園長先生のつぶやき

心に思うこと、その時感じたことをそのまま綴る、園長の徒然日記です。

2025年08月29日

夏休みが終わり二学期が始まりました。

朝晩の空気が少しずつ秋に向かっていると感じますが、それでも日中はまだ暑い日がしばらく続きそうですね。熱中症にも引き続き気をつけながら安全に楽しく園生活が送れるよう二学期もサポートしていきます。

さて、ここ数年、毎年夏休み中に何かしらの工事を入れている当園ですが、今年は保育室1,2Fの廊下や2F保育室と階段の床、1Fと階段の壁等の補修を行いました。子ども達にとっても保育する先生達にとっても安心できる環境の中で生活してほしいという思いで、なかなか一気にとはいきませんが、計画を立てながら改修工事を進めています。

 

さて、普段は先生達も毎日忙しく、なかなか休みも取れないような状況のため、夏休みは各自リフレッシュしたり休息にあてたりすることができました。しかし、一年の中で一番研修会が集中して多いのが夏休みです。研修会もかなりの数があり、それぞれ分かれて研修会に参加してきました。そしてその学びを皆で共有するための伝講会も行いました。先生達がたくさんの研修会に出て、それをまとめ、口頭発表や紙面発表してくれたので、新たな学びがたくさんできました。幼児教育の考え方や子ども達への接し方等々古い情報をアップデートしていくことはとても大事なことですし、同じような研修テーマであっても、講師が違えば違う視点からまた物事を見ることができます。今回の園内の伝講会を通して、ひとこと、やっぱり幼稚園教諭はいつまでも研鑽を続けなければならない職業だなと改めて思いました。そして、私自身もまだまだ勉強していかなければならないし、学びを深めたいなと思いました。

今年度は、先生達みんなで6月には加茂地区の地域の皆さんに混ぜていただいて救命救急の研修にも参加しました。AEDの使い方や止血法、蘇生法、喉に物が詰まってしまった時の対処法などを消防の方から学びました。

そして、夏休み最後には元警察官の方から防犯についての実技と講座を受けました。防犯研修では当園の園内外の環境を見ていただき、安全面で足りないところはないか、どのような面に配慮すべきかなどご教授いただきました。しかし、防犯カメラの数や位置、道路側の柵や隣接する公園につながる裏庭の人感センサーなどの整え、そして不審者が侵入しにくい看板設置等の抑止力につながる環境の整えなど、これだけしっかりやっているところはそうそうないとお褒めの言葉をいただきました。環境面ではお墨付きを頂き安心したところですが、やはり環境をいくら整えても、万が一の場合、子ども達の命を守るための対応をするのは私達です。そこで、講座を受け、実際さすまたを使ったり不審者対応のレクチャーを受けたりしました。忙しい毎日の中でも、このような学びを職員皆で行うことはとても大事なことです。救命救急も防犯講習も二年前に受けていましたが、大事なことは何度でも繰り返し習得することで、いざという時、行動にうつせるだろうと思っています。

リフレッシュもし、学びも深め、園舎内も改修し、新たな気持ちでまたスイッチを入れ直し、2学期も張り切って頑張ります。

 

 

園長   伊勢 千春

 

 

2025年07月18日

7月一週目の土曜日、親父の会主催のどろんこ大会、その名も「どろ博2025」が開催されました。大阪の万博をひねったネーミングであり、日本館(どろんこ相撲)、フランス館(どろんこ温泉)、アメリカ館(ウォータースライダー)等、各コーナー親父の会が吟味した(笑)コーナーが目白押し☆

しかし、当の子ども達は、???。 そりゃそうですよね(笑)。しかし、それで正解なのが親父の会☆

なぜなら子どもだけでなく、お父さん達も楽しむのが親父の会の趣旨だからです。ある意味どうでもよいような部分にこだわり(お父さん達ごめんなさい(-_-;))、会話も楽しく盛り上がるような、そんな会がめるへんの親父の会です。

当日は160名のお父さま方の参加がありましたが、たくさんの子ども達と泥だらけになってあそんでくれました。そして、とろとろのいい塩梅の泥が今年は出来上がり、泥んこ大会には最適のお天気の中、楽しめた一日でした。

