園長室から

童謡を歌い継ぐ

12月に入り、いよいよ今年も残すところあとわずかとなりました。

寒さが増してきているものの、まだ短パンで元気に走り回ってあそぶ子ども達の姿が見られています。そんな姿もまだまだみられる中、二学期最後には合唱会も控えており、保育室からは子ども達の歌声も随分聴こえてきています。

めるへんでの合唱会は 「生活発表会」 という位置付けで行なっています。普段からクラスの友だちみんなと一緒に歌を楽しんだり、歌を覚えて自信をもってイキイキと表現したりしている様子をみていただく…という意味で発表会を行なっています。

決して合唱会のためにうたを子どもたちにおろし、必死で練習する…という思いで行なってはいません。

もちろん、お父さんやお母さんに聴いていただくからには、それ相応の態度やみんなで心を合わせて発表する…という心の育成にもつながっていくと考えていますので、どんなふうに発表したらいいのかそのような部分も合わせて指導しています。

 

話は少しそれますが、今年の夏に新聞の情報で 『童謡はどこへ消えた』 というタイトルで作曲家の服部公一さんが童謡を歌い継ぐ大切さを訴えた本を出版したという記事が載っていました。

めるへんは創立から「童話と童謡」にもこだわって保育を行なってきました。それは初代園長が大事にしてきたことであり、私達も幼児教育に必要であると考え、現在もその想いを継承し保育にあたっています。ですから、この本のタイトルにも興味があり、一読しました。この本の中で ≪童謡は日本文化史の生き証人として貴重なモノ。生きている芸術なのである。これは歌い継がなくてはならない≫ という一文が載っていました。最近の童謡は言葉のリズム遊びに傾きがちでポエジーが足りないという指摘もありました。

よく初代園長富田先生は童謡の良さはその歌の情景が歌いながら想像でき、子ども達の想像力を育むためにも必要だということ、そして1番のみでなく、2番3番…とあるような童謡はだいたいが物語になっていると言っていました。だから何番かまである歌で歌詞がストーリーになっているものは、覚えたらしっかり最初から終わりまで歌うことでその物語の情景が子ども達の頭の中に浮かぶ…そんな歌い方をクラスでしてほしいということを言われてきました。そういう積み重ねが歌を通して子ども達の想像力にもつながると。

この本の中でいわれていたポエジーとはきっと詩情のようなもので、やはり詩情を楽しみながら歌うような情操教育はこの幼児期には必要であろうと思います。

歌詞だけしっかり覚えて歌うのと、歌詞の情景を思い浮かべながら歌うのとでは質が違うように感じます。

だからこそ、技術的な歌の上手い下手よりも、このような部分をまずは大切にしていきたいというのがめるへんの思いでもあります。

そんなことを大切にしながら普段から歌に親しんでおり、合唱会が近づいてくるとどの歌を披露しようか、先生たちで話し合いを重ね吟味しています。

子ども達の様子を見ていると、リズム感があってノリのいい曲や、テレビアニメの主題歌など歌詞が少し大人っぽいけれど耳慣れしているような歌を好んでいるような印象を受けます。

この本の中で、著者服部さんと歌の作詞や絵本なども手がける谷川俊太郎さんの対談が載っていましたが、その中で ≪子どもは多種多様な音楽を聴いている。それで好きなものを自分で見つければそれでいいんじゃないかなと思う≫というような話がありました。

童謡のみならず、様々な歌や音楽に触れることはとてもよいことだと思います。ただ、間違いなく子ども達の耳に童謡が触れる機会が減ってきていることも懸念されていました。今子ども達に関わる教育機関や保育機関で童謡を軽視したら、もしかしたら童謡は消えてなくなってしまうかもしれません。

だからこそ、めるへんの合唱会では子ども達が日ごろから歌っている童謡をどの学年の発表にも取り入れています。小さい子からおじいちゃんおばあちゃんの世代までが一緒に同じ歌を口ずさんだり改めて童謡にふれていただくいい機会…まさに童謡を歌い継ぐ…そんな合唱会になればいいなと願います。

 

園長   伊勢 千春

 

 


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