園長先生のつぶやき

心に思うこと、その時感じたことをそのまま綴る、園長の徒然日記です。

2019年10月21日

先日、リチウムイオン電池の開発でノーベル化学賞を受賞した吉野彰さん。

あまり意識したことがなかったのですが、スマホやパソコンなどにはなくてはならないものだということが、恥ずかしながら今回のこの吉野さんの受賞でわかりました。

日本人が宇宙へ行ったりノーベル賞を受賞したりすると必ず会見が開かれ、たくさんのインタビューに答えたり子ども達にメッセージが伝えられたりして、私は毎回このような人たちの話を聞くのを楽しみにしています。会見が開かれると、テレビのチャンネルをひっきりなしに変えたり、新聞記事にもかかさず目を通したりしています。どんな頭の構造でものごとを考え捉えてきたのか、これまでの苦労はどんなものだったのか、そしてこれから未来に向けてどんな構想を持っておられるのかなど興味津々です。そして子ども達にむけてどんなメッセージを送るのか、自分に送られる言葉のような気持ちで毎回聞いています(笑)。自分のいる場所とは全くかけ離れたところにいる方だからこそ、余計にどんな考え方をしているのだろうかと興味がわきます。

今回受賞を受けて最初の会見で、長い研究の中で大事にしてきたことや大切だったことなどを聞かれた吉野さんが答えられていたこと。ひとつは粘り強さを持つということ。そして壁にぶつかっても何度も耐えていくという執着心。これらが絶対必要とおっしゃられていました。しかしそれだけでは疲れてしまうから、壁にぶつかった時にどうにかなるさ、まあなんとかなるさという柔らかさも大事で、この二つのバランスをどうとっていくか非常に難しいが重要なことだと話していました。

研究者である吉野さんの言葉ではありますが、決して研究者にだけ必要なことではなく、どんな職業においてもどんな人にもどんな立場であってもこれは大事なことだと言えることなのではないかと思いました。職業人としてももちろん大事な部分ですが、私自身家に帰れば母親でもあり、そのような違う立場になってもこのような考え方は大事だなーと妙に納得してしまいました。物事に対して粘り強く、そして壁にぶつかってもそれを何度も耐えてまたそこに向かうということはかなりエネルギーの必要なことですが、だからこそ、そこを時には少し緩めたり、楽観的に考えたりしなければ周りも自分自身も疲れてしまうでしょう。そう考えると、頭の柔軟性、考え方の柔軟性は大事な部分だろうと思います。

そして、何よりも私が今回のことでワクワクしたことが2つありました。

それは、今後は電気自動車への応用も含め、リチウムイオン電池は環境問題に対して答えを出していく使命を帯びているとの話から、近い将来『空飛ぶ車』も実現が期待されるとのこと。皆さん、空飛ぶ車ですよ~!!!私の中ではワクワク以外ないです(笑)!漫画や映画に出てくるような映像が現実となる日が来るかもしれないことを考えると、何年先、何十年先かは分かりませんが、想像が膨らみます。私自身がそこに立ち会えなかったとしても子ども達の未来は決して悪くない、きっとこうして新しい未来が創られていくのだと思うと何だかドキドキしてきます。娘は「そんなに発達しなくてもいいんじゃない?」となんともクールでしたが、今年の台風のように災害で救助に向かう場面や環境問題など様々なことを考えると私は発展してほしい分野だなーと期待します。

そしてもうひとつ。

会見の中で、「私達人類は自然現象の中で本当に理解しているのはたぶん1%か2%くらい。98、99%は未知の哲学の状態でいろいろなことが横たわっている。だからチャレンジすれば必ず誰かがとんでもないものを見つけたりとんでもない発明をしたりするだろう」ことをおっしゃっていました。すごいことだと思いませんか?こんなに文明は発達しているのに自然現象の中で私達が知り得ている事がまだ1~2%しかないなんて。残りの98~99%まだまだ未知のこと…ということは、これから解明されることや知り得ていくことはとんでもなく無限にあるといってもよいのではないでしょうか。

 

以前、高校の数学の先生をしていらした保護者のAさんとお話しした時のことを思い出しました。

私は理数系は全くの苦手分野で学生時代はその分野の面白さや楽しさがまるで分からず、なぜこういうことを学ばなければならないのか、これは将来役に立つのだろうか、いつ使う時がくるのだろうかなどということばかり考えていました。(この分野の先生方、大変申し訳ありません!!!) しかし、Aさんに何気なくそんな話をした時に「それは教えてくれる先生がよくなかったね、残念でしたね~」と、冗談交じりに笑われました。そして 「数学や物理、化学それら全般は、確かに将来全ての人の役には立たないことの方が多い。しかし、ごく一部、たった一握りの人でいいからそれらを学校で学んでいく中で、もっと知りたい、なぜこれはこうなっているのかもっともっと追究したい、という人を創りだすためにやっているようなものかもしれない。」 と言っていました。そのごくごく一握りの人の興味がそこに向かわなければ、今回のようなリチウムイオン電池にもたどり着かなかったかもしれませんし、そうだとしたらパソコンやスマホの誕生だってなかったかもしれません。そういう意味では、やはり全ての人にとって不必要な学びではなく、必要な学びとなるのでしょう。

そんなことを思い出していた矢先、先日の帰りに手に小さな石ころを握りしめて帰っていったA君。握りしめていたのは石ころではなく『化石』だそう!A君が言うには、めるへんの園庭には化石があるらしいのです。そしてお母さんの話によればA君は毎日化石を掘って家に持ち帰っているらしいのです☆ 翌日A君が、「先生!こっちきて!化石のある場所特別教えてあげる!」というので行ってみると、砂場用の熊手(←A君によれば熊手は化石堀りに必須アイテムだそう☆)を使って掘り堀り。掘り進めていく中で、「すごーい!今日は化石の他に土粘土も発見!」と興奮気味。

A君によれば、左下はただの石ころ。右が化石だそう。真剣に見分ける姿は何とも微笑ましい光景でした。

未来を担う子ども達。

この子ども達にたくさんの夢や希望を託しながら、私もワクワクの続きをしていこう…そう思う今日この頃です。

 

 

園長    伊勢 千春

 

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