あそびの会後の反省会でお父さんたちが

「去年の娘(年少)は泣いていてあそべていなかったけれど、今年は娘の楽しそうにあそんでいる姿を見られて嬉しかった」

「最初はどろんこに自分自身も抵抗があったが、子ども達とあそんでいるうちに泥への抵抗が全くなくなり楽しめた」

「今年で卒園。こんなに泥と触れ合う経験はもう二度とないかもしれないと思ったら、子ども達と泥であそぶことがいとおしくなった」

などなどたくさん感想をいただきました。準備から片付けまでこの日いらしてくれたお父さんたちが全て行って下さり我が子以外の子ども達ともたくさん遊んでくださいました。

 

そして一学期も今日で終了。

サークルのお母さん達の保育への参加や広報さん達作成の「先生紹介」、今週はボランティアさんによる清掃活動もありました。本当にめるへんの保護者の皆さんは率先して子ども達のため、幼稚園のためにイキイキ活動し、支えて下さっています。

 

さて明日明後日は一大イベント年長児のお泊り保育があります。

昨日園に隣接する公園で熊の目撃情報が入り対応に追われた一日になりましたが、お泊り保育も一部内容を変更して予定通り行う予定です。そして、念には念を…ということで、園庭での活動「夏の夕べ」の環境も長命館公園からの侵入を防ぐための環境や警備強化の人員配置など、急遽対策を練って明日に備えています。

IMG_7643IMG_7646

親父の会からも、警備協力をして下さるパパさん達が急遽力を貸してくださることに(涙)!

明日のお泊り保育は、先生達も皆4月からコツコツと準備に取り掛かり、年長のみの行事ではあるものの、教職員全員の力で作り上げてきました。だから年長さんにも楽しんでほしい。そして幼稚園に皆で泊まるという、非日常のスペシャルな体験を味わってほしい。そう願っています。

大好きな家族から離れてのお泊りとはなりますが、こういうひとつひとつの経験が子ども達を成長させ、大きくしてくれると信じています。

 

 

園長   伊勢 千春

2025年06月24日

先日、ある企業のCEO等が今後の会社のビジョンを語っている記事を見ました。

そこには、この会社は創設以来、積み上げ式ではなく、まずは大きなビジョンをピラミッドの一番上に掲げ、そのビジョンを達成するために何が必要か逆算の方式で物事を考えてきたという内容が載っていました。その構想は何十年後の未来を見据えた長期的なもので、こんな何十年後の未来を見据えたビジョンの計画を立てていくなんて、さすが大企業だなと思いながらその記事を読みました。

私達も毎年園内研究を行っており、まずは大きな今年度の研究テーマをひとつ設けています。それは、一年間をかけてこんなこども達に育ってほしいという大きな願いですが、そういう子ども達に育つためには、どんな活動、どんな環境、どんな配慮をしていけばよいかという具体的な方法を考え、試し、時に会議で意見交換をしながら軌道修正をし、再度実践していくというものです。その方法はやはり、上記に挙げた積み上げ式とは逆の考え方と一緒だなと思っていました。

ただ、ここでふと、子どもに関わる私たちの日々の仕事や、子育てにおいては、積み上げ式の方法も大事だと思いました。

日々の小さな足元の問題、例えば、トイレトレーニングや生活習慣の確立などは毎日毎日根気よく、しかも少しずつ子どもと向き合っていかなければならない問題です。そんな日々の積み重ねがあってこそ、初めてオムツが取れたり着替えが自分でできるようになったりしていくからです。

以前、中学校の数学の先生が生徒に向けて、「数学の世界はひとつの点から始まっている。その点をたくさん積み重ねていくと一本の線になり、またその線をたくさん積み重ねていくとひとつの辺になる。その辺をまた積み重ねていって初めて立方体の形になる。だからはじめから形(結果)だけを求めようとしても、日々の小さな点の積み重ねがなければ形は作れない。みんなのやっている日々の勉強や部活動はそのような積み重ねがあってこそ、初めて形になるんだよ。」というお話をされていました。生徒たちにどう響いたかは分かりませんが、私の心にはとても深く刺さりました。私たちの仕事もまさにそうだと思ったからです。そして子育ても一緒だなと。

