園長先生のつぶやき

心に思うこと、その時感じたことをそのまま綴る、園長の徒然日記です。

2016年03月17日

3月17日(木)

今日は年長組さんの卒園の日です。

今年卒園する年長さんは、ひとことで言うと元気いっぱい!やんちゃで、でもちょっぴり甘えん坊。そんな子どもらしい子ども達だったような気がします。

卒園式の「お別れの言葉」の中で、ステージでひとりひとりが幼稚園を卒園するにあたり、楽しかったこと、忘れたくないこと、伝えたいことを発表する時間があります。具体的には、行事の事だったり、将来の夢だったり、両親への感謝の気持ちだったりと、子ども達がどうしても言っておきたい特別な思いを、自分で考え、担任が順番などを構成してお別れの言葉が作られています。

そんな中でふと思ったことがありました。

これだけめるへんでは裸足であそんだり、泥んこ遊びをしたり、風の子公園を縦横無尽に駆け回り、崖のぼりや木登り、虫取りや草花遊びをしているのに、そういえばいつも卒園式のお別れの言葉の子ども達のひとことの中には風の子公園のことや泥んこのこと、自然の中であそんだことが出てきていないのです。

子ども達の中にはそんなに思い出…というほどのことでもないのだろうか…などと思いながら、先日年長主任と何気なくそんな話になりました。

するとその先生は、

「きっと、泥んこあそびや風の子公園での木登り・崖のぼりは子ども達にとって【特別なこと】ではなく、いつでもできる【当たり前のこと】だったのだと思います。」

と言っており、その言葉を聞いてハッとさせられました。

そうか、そうだよなー。

年長さんは、毎日毎日、雪が降ってくるような季節になっても裸足で園庭を駆け回っていたなー。

泥んこあそびもいつものこと。泥団子を作ったり、川作りをしたり、落とし穴を作ったり(笑)、ずいぶんダイナミックにあそんでいたなー。

風の子公園も、行けば必ず木登りや崖のぼりは欠かすことができないほど、とことんあそんできていたな…。自然の中で見つけてきた虫や草花のこと、自分たちが見て触って発見した面白いことや不思議だったことを、帰ってくるなり伝えてくれていたよなー。帰ってきた子ども達の洋服はいつも土で真っ黒。てのひらや爪まで真っ黒になるくらい自然を堪能し、充実感いっぱいの笑顔で帰ってきていました。

子ども達のあそんでいる姿や表情が次々に思い出されてきました。

めるへんの子ども達にとっては、裸足で駆け回ることも、泥んこあそびをすることも、自然の中で思う存分あそぶことも、特別なことではなく、日常の当たり前のことだったのです。

しかしこれからは小学校に行き、今まで当たり前に楽しんでいたことが当たり前ではなくなるのだろうなーと思うと、ふと寂しい気持ちにかられました。

そして、当たり前だったことが、やがてその時しかできない特別だったことに変わっていくのだろうと・・・。

 

【当たり前のことが特別なこと】

子ども達にとってはまだこの意味を理解するのは難しいでしょう。

でもいつか大きくなった時に、幼稚園でいっぱいいっぱいあそんで楽しかったなーと思い出す日が来てくれたら、とっても嬉しいな…と思っています。

 

この幼児期に私たちが大事にしたかったこと。

心も体もたくましくのびやかに、そして人や自然、全ての生き物とのつながりを通して優しい心を育むこと。草や土のにおい、太陽のあたたかさを感じながら五感を研ぎ澄まし、心身で思いを表現していく。

めるへんの子には、今しかできない経験や体験をとことんさせること、この幼児期だからこそ経験させたいこと、体験させたいことを思いっきりさせること。

「与える教育」ではなく、自ら考え伸びようとする力を引き出すこと…それが私達の思いであり、希いでありました。

 

103名の年長さん。

これからもずーっとずーっと応援しています。

いつでも遊びに来ていいんだよ。先生たちみーんなで待ってます。

だから

胸を張って元気に小学校へ、いってらっしゃい。

 

 

園長    伊勢 千春

 

 

 

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