園長先生のつぶやき

心に思うこと、その時感じたことをそのまま綴る、園長の徒然日記です。

2019年06月17日

めるへんでは、子ども達が登園してくる前に『朝の打ち合わせ』の時間を設けています。クラス担任が子どもの様子や全体に知らせておいた方がよいこと、行事等の各担当者が連絡しておきたいことなど、どこの職場でも行っているようなものです。

テレビなどでたまに「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」「かしこまりました」など職場のみんなで合わせながら声出ししているのを見かけることがあるので、きっと事務的な確認の他に朝の打ち合わせにはプラスαしながら一日の始まりを迎えているところもあるかもしれませんね。

私達の園でもこのプラスαを取り入れています。

もともとは数年前、「朝に伏し目がちではじまるのってなんだか寂しいよね」とか「みんなと目と目を合わせて朝の会ができると気持ちも自然に前向きになるよね」などの声があがり、「じゃあ朝の打ち合わせ時はみんな顔をあげて目を合わせてみようか♪」というところからスタートしました。そのうち、朝の打ち合わせ終了時に「今日も一日よろしくお願いします」というひとことで締めていたものを、このように決められたひとことにせず、朝の会を仕切る日直が締めたいひとことを言う方がいいのでは…ということになりました。

「今日も一日」と日直が言ったら「頑張るぞー!」とみんなで言ったり、「今日も」と日直が言ったら「笑顔でー!」と頬に手を当てたりなど、日直の誘導に従って朝の打ち合わせの締めをいろいろなバージョンで行っています。たまに日直の誘導により芸人Mさんの「やるぞ、やるぞ、やるぞー!」とみんなで声高らかに発することもあり、朝から笑いが絶えません。

その締めのかけ声の前に、日直が最近感じたことやみんなに伝えたいエピソードなど、ちょっとしたひとことを話してから締めのかけ声にいきますが、この日直のひとことコメントが私にとっては密かな楽しみの一つになっています♡自画自賛になってしまいますが(笑)、めるへんの先生達のこの朝のひとことは、個性豊かでどれも聞いていて楽しかったりなるほどと感心したり。

子どもから気づかされたこと、観てきた映画の感想、家族のこと、旅行に行ってきた話、読んだ本の中から感動した言葉、英会話に使える言葉を日直に続き復唱などなど(笑)。本当に様々です。とにかく自分がその時みんなに伝えたいことをだいたい30秒程度のごく短い時間ですが伝えてくれており、それがまた、ジャンルも切り口も視点もそれぞれの先生によって違うのでとても面白いです。時には笑いが起こったり、知らなかった情報などが入ると「へぇ~」と納得したり。先生達ひとりひとりの旬なことや今はまっている事、考えている事や興味のあることなどそれぞれの個性が出ています♡こんな朝のスタートを切り、子ども達を出迎える準備に入っています。

 

ちなみに私が新任の時から初代園長の時代はずっと、この朝の会で日直が3分間スピーチなるものを行うことが通例でした。内容は現在朝の会で行なっているような、自分が今興味あるものや考えている事、周りに伝えたいことを題材とし、それを原稿におこして当日はその原稿は見ずに暗記をして発表するというものでした。それを職員全員の前で行う訳ですから、緊張もするしとにかく大変でした。初代園長は日本語の使い方にも大変厳しい先生でしたから、話し言葉になってはいけなかったし、原稿通りにしかも原稿を見ずに話さなければならないという、今考えたらとてつもなく恐ろしい朝の会でした(笑)。日直は10日に一度くらいのペースでまわってきますから一ヶ月に2回程度まわってきていました。そして一年の最後には先生達の3分間スピーチの原稿を冊子にまとめて完成という具合でした。

きっと園長の狙いは、人前で話す訓練、しっかり自分の言いたいことを文章化して人にものを伝える練習、そして最後にはそれをきちっと「原稿」という形で文章表現し整理することなど、そのような力を教師にも身に着けつけさせたかったのではないかと思います。スピーチが終わっても油断はできず(笑)、今日のスピーチがどうだったか園長先生から話をされドキドキでした。例えば早口になりすぎていた、もっと間をとりながら話した方が良い、文章の組み立てはこの方がより相手に伝わるのでは等々…。そして原稿印刷に入る前には園長から原稿の添削があり、文章表現の仕方や言葉の選び方を含めて指導され、ようやく印刷して完了となるわけです。今だからこっそり言えますが、これは相当苦痛でしたし、「日直よ~、頼む!まわってこないでくれ~!!!」というのが当時の先生達みんなの本心だったと思いますし、少なからず私はそうでした(笑)。しかし、今思えば、いい意味で幼稚園教諭としてこのように鍛えられてきたからこそ今があるのだと思います。今の自分の踏んばる力やものの考え方などもこういう時代があったからこそ身についたものが大きいと思っているので、そんな時代にここで勤めていられたことにも感謝しています。

今の朝の打ち合わせのスタイルは、一日の始まりを笑顔で、そして前向きな気持ちで始められるという良さと、先生達ひとりひとりの個性や考えが垣間見られるので一緒に働く仲間をより知ることができるので、このスタイルは続いていけばいいなーと思っています。

さて、明日はどんな話が聞けるかな♡♡♡

 

 

園長    伊勢 千春

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