日々仕事で子ども達に向き合っていることも、子育てもまさに点の積み重ねだと思います。どんな子だって着替えやオムツも少しずつの毎日の積み重ねがあってこそ、大人の手を借りずに自分でできるようになるわけで、ある日突然急にできるものではありません。できるまでのスピードはひとりひとり様々ですが、そう考えると、積み上げ方式もとても大事なことだと思いました。

冒頭にあげた、目標達成のための逆算の考え方と積み上げ方式の考え方は上から下に降りる考え方と下から上に積み上げていく、簡単に言えば真逆の法則のようではあるものの、どちらも目的に向かうための手段であり、どちらの考え方も納得できます。そして、真逆の方式なのに目標達成を目指す姿勢は同じであり、面白いなと感じました。その話を家族と共有したくて話したら「おまえそんなこと考えてるんだな。俺なんてそんなこと考えたこともないわ」と軽くあしらわれてしまいました(笑)💦

軽くあしらわれてしまった残念な話ではありましたが、自分の中では結果どちらも大事であり、しっかり目標を定めてひとつひとつ具現化しながら着実に目標に向かっていきたいなと思いました。その目標の大きさは大小あって当然ですが、子育てにおいて、特に生活習慣などにおいてはこれができるようになってほしいという小さな目標に向かって日々コツコツと…となるのでしょう。しかし、その小さな目標達成をさらに積み重ねていけば子どもの自立にもつながりますね。

子育てはまさに点の積み重ね。

いつか立派な立方体の形になる日に想いを馳せて、子育てに一緒に向き合っていきましょう。

 

園長   伊勢 千春

 

2025年05月12日

5月になり、幼稚園の慣らし保育期間も終了。先週から通常保育時間が始まりました。子ども達の行動範囲やあそびの幅も、少しずつ広がってきているようです。

園生活ではのびのびと楽しく生活してほしいですが、そのためには、安全に生活することや危険から身を守ることもとても大事になってきます。そこで、4月中に園庭でのあそび方や遊具の使い方の全体指導をしたり、クラス毎園内探検をしたりしながら、園生活の『ルール』をみんなで確認。そんな中、先週、今年度第一回目の避難訓練も行いました。

非常ベルはどんな時に鳴るのか、火事や地震が起きた時はどんな風に行動すればいいのか、万が一に備えて普段からどのようなことに気を付けていれば良いのか等、これから年6回にわたって子ども達に指導していく予定です。

毎年、非常ベルの音の大きさにビックリしたり、普段優しい先生がいつもとは違う真剣な、そして少々怖い表情になったりするため、いつもの空気とどこかちょっと違うことを察し、避難する時に泣き出す子もいます。以前、「避難訓練を怖がっているので今日は欠席させます。」という連絡が入ったことがあります。子どもにかわいそうな思いをさせたくない、怖がらせたくないという親の想いからだったのだろうと思います。しかし、『子どもを守る』ことが私達大人の責任であり使命であるならば、どのように子どもを守るのか…一歩間違えてしまうと、本当に必要な子どもへの教えの機会を奪ってしまう事になってしまうかもしれません。子ども達にとっても教師にとっても普段の楽しい幼稚園の雰囲気とは違う、ピリッとした空気に包まれる訓練ではありますが、その空気もとても大事な経験。そして、繰り返し訓練したり練習したりしていくことがとても大切であり、それを積み重ねていくことで、ゆくゆくは自分の命は自分で守るという姿につながっていってほしいと願っています。

そんな想いを持って教育に当たっておりますが、今年3月に卒園した現在一年生の子ども達から幼稚園を巣立つ時、メッセージカードをたくさんもらいました。楽しかったことや嬉しかったこと、面白かったことやありがとうの気持ちなど、ひとりひとりの想いの詰まったメッセージカードでした。そのメッセージカードを読んで、驚いたことがありました。

それは、メッセージの中に

「えんちょうせんせい、いつもみんなのことをみまもってくれてありがとう」

「いつもめるへんをまもってくれてありがとう」

「いつもだいじなことをおしえてくれてありがとう」

「ひなんくんれんでまもってくれてありがとう」

これらのメッセージがたくさん寄せられていたことでした。一人や二人ではなく数多くの子ども達からこのようなメッセージをもらい、正直とても驚きました。

大事なことはちゃんと伝わっていたんだ、子どもたちひとりひとりの小さな胸にちゃんと届いていたんだ…そう思ったら、胸がいっぱいになりました。

こんなに小さな子ども達にも、私たちの心からの想いは伝わるのですね。そして、どんなことが大事なことなのかもしっかり伝わるものなのですね。だから私たち大人が、本気で子ども達に向き合えば、楽しいことも、大事なことも、一緒に共有できるということに改めて気づかされました。こんなふうにしっかり向き合える子ども達の心を、また今年も一年かけて大事に育てていけたらと思っています。

