2014年05月30日
この頃、子ども達の間では、生き物の飼育を楽しんでいる姿が多く見受けられます。
コンポストの中をガサゴソあさってはダンゴムシをみつけ、草の茂みからはかたつむりを見つけ、隣の公園からはカエルを連れてきて・・・という毎日を過ごしています。
手にとったり、時には図鑑片手に学年を問わず一緒に観察したりもしています。
そんな中、毎日のように「先生、クモとりしよう」と誘ってくれていたS君。
S君のクラスではカナヘビを二匹飼っていて、そのカナヘビの餌になるクモをS君がせっせと毎日探していたのです。
この日も裏庭に一緒に行き、クモを3匹とって、クラスに戻りました。ところが、カナヘビが2匹とも全く動かない様子・・・・・よく見るともう命が絶えていました。
でもその時、私の目がいったのは、飼育ケース内の環境でした。土もなく餌もなく、飼育ケースの中にはプリンカップが5,6個入っているだけでした・・・。
飼育するからには、カナヘビが元いた環境に少しでも近づけてあげてほしかったということを担任やその場にいた数名の子ども達に伝えました。
何を隠そう、この私もカナヘビ愛好家(笑)。
最初のうちはカナヘビに与える餌のクモもプリンカップやビニール袋を使わないととれない軟弱者でしたが、もたもたしているうちにクモに逃げられ、餌不足の経験も繰り返していた過去がありました。
そのうち、クモに逃げられる前に捕まえねば!・・・という思いの方が強くなり、ジョロウグモサイズなら素手で捕まえられるようにまで成長し、いつも飼育ケースの中は餌のクモでいっぱいでした。
飼育ケースの中に山土や枯葉も入れ、木の枝などもいれてやると、寒い時は土の中や枯葉に潜って眠ったり、日中は枝に登って飼育ケースの蓋にいるクモを食べたりしていました。
これはカナヘビに限ったことではなく、子ども達が飼ってみたい!と興味を持ったなら、その生き物が飼育ケースの中で生活するためにはどんな環境がいいのかを考え、責任を持ってお世話をするという心育てをしていかなければならないのです。
この飼育ケースを見て残念な気持ちでしたが、数日後、このクラスの担任が発行したクラスだよりを見て、嬉しさでいっぱいになりました。
クラスだよりには以下のような文が載っていました。
タイトル 「ごめんね・・・かなへびさん」
先日、子ども達がカナヘビのおうちのところで「カナヘビさんがずっと寝てるよ、眠いのかな・・・。」と言っていました。よ~く見てみるとカナヘビは動かなくなっていました。この前OO組に仲間入りしたばかりだったので早いお別れとなってしまいました。OO組のみんなとどうしてこのようになってしまったのか考えました。「餌をもっとあげればよかった」「お水も・・・。」という声があがりました。最初の頃は餌探しを張り切っていた子ども達でしたが、日に日に餌をあげる回数が減っていったように思います。担任もカナヘビを飼っていくための環境づくりや子ども達への呼びかけなどについて勉強不足だったと反省しています。子ども達にとっても、担任にとっても今回は良い経験になりました。小さい生き物にも私たちと一緒で命があることに気づけたと思います。今後も生き物を飼育していく時に、今回の事を活かしていこうと考えています。
失敗がいけないことではなく、この失敗を先生も子ども達もどう受け止め、次にどう活かしていくかが大切なことなのだと思います。
「先生」という立場で子どもにだけ諭していくのではなく、教師自らも自分を顧みていく素直な姿勢が大事なのだと思いました。
このような実体験を、子どもも先生も日々繰り返しながら成長していける、そんな幼稚園でありたいな・・・と思った出来事でした。
さて今日も、めるへんの庭では、先生と子ども達が小さな命をみつけましたよ。
アゲハチョウの幼虫です♪ 園長 伊勢千春