園長先生のつぶやき

心に思うこと、その時感じたことをそのまま綴る、園長の徒然日記です。

2025年11月11日

朝晩はだいぶ気温も下がってきて、街路樹の木々の葉も綺麗な黄色やオレンジ、赤に色づいています。しかし最近は冷たい風の強い日が多く、葉が一気に舞い上がり、短い秋が過ぎ去ろうとしています。

秋といえば運動の秋、食欲の秋、そして読書の秋。

そんなわけで、先日、幼稚園向けの冊子を読んでいると、メンタルコーチをしている方の記事を目にし、その中で興味深い記事がありました。それは、『人の脳は問いかけた通りに答えを出してくる性質がある』というものでした。

例えば、野球の試合で何度もバントのミスをしてしまったときに、「何でうまくできなかったのか」と問いかけると、脳は問いかけ通りに答えを出そうとするため、「できない理由」を返してくるのだそうです。「バットのヘッドが下がっているから」「しっかりバットを握っていないから」「怖がっているから」等できない理由ばかりを並べてくるとのこと。

しかしこれを、「どうすればうまくバントができるか」という問いかけにしてみると、脳は「成功するための方法」を返してくるそうです。「バットのヘッドを上げるとよい」「勇気をもって一歩足を踏み出す」等…。これらの答えが正しいかどうかは別にして、このように成功する方法を考えようと脳が働くのだそうです。この問いかけは仕事においてもとても有効なようで、「プレゼンを成功させるためにはどうすればよいか」と問いかけると、成功する前提で脳が考え始めるのだそうです。そのように、自分を信頼できる、つまり自信をつけるには「できない」ところではなく、「できる」ところにスポットライトを当てていくことが大事だということでした。

たまたま時を同じくして、一般企業の販売に携わる室長さんの記事を目にしました。その方の若い頃は店舗勤務だったそうですが、店舗時代には「できない理由」ではなく「これならできます」をお客様に提案する「ノーと言わない接客」を大切にしていたとのことでした。ちょうど先日ある業者さんとご縁があって話をする機会がありましたが、その会社の社長さんも「自分の会社が携わるならば、どうすれば相手のお困りごとが解決できるかを第一に考えて、「できない」と言わずにできる方法を模索するようにしている」と話されていました。できそうで、なかなか難しいことだなーと思いながら、では自分ならば…と置き換えて自己を顧みていたとこでした。

そのような考え方で脳に問いかければ、本当にできるかどうかは別として、きっとできるための方法や手段が自然と導き出されるのだろうと納得しました。

 

過去に読んだ子育て教本にも似たようなことが書いてありました。

子どもに言葉をかける際、「牛乳を飲まないと大きくなれないよ」よりも「牛乳を飲むとパパみたいに大きくなれるよ」とか「緑の野菜を食べないと体が強くなれないよ」よりも「緑の野菜を食べると元気パワーがモリモリ出てくるよ」、「早く寝ないと朝起きられないよ」よりも「早く寝ると朝気持ちよく起きられるよ」という言い方にしたほうが子どもに与える影響が大きく変わってくるという内容でした。これは血液型ではないから、問いかける大人側の心がけ次第でA型の物言いだった人がB型の物の伝え方にかえることができるというものでした。

子どもにかかわる私たち大人は、特に子どもたちへの声掛けには注意していかないといけませんね。

「なんで○○はいつもこうなの⁈」と子どもに問いかけたら、子どもの脳はなぜできないのだろう…ぼくがこうだからかな、ここがだめだからかな…ときっとダメな理由を探してしまうでしょう。それを繰り返していたら、自己肯定感なんて存在しなくなるかもしれません。

子育てにおいても仕事においても、すべては心がけ次第。難しいことですが、意識して生活したいと思った秋の夜長です。

 

 

園長   伊勢 千春

 

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