2024年12月04日
20年ほど前から当園の教育活動として組み込んでいる幼老交流。
子ども達のコミュニケーションの力を養うことは、言うまでもなくとても重要なことであり、様々な世代の人と交流することで得られる心の育ちは、活動を通してこれまでも積み重ねられてきたものがあると感じています。
ここ近年はコロナの影響を受け、高齢者施設側にとっても私達にとっても繊細な問題であったため、あえて距離をとり、関わりを控え、また交流できる時が来ることを心待ちにしていました。そして今年ついに復活!先日、年長2クラスが二日に分かれ近隣の高齢者施設に交流に行ってきました。
初めて行く場所、初めて出会う空気、初めて出会うおじいちゃんおばあちゃんたちに、最初は2クラスとも子ども達が緊張している様子だったそう。しかしお互い自己紹介をしたり幼稚園でおじいちゃんおばあちゃんに聞いてみたいことを考えていき、質問タイムを設けたりしたことで少しずつ緊張もほぐれていったようでした。中には「年は何歳ですか?」との子どもからの質問に「あら~レディにお歳聞くなんて~(笑)」とか、「今日の朝ご飯は何を食べてきましたか?」との子どもからの鋭い質問に「えーーーとーーーなんだったっけかなー、まいったなー(笑)」と笑いも溢れていた様子。楽しい歳の差ギャップを感じつつ、こうして徐々に緊張もほぐれていったようでした。
クリスマスも近いということで、園で折り紙サンタの作り方を習得していった子ども達。「おじいちゃんおばあちゃんに作り方を教えるんだ」と張り切った声もきこえていました。『一本橋こちょこちょ』や『げんこつやまのたぬきさん』を一緒に楽しんだり、肩もみサービスをする子がいたりとたくさんたくさん関われた時間でした。
最後は「夕焼け小焼け」や「あめふり」など、きっとおじいちゃんおばあちゃんたちも聴いたことがあるだろう童謡を披露したり運動会でやった組体操も披露したりして終了となりました。
「一本橋こちょこちょしたらおばあちゃんが笑ってたよ」
「逆に一本橋こちょこちょされてすっごくくすぐったかったよ~」
「歌をうたったら一緒に歌ってくれたよ」
「ぼくたちの歌を聴いて泣いているおじいちゃんがいたんだよ」
「いっぱい頭をなでてくれたんだよ」
など帰ってきた子ども達からもたくさんの声が聞こえてきました。
私は今回2日間とも所用があり残念ながら引率できませんでしたが、引率した学年主任や教務主任に感想を聞いてみると、「とにかくひとことでいうと感動しました」という声がかえってきました。そして子ども達も、おじいちゃんおばあちゃんも、施設のスタッフさんもみんなみんな笑顔だったと。それだけでもう私の心もほっかほかに温まり、本当に交流が復活できてよかったなーと思いました。子ども達がちゃんとおじいちゃんおばあちゃんが聞き取れるようにゆっくりお話ししている光景があったり、子ども達のやること全てにおじいちゃんおばあちゃんたちから「お~すごいね~」「かわいいね~」の声や拍手がたくさん溢れていたり…そんなあったかい空気が流れていた時間だったそうでした。
同じ世代の子ども達との横のつながりや世代を超えた縦のつながり。
どんなふうに関わったら相手が嬉しいのか悲しいのか、どんなふうに接したら心が伝わるのか。とても難しい事ではありますが、小さいうちから少しずつでも自分自身の心でそれらのことを感じ取りながらたくさんの人との関わりを学べたら、きっとこれから育っていく子ども達の心の根っこが温かく強いものになるだろうと思います。縦の糸と横の糸をつなぎ合わせていったら、子ども達の心も温かな衣で包まれるかもしれませんね。
次年度は年長児だけでなく、年中や年少児にもこのような交流の機会がもてるよう、施設の方や地域の方にもお声を積極的にかけ、計画的に進めていきたいと思っています。
園長 伊勢 千春