園長先生のつぶやき

心に思うこと、その時感じたことをそのまま綴る、園長の徒然日記です。

2026年01月23日

めるへん恒例の劇あそび旬間が始まり、年に一度の、先生たちが最も頭と体が疲れる二週間が始まりました(笑)。

「劇あそび」とはあまりなじみのない言葉だと思いますが、皆さんがよくご存じの「劇」とは全く異なるものです。

簡単に言えば、「劇」はストーリーが決まっていて、セリフや配役も決まっており、ステージで観客に見せるためのもの。だから、練習も必要になってきます。しかし「劇あそび」はストーリーも決まっていなければ、セリフや配役も決まっていません。子ども達と先生が一緒に作り上げていく「あそび」のため、誰に見せるわけでもなく、「練習」という概念は全くありません。

子ども達が大好きな絵本やお話がある程度モチーフになったり土台になったりする場合もあれば、クラスで盛り上がっているごっこあそび(お店やさんごっこやレストランごっこ、病院ごっこ等)が土台となってあそびが発展していく場合もあります。

いずれにせよ「劇あそび」という名の通り、「劇」の要素は入るため、ストーリーのようにその時の子ども達の発想や発言、アイディアで様々な方向に展開したり発展したりしていくのが「劇あそび」です。

劇あそびの最大の魅力は、このあそびの中には子ども達にとって「学びの要素」がとにかく盛りだくさんちりばめられているということです。

例えば、決まっていることを決められた通り表現するわけではないため、自由に「身体表現」をすることができたり、子ども達が自由にイメージを膨らませ、思いついたアイディアを伝えたりあそびに必要と思われる小道具などを好きなように工夫して作ったりすることができるので、「想像力」や「創造力」が育ちます。ですから、身体表現や言葉で伝える力、想像する力や創造する力、自ら考える力に友達とのコミュニケーション等々。挙げたらきりがないほどたくさんの育ちが劇あそびにはあるのです。

子ども達のその時の思い付きの発言や想像に、私たち教師がついていかなければならないので、子ども達もやらされている感覚や遊ばされている感覚はきっとないはずです。しかし、想像の世界をなかなか楽しむまでに時間のかかる子ももちろんいます。無理をせず、ひとりひとりのペースに合わせて頃合いを見ながら声をかけ、その子なりのかかわり方ができるよう教師も模索しています。最初は遊びには入らず、静観してみている子でも、皆が楽しそうにああだこうだ意見を出したりなりきったりしている姿を見ているうちに、「このほうがいいんじゃない?」とか「おなかすいてるなら僕がお団子作るよ」と粘土を持ち出してきて、いつのまにか自然と遊びの中に入っていて、気づけば、レストランの店員さんやお団子屋さんなどになっているのです。

そんな自然な流れの中で、子ども達がお話を作り上げていくのです。子ども達にとっては遊びを作っているとか進めているという概念はないと思います。しかしそんな学びをいつのまにかしているのです。私はそんな劇あそびが幼児期にとって、まさに理想の学びだと思っています。

ただし、大変なのは先生たち(笑)。いつどこでどんな発想が子ども達から出るかわからないし、今どんな風にお話が進んでいるのかを皆が共有しないと楽しめない子が出てきてしまうので、整理をし、みんなで「今日はこんなだったね」と共有する時間も必要です。しかしそんな時間もまた、人の話を聞く・見る・考える・想像する・そして次の日への意欲などにおいて学びの時間となるわけです。

もしかすると子ども達が帰宅してから今日あった遊びの出来事をお話しすることがあるかもしれません。そしてその話を聞いても、何がどうなっているのかさっぱりわからない…ということが多々あると思います(笑)。しかし子ども達のお話に耳を傾けてくださるだけで結構ですから、どうぞ聞いてあげてください。担任が発行するお便りでつながるところがいくつか出てきたらラッキーです(笑)。

かわいい衣装を身に着け、ステージ上でセリフを言う姿はお見せできませんが、劇あそびを通して子どもひとりひとりが様々な面において心が育っていることだけは、間違いなく自信をもって言えます。幼児期の子ども達の様々な心の育ちを考えた活動の一つである「劇あそび」。来週もどんな育ちがあるか、私も子ども達とかかわりながら体感していきたいと思います。

 

 

園長    伊勢 千春

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