2025年05月07日
ーご褒美はー
降園後、おうちの方のお迎えを待つ時間。
お迎えを待つ子どもがあと残すところ3人となったところで、年長のHちゃんが「園長先生、みんなでじゃんけんしない?」と提案してきました。そこで、お迎えを待っていたHちゃんを含む3人の子ども達と私との4人でじゃんけん遊びをすることに。
するとHちゃんが、「じゃあさ、一番じゃんけんに勝った王様は園長先生からムギューっのプレゼントをしてもらえるっていうのはどう?」と他の二人に聞くと、「いいねー♪」と大盛り上がり。「もし、園長先生が勝ったらみんなからギューをしてもらえるっていうことね♪」ということで、皆でじゃんけん対決が始まりました。何度もやっているうちに、じゃんけん勝者の王様には、私からのご褒美のムギューではなく、勝者を真ん中に、みんなからのムギューのご褒美になり、押し合いへし合いでまるでおしくらまんじゅうのよう。それが皆楽しかったらしく、何度も何度もじゃんけん対決が繰り返されたのでした。
じゃんけんに勝ったご褒美が、周りからのムギューっと抱きしめられるプレゼントだなんて、なんてかわいらしい発想なんでしょう。そしてそれにノリノリになり、何度も何度も繰り返し遊ぶ子ども達。私がじゃんけん勝者になった時には、3人の子ども達が私を取り囲んで、ギューっとしてくれました♡
これだから幼稚園の先生はやめられないのです。
ー名探偵の探し物ー
ある日の朝。「園長先生、虫メガネ貸してください。」と年長のK君が私のところにやってきました。
私「K君、虫探しするの?」と聞くと
K君「違うよ。僕はね、名探偵なんだ。ちょっとなくしちゃったものがあるからそれを探しに行くんだ。」
私「失くしちゃったもの?じゃあ、虫メガネで見つかるといいね」
K君「うん。じゃあ探しに行ってくる!」 と飛び出していきました。
その後、私も外に出て登園してくる子ども達のお出迎えをしながら、園庭にふと目をやると、K君がまさにアニメにでも出てくるかのような探偵ぶり。虫メガネを片手に園庭やタイヤ階段の草むら、砂場や砂場のシャベル入れなど、くまなく入念に探している姿がありました。
あんなにあちこち探していて、まだ探しものが見つからないんだな~…と思っていると、少ししてから「園長先生!虫メガネ貸してくれてありがとうございました。」と、K君がやってきました。
私「あ、K君。どういたしまして。ところで、K君。あちこち一生懸命虫メガネで探していたみたいだけど、探し物は見つかったの?」
K君「うん。もう見つかったよ。」
私「そっかーよかったよかった。ところで探し物って何だったの?」
K君「こころ(心)だよ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?!・・・・・・・・・・・・・心?!?!
私「K…K君。それはめちゃくちゃ大事なものだもんね。見つかって本当によかった、よかった!」
と心の底から思い、声をかけたのでした(笑)。いつどこでどうして失くしたのか。名探偵になり
失くした心を虫メガネで見つけ出したK君。本当に良かったです(笑)。
時として、子どもは大人の想像をはるかに超えてくるような、豊かな想像力や発想、表現力を発揮します。一見見れば、虫探しかキラキラ光る小石のダイヤモンド探し、はたまた虫メガネでいろいろなものを見ながら探偵ごっこ…のように見えますが、実は本当に探していたものとは…。
こどもひとりひとりが何を考えどんなことを思い、毎日を過ごしているのか。表面からは計り知れないことがまだまだたくさんあるものだなーと思わされたひとときでした。
それにしてもK君、なんて発想力が豊かなんでしょう。まさか探し物が物でなかったとは!
園長 伊勢 千春