドキを共有できる楽しさがあり、布団の中やお膝の上でおうちの人に読んでもらう絵本には大好きな人のぬくもりを感じながら静かに絵本の世界に入り込める良さがあります。先生には先生の良さがあるように、お母さんにはお母さんの、お父さんにはお父さんの、おばあちゃんにはおばあちゃんの良さがあり、同じ絵本でも読み手が変われば絵本を通して違う世界観を味わえることもあると思います。

座談会の中で、いろいろな絵本に触れさせたいと思っても親の好みと子どもの好みが違ったり、いつも同じ絵本ばかり読みたがったりする…という話が保護者から出ました。それに対してがじゅまる代表久美子さんからは子どもが読んでほしいという絵本を何度でも…というアドバイスがありました。

私も担任時代、特に年少を受け持っていた時は『ころころころ』『もこもこもこ』『へんてこへんてこ』『とりかえっこ』など、とにかく単純で何度も何度も同じことの繰り返しが続くような絵本が子ども達には大人気で、毎日毎日「せんせい!またよんでーーー!!」「もういっかいよんでー!」とせがまれたものです。「ええーーーー?!またぁ~?!」なんてふざけて笑いながら何度もその繰り返しを子ども達と楽しんだものです。そして何度読んでも子ども達には大うけでひっくり返って大爆笑の時間でした。1冊の絵本をこんなに何度も楽しめるなんて、絵本の持つ力はすごい‼と実感したのも担任時代でした。

我が子にも小学校低学年までは寝る前には必ず絵本を読んでいましたが、いろいろな絵本を読んでも我が子のお気に入りがやっぱりあって毎日毎日同じ絵本を読まされたものです。ちなみにうちの娘のお気に入りの絵本は『へびのひみつ』『いやいやえん』でした。

(  鳥肌が立ってしまいましたらすみません!!! )

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『へびのひみつ』はへびの脱皮や丸のみショット、産卵した卵など全てが写真で構成されていて、私としては毎回読むたびに鳥肌の立つ複雑な気持ちでした。しかし、娘がじーーーーっと食い入るように見ていた大のお気に入りの本だったため我慢我慢の連続でした。

そして『いやいやえん』に関しては少し悪さをする『しげる』という男の子のとりこになっていたようです。この絵本は『ちゅーりっぷほいくえん』が舞台で、なんでもかんでも「いやだ、いやだ」ばかりいい、約束をやぶってばかりいる『しげる』が主人公です。このちゅーりっぷほいくえんには約束事が70個くらいあり、しげるがやぶった約束は17個!という日も出てきます。しかし、しげるのやぶってしまった約束事がこれまた面白く、娘がまだ保育園に通っていた頃は、しげるのやぶってしまった約束事を娘自身は今日一日保育園で守れたか…を確認しながら絵本をみるのも我が家の日課でした。そしてしげるほどではないけれど、守れなかった約束が2~3個あることを告白してくる娘に「しげるほどではないから、まだよし!」と笑いに変えて大目にみる母なのでした(笑)。

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また、絵本の中で『しげる』が悪さをしても「ごめんー。ごめんっていったから、もういいでしょ!」と投げやりな謝り方をする場面がでてきます。実は娘はもう大学生ですが、私と娘との間でちょっとした言い争いが起きると、いまだにどちらかが「ごめんねっ!ごめんっていったんだから、もういいでしょ!」というしげるのセリフをまねて、逆に場が和みます(笑)。ちょっとした小競り合いをしていたはずなのに、どちらかがそのセリフを言うと「でた!しげる!」と言ってほとんどの言い争いがあっという間に笑いに変わり終息するのです。(ただし、何度もそれで逃れようとするときは「あんた、いいかげんにしなよ」とにらみを利かせます(笑))幼い頃大好きだった一冊の絵本を通してこんな日常がいまだ続いています。

 

年少さんは繰り返しのあるおはなし、年中さんは物語要素がでてくる絵本、年長さんは細かい描写の絵本を楽しんだり、逆に『いやいやえん』や『エルマーのぼうけん』のような、絵を楽しむというよりは耳で楽しむ物語を自分なりに頭に描き、想像で楽しむことができたりもします。その年齢によって楽しみ方はいろいろですし、子どもの個性によっても選ぶ絵本や楽しみ方はいろいろ。その子その子によって興味の深い絵本がどんな絵本であっても、それが仮に毎日同じ絵本であっても、お話の世界に触れていることには違いありません。そのうちこれまで全く興味のなかった違う分野の絵本に惹かれるかもしれませんし、逆に、例えば虫などの図鑑に興味がある子でいつも同じ種類の本にのめり込む子であれば、人よりも一つの分野にたけた知識が備わるはずです。それもまたすごいこと☆

 

さあ、読書の秋。

お話の世界をより楽しんでみませんか。

 

 

園長    伊勢 千春

 

 

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