園長室から

持ち得たい想像力 

以前、新聞を読んでいたらこんな記事が載っていました。

 

『混み合ってきた電車内で、女子高生が自分の前に立った高齢女性に席を譲ると、「結構です。すぐ降りますから」とあっさり断った。女子高生は気まずそうに前の車両に移動して行ってしまった。聞けば似たような経験をしている若者が結構いるようだ。例えば、席を譲ったら、すぐ降りると断ったのに、しばらく立っていて恥ずかしく格好悪い思いをしたことがある。など・・・。若者の座席マナーの悪さについての批判はよく聞くが、一方的に小言を言うのもいかがなものか・・・。年配者の方も彼らの思いやりと小さな勇気にこたえる心構えが必要ではないか。だから私はもし席を譲られたらありがたく座ろうと思う。』

 

きっと声をかけられたお年寄りは自分はまだ席を譲られるほどの年寄りではない!とか、余計なお世話!のように感じているのかもしれません。しかし、この記事を読んで、そうだよなー・・・きっと席を譲るにも小さな勇気が必要であって、思い切って目の前の人に声をかけている人だっているだろうし、席を譲ろうと思う人の思いやりの表れなのになーと改めて思いました。

「相手の立場に立って物事を考えて行動する」 ということはとても難しいことだと思います。

7年間お世話になった元園長亀谷先生も、【他者への想像力】 という言葉をよく口にしておられました。

年齢の低い子ども達は、まだ自分の思いが上手く相手に表現できなかったり、相手の思いを察することができなかったりします。でも、これからがそのような能力を身につけていく大事な社会勉強期間になるわけです。幼稚園や学校はまさにそのようなことを学ぶためには欠かせない場所だと思います。

では、大人はどうでしょう・・・。

育ってきた家庭や幼稚園、学校で人との関わり方や相手の気持ちを考える…というような部分は少なからずきっと誰もが自然に学び、身につけてきた財産のはずです。しかし自分を取り巻く周りの環境、育ってきた環境などの違いや、長年付き合ってきた自分に染みついている、ものの考え方や受け取り方で、 【他者への想像力】 が上手く働く人とそうでない人が出てくるのかもしれません。

 

少し話はそれますが、私は人の話を聞くのが好きです。

様々な分野、年齢、地位など一切関係なく、いろいろな多方面の人の話を聞くのが好きです。

いろいろな人の話を聴いていると、人それぞれ考え方や意見、アイディア、受け取り方や解釈の仕方などが様々で、同じひとつの事に対してもこんなにいろいろな考え方や受けとり方があるんだなーという発見ができるように感じるからです。それはたとえどんな意見や考えであってもです。自分に近いものもあれば、自分では全く想像もつかないような考えや捉え方をしている話を聞くことも時にはあります。でも、そんな話を聞いた時でも、なるほど、こんなふうな受けとめ方をする人もいるんだ…といういい意味でいえば新たな発見をしたようにも感じます。

実際私のこれまでの経験の中でも、自分では全くそんなふうに物事を考えたことがない…人の話を聞いて目からうろこ!ということについても、今ならその考え方がよーく分かる!ということもありますし、そんな時は、その話を聞いていて良かったなーと思います。

こうしていろいろな人の話を聴いて、仮に自分はそんな風には受け止めないなーという事柄でも、実際自分と全く正反対の考えや受け止め方をする人もいるわけだから、そのことがわかっただけでもまた新たな発見であり、そんなふうに考えてみたら実際どうだろう~と想像してみたり、何か一つでも自分自身の今後の考え方や行動のプラスになることもあるのではないかと思ってみたり…。

そんな自分の「人の話を聞くのが好き」という個性?もまた、【他者への想像力】 を膨らませ構築していくことのひとつにつながっていかないかなーなんて思っていました。

 

電車の席の話からとびましたが、大人も自分の周りや相手への想像力をもっと豊かにしていくことができたなら、自分を取り巻く小さな世界にも少しずつ豊かな心が広がっていくのではないかと感じます。前回の私のしくじり体験も、まさに【他者への想像力】(この場合は娘の思いへの想像力)に欠けていて失敗してしまったわけですから…。

そしてそのような大人の行動や態度、言葉は、近くにいる子どもにも間違いなく影響すると思います。子ども達を指導する前にまず自分!我が子に言う前にまず自分!本当に人に言える自分であるかな・・・?いつもそんな自問自答をしながら試行錯誤する毎日です。

 

 

園長    伊勢 千春

 

 

 

 


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