IMG_7296    園長    伊勢 千春

2025年05月07日

ーご褒美はー

降園後、おうちの方のお迎えを待つ時間。

お迎えを待つ子どもがあと残すところ3人となったところで、年長のHちゃんが「園長先生、みんなでじゃんけんしない?」と提案してきました。そこで、お迎えを待っていたHちゃんを含む3人の子ども達と私との4人でじゃんけん遊びをすることに。

するとHちゃんが、「じゃあさ、一番じゃんけんに勝った王様は園長先生からムギューっのプレゼントをしてもらえるっていうのはどう?」と他の二人に聞くと、「いいねー♪」と大盛り上がり。「もし、園長先生が勝ったらみんなからギューをしてもらえるっていうことね♪」ということで、皆でじゃんけん対決が始まりました。何度もやっているうちに、じゃんけん勝者の王様には、私からのご褒美のムギューではなく、勝者を真ん中に、みんなからのムギューのご褒美になり、押し合いへし合いでまるでおしくらまんじゅうのよう。それが皆楽しかったらしく、何度も何度もじゃんけん対決が繰り返されたのでした。

じゃんけんに勝ったご褒美が、周りからのムギューっと抱きしめられるプレゼントだなんて、なんてかわいらしい発想なんでしょう。そしてそれにノリノリになり、何度も何度も繰り返し遊ぶ子ども達。私がじゃんけん勝者になった時には、3人の子ども達が私を取り囲んで、ギューっとしてくれました♡

これだから幼稚園の先生はやめられないのです。

 

 

ー名探偵の探し物ー

ある日の朝。「園長先生、虫メガネ貸してください。」と年長のK君が私のところにやってきました。

私「K君、虫探しするの?」と聞くと

K君「違うよ。僕はね、名探偵なんだ。ちょっとなくしちゃったものがあるからそれを探しに行くんだ。」

私「失くしちゃったもの?じゃあ、虫メガネで見つかるといいね」

K君「うん。じゃあ探しに行ってくる!」 と飛び出していきました。

その後、私も外に出て登園してくる子ども達のお出迎えをしながら、園庭にふと目をやると、K君がまさにアニメにでも出てくるかのような探偵ぶり。虫メガネを片手に園庭やタイヤ階段の草むら、砂場や砂場のシャベル入れなど、くまなく入念に探している姿がありました。

あんなにあちこち探していて、まだ探しものが見つからないんだな~…と思っていると、少ししてから「園長先生!虫メガネ貸してくれてありがとうございました。」と、K君がやってきました。

私「あ、K君。どういたしまして。ところで、K君。あちこち一生懸命虫メガネで探していたみたいだけど、探し物は見つかったの?」

K君「うん。もう見つかったよ。」

私「そっかーよかったよかった。ところで探し物って何だったの?」

K君「こころ(心)だよ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?!・・・・・・・・・・・・・心?!?!

私「K…K君。それはめちゃくちゃ大事なものだもんね。見つかって本当によかった、よかった!」

と心の底から思い、声をかけたのでした(笑)。いつどこでどうして失くしたのか。名探偵になり

失くした心を虫メガネで見つけ出したK君。本当に良かったです(笑)。

 

時として、子どもは大人の想像をはるかに超えてくるような、豊かな想像力や発想、表現力を発揮します。一見見れば、虫探しかキラキラ光る小石のダイヤモンド探し、はたまた虫メガネでいろいろなものを見ながら探偵ごっこ…のように見えますが、実は本当に探していたものとは…。

こどもひとりひとりが何を考えどんなことを思い、毎日を過ごしているのか。表面からは計り知れないことがまだまだたくさんあるものだなーと思わされたひとときでした。

それにしてもK君、なんて発想力が豊かなんでしょう。まさか探し物が物でなかったとは!

 

 

園長    伊勢 千春

© めるへんの森幼稚園. All Rights Reserved.