2025年01月27日
先週から始まった劇あそび旬間。劇ごっこの世界でとことんあそぶ二週間です。
これは、私が担任時代からずーっと続いている教育活動のひとつで、めるへんこだわりの教育活動です。
皆さんに馴染みのある『劇』とは全く違う性質で、セリフもなければ台本もない正真正銘のオリジナルストーリーがクラス毎展開されていきます。
クラスで読んでいる絵本や子ども達のお気に入りのお話がモチーフになっていることもあれば、日頃から子ども達に人気のお店やさんごっこやお母さんごっこからあそびが発展していくこともあり、どんなふうに始まりどんなふうに物語が進んでいくのかは、子ども達のひらめき次第☆いつでもだれでもが思ったことや想像したことをつぶやいていいし、ひらめきや発想を表現していいのが劇あそびです。ですから間違いや失敗もなく、みんなが正解なのです。
どうしても『劇』だとセリフを覚え、立ち位置を考え、決められた中で進めていかねばなりません。しかし劇あそびにはそうした縛りがないため、想像力や創意工夫、自分の思ったことや考えたことを言葉でいつでも発していいという自由さがあります。自分がなりたい役になったりなりたい役がその日毎に変わったりすることも、もちろんOKなのです。
私が担任時代も、例えば桃太郎のお話がベースになった劇ごっこをした年がありましたが、桃ではなく、メロンから生まれた(という設定の)メロン太郎、イチゴから生まれた(という設定の)イチゴ太郎になる子が現れたり、桃太郎のお供には、サル、キジ、犬ではなく猫になって猫の爪でやっつけると言って猫になる子、恐竜になって鬼を威嚇する子、はたまた薬屋さんになって眠り薬を色水などで調合し、鬼に飲ませる作戦を立てる子など、本当に大人の頭では想像もつかないような面白い発想がたくさん子ども達からあがりました。本当の桃太郎のお話では「戦う」ことで鬼退治をしますが、劇あそびでは、皆で作戦を練って、眠り薬を使ったり、鬼にクイズを出してクイズに正解したらお宝を一つ返してもらうなど、鬼と交渉する頭脳派が現れたり(笑)。クイズひとつをとっても、どんなクイズを出すかクイズの内容を考えるために鬼にばれないよう動物達でこっそり集まってヒソヒソ作戦会議をしたり、その間、鬼の子ども達は動物が来てもすぐに入ってこられないような頑丈な鬼の城を机や椅子などで作ったり。この劇あそびの二週間は園全体が劇ごっこなので、他クラスのあそびや仕掛けが我がクラスに大いに影響することも多々ありました。それが良い方向に行くこともあれば予期せぬ方向に急展開していくこともあり、先生達のアンテナは相当あちこちに張り巡らせておかなければならないという状況に(笑)。本当に予想もしない方向に事が進んでいくこともしばしばなため、子ども達の発想には油断ができません(笑)。自分もそうだったように、きっと今、担任達は子ども達の無限の発想力や想像力の面白さを味わいながらも、十人十色の自由な発想を、どうクラスで共有していくか四苦八苦していることと思います。
こんな遊びの進め方をしているので、劇の発表会ができません。ですから発表会のような見た目の華やかさや親としてのお楽しみの満足を味わっていただくのは難しいのが現実です(-_-;)。しかし、子どもファーストで考え、子どもの育ちに焦点を当てて考えれば、とても多くの育ちが生まれるのが劇あそびです。きっと家庭で劇ごっこの話が子どもから出ても、何のことだかちんぷんかんぷんだと思いますし、何か家で作っていきたいなど話が出ても、それが劇ごっこにどうつながっていくのか不明なことも多々あるかと思います。しかし、子どもの頭の中ではきっとつながっているはずです。ですから、しばし子ども達の少々不明な発言や想いにも寄り添っていただけると大変ありがたいです(笑)。
今朝、駐車場でお会いした年中K君のママからも「お休みのこの2日間もずっとキツネのお面をつけていました。」と聞きました。園が休みでもK君の頭の中はあそびが続いていたのでしょうね。
あと一週間。
子ども達には劇あそびの醍醐味を存分に味わってもらい、この2週間でグンと大きく育つ発想力や想像力、創造する力や表現力、工夫する力や思考力などたくさんの今育ってほしい子ども達の育ちに期待したいです。
園長 伊勢 千春