園長先生のつぶやき

心に思うこと、その時感じたことをそのまま綴る、園長の徒然日記です。

2019年05月21日

先週、春の歩き遠足がありました。

お天気は最高。晴天で風もあり、心地よい気候の中歩くことができました。

場所は三学年とも隣の風の子公園でしたが、今の時期のこの学年ならこの距離は歩けるという目安を各学年ごとに立てて、ルート決定しました。

園だよりや遠足だよりなどでも各家庭に呼びかけをし、自分の荷物は自分で持たせてほしいこと、途中抱っこを求めてきたり、泣いたりしてもすぐに子どもの要求に応えてしまわず、頑張る励ましをしてほしいことなどを打ち出してきました。年少さんはちらほら泣いたりぐずったり抱っこをせがんだりする姿が例年と同じように見受けられました。それぞれの頑張る力はこれからグングン伸びていくわけですから、そんな姿はあって当たり前だと思います。私もあちこちのコースを周りながら様子をみたり、時に励ましたりしていましたが、保護者の皆さんが園で打ち出した内容をよく理解し子どもに寄り添って下さっていたなーという感想を持ちました。この一回の歩き遠足で子ども達の頑張る力が育つわけではありませんが、ひとつのきっかけとして、そして頑張れた!歩けた!というひとつの達成感として子どもに残れば次につながるはずです。そんな小さな自信や達成感をひとつひとつ積み重ねていけばいつか大きな形になると思います。

大事なのはそれができた時や頑張れた後にその姿勢をたくさん褒めてあげることだと思います。誰かに褒められたら、認められたら、それが大好きなおうちの人にだったら…と想像すると、子ども達がどんな表情になり、どんな心の動きがあり満たされるか。そんな想像をするとたくさん認めてあげたくなりますね。ただ「頑張れ頑張れ」と背中を押すだけでなく、やれたときには思う存分認めてあげられたらと思います。

 

話は少しそれますが、4才児を対象に我慢強さの実験を行った記事を最近読みました。『マシュマロテスト』という実験で、4歳を対象にマシュマロが一個のった皿を部屋の中に置き、大人は部屋を出て、15分間食べずに我慢できたらもう一個あげるという内容です。この実験で成功したのは3分の1しかいなかったとのこと。さらに我慢できた子とできなかった子のその後にどのような違いが生まれるのか生まれないのか継続して追跡調査をしていくと、我慢できた子達の方がしっかりと成績が伸び良好な人間関係を築けているとの結果が出ていたそうです。さらに興味深いことは、こうした我慢強さなどの非認知的能力は生まれつきのものではなく、生活の中で学習によって身についたり高まったりするとのこと。ですから、大人になって禁煙やダイエットにチャレンジしようとして途中でやめてしまったとしても、その人の意志が弱かった、我慢強さが足りなかったというより、 『幼いころから我慢の仕方を学んでこなかった』 ということになるという内容でした。

昨年の誕生会の講話でも話をさせて頂きましたが、私が読んだ本によれば 『考える力』 も、能力ではなく習慣によって身につくと書かれておりました。『考える力』も『我慢強さ』も能力や生まれつきでないならば、子ども達を取り巻く私達大人が、考える機会をたくさん与えたり我慢の仕方を学んだりできる環境を意識して創りだすことが大事なのだろうと思います。ということは裏を返せば、大人が先に答えを出してしまって子どもの考える機会を奪ってはいけないし、泣いているからとかかわいそうだからといって子どもに我慢をさせる機会を大人が奪ってしまってはいけないのです。もちろん時と場合によりますし、年齢によっても度合いが違いますからその塩梅を探りながら…ということが必要になってくるのかもしれませんね。

そんな意識を少しでも持って園と家庭とで子ども達に向き合っていけたなら、やがて大きくなった時の子どもひとりひとりの力として備わっていくはずです。そんな力が備わっていくように共に協力しながら子ども達に関わっていきたいと思っています。

 

さて話は遠足に戻りますが、子ども達の列を待つ間、めるへんのどんぐりの里を見てきました☆

時々このHPの『園長室』に登場している、風の子公園のどんぐりの木です。

10年以上前に当時在園していた子ども達が風の子公園で拾ったどんぐりを黒ポットで育て、育った苗木をまた風の子公園に戻したものです。風の子に戻したのが平成20年です。その時の苗木はまだ15㎝~30cmだったのに、今ではおそらく10mを超えているものも!2㎝にも満たないような小さな小さなどんぐりがここまで成長したのです。この話をするたびに私はひとり感動しています。そしてこのどんぐりの成長とめるへんの子ども達の成長をいつもいつも重ねてしまいます。

雨風にも、そして冬の寒さや夏の暑さにもさらされながら、こんなにも成長しているどんぐりの木のように、時に気持ちよく、時に踏んばりながら子ども達にも成長していってほしいと願っています。

 

 

園長    伊勢 千春

 

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