園長室から

母の失敗

先日、とある計画からダンスを習得しなければならない状況になりました。数年前にもそのような状況になったことがありましたが、その時はさぼってダンスを全く習得せず与えられたパート部分は適当にアドリブで踊ったということがありました。

今回も前回と同じように先生達で細かくパートを分けて踊ることになったため、今度こそちゃんとやるぞ…という思いで、先日猛特訓しました。

自宅に帰り様々なことを済ませ、ようやくダンス動画を見ながら練習を開始したのが夜の11時過ぎでした。しかしダンス曲のテンポが速い速い💦 たった数小節だけの踊りでしたが、スローバージョンのダンス動画をみたり細切れにしたりしながら四苦八苦しているところへ娘がバイトから帰宅。娘は高校時代ダンス部に所属しており全国大会の出場経験もあるため、私のドタバタを見てポイントを教えてくれたり私のダンスの動画をとって実際のダンス動画との違いを分かりやすく教えてくれたり。真冬の真夜中だというのに汗をかきながらの特訓となってしまいました(苦笑)。

たかが腕を伸ばすだけ、たかが膝を曲げるだけなのに娘はビシッと決まり様になっていましたが、私はというと…(ご想像にお任せします(笑))。しかし、娘は一切呆れたりイラついたりせず根気強く「もっとここをこうしたらさまになるよ」「そうそう、いいよいいよ。さっきよりだいぶいいよ」と夜中12時半頃まで練習に付き合ってくれました。「ごめんね。こんな夜中に…しかもこんなにもたついているのにイライラせず教えてくれて…(涙)」と伝えると「大丈夫だよ。ダンス部に入ってきたばかりの後輩の中にはリズム感がつかめない子もたくさんいたし、やったことないんだから当たり前だよ。」と(涙・涙・涙!)。

娘のその優しさに過去のダメな自分が鮮明によみがえってきました。

娘が小学生の頃。

ちょくちょく宿題や勉強のわからないところを教えてほしいと言われ、時間がある時は付き合っていました。ところが、どんどん進めていくうちに「なんでこんな簡単な問題もわからないの」「さっきも言ったよね。なのに何でできないの?」と問いただすと、そのたびに娘から返ってくる答えは「わからない」でした。「何でわからないの?!」という抽象的な問い詰めではなく「どこが分からない?」という、具体的な答えが返ってくるような言葉がけに変えていれば違っていたかもしれません。

今回、もし娘に「なんで何回もやっているのに踊れないの?!」「なんでこんなにゆっくりやってるのにできないの?!」と言われても、できないものはできないし、何でと聞かれても踊れないものは