2025年09月22日
私自身の子育てが終了してから早一年半。
子育て時代は目まぐるしく時が過ぎていき、特に子どもが小さい時は怒りんぼ母ちゃんになったりイライラ母ちゃんになったり。今思えばあんなことで怒らなくてもよかったのにと思うことが多々あり反省しています。一生懸命子育てに向き合おうとすればするほど上手くまわらなかったなと振り返っています。子育て中は自分の時間を確保するのはなかなか難しいですし、子ども中心の時間軸の中でその隙間に自分時間だったから、自分を見つめ直す心の余裕もなかったなと回想しています。それでも私自身の子育てスタイルは、基本的にほぼ放牧に近かったので、口うるさくいってやらせる…ではなく、「本人に任せる」というのがおおもとの考え方でした。いつか独り立ちした時に、自分の足でしっかり立ち、本人が困らないようにするために「自分で考える」「自分で選択する」「自分で言ったこと、決めたことなどへの小さな責任を持たせる」というスタンスを意識してきました。大人の指示に従って動けることは必要なことかもしれませんが、大人の(誰かの)指示がないと動けなかったり指示待ちの子どもになってしまったりしたのでは、いつか独り立ちする子どもの未来を考えた時にそれではだめだと思っていたからです。そして、小さい頃からの日々の積み重ねや成長するための土台作りが子どもにとっては何より大事なことを、長きにわたりこの職業に就いて実感していたからです。もちろん、本人から困っていることや悩んでいることがあればいつでも聞くよという、間口だけはだだっ広く開放しておきましたが(笑)。そのやり方は、今思えば我が子に事の決定や行動を任せるということになるので、イコール『子を信じる』ということにもつながっていきました。それでも日々の様々な小さい事柄においては反省の連続でしたが、このことだけは親として芯を最後まで通した子育てでした。
今の自分は、親としての大きな役割がなくなったという安堵感や子育ての気忙しさがなくなったからか、このところ幼稚園のママさんたちを見ていたり園に遊びに来てくれている子育て中のママさんたちを見ると、「みんな頑張っているな~これからが子育て本番だもんな~みんな子育て頑張ってー」と心の底からエールを送りたい気持ちに駆られます。それは、私自身も子育て時代の楽しさも苦しみもしっているから我がことのように思えるのかもしれません。そして子どもが小中高になっても子どもの年齢と共に親としての悩みや心配事、忙しさも変化するため、まだ親としての踏ん張りが必要なことを感じてきたからだと思います。
今の時代、SNSの普及により情報が溢れすぎていて、どの情報がいいのか戸惑うこともあるでしょう。特に初めての子どもだったり兄弟でも行動や性格が全然違っていたりすると、上の子では通用したのに下の子には通用しないということもあるでしょうし、何が正解かなど悩みは尽きないものだと思います。
しかし、私もこんなに長い間数えきれないほどの子ども達と関わってきたというのに、やっぱり我が子の子育てはダメ出し満載でした(笑)。幼稚園の子ども達になら『先生』としての目が第一になるので、「待つ」「見守る」「おおらかになる」「寄り添う」そして「考えてから言葉をかける」などができるのですが、我が子にはついつい感情が先走ってしまい、冷静な目で見ることが難しかったものです。
先日の未就園児のちびっこ向けあそびの会でも、パパたちが一緒に来ていた家庭が多かったですし、最近ではパパも育休を取得しているという声もだいぶ増えてきている印象を受けます。こうして一緒に子育てできる環境が少しずつ広がってきていることを大変喜ばしく思っています。しかしそれでもやはり子育てはママの比重が大きいでしょう。そこに仕事をしていたり兄弟がいたりなど様々な問題が付随してくると、さらにお母さんというのは本当に大変な役割を担っているなと感じます。だから私は子育て真っただ中のママ達のことを心の底からリスペクトしていますし、自然に応援したい気持ちになるのだと思います。
子育ては一人で考えていてもなかなか答えにたどり着かないものです。そして子育てに正解はない。なぜなら子どもひとりひとりの特性が違えば手立ての仕方もひとりひとり違うからです。だから溢れる情報がすべて正しいわけではなく、我が子にとってどんなやり方や声のかけ方がいいのかは『子どもをしっかり見つめる』ことから始まるような気がします。
娘が独り立ちする日、「ああもうこれで子育てが終わりなんだ」と思ったら急に寂しくなって涙があふれた子育て卒業組ですが、今子育て中の皆さんが少しでも何か悩みを抱えていたり困っていたりすることがあれば、一緒に手立てを考えていけたらと思っています。
一緒に子育てで迷い、一緒にその子に合う手立てを考え、一緒に子育ての楽しみを見いだしていけるような、そんなお手伝いができたらいいなーと思う今日この頃です。
園長 伊勢 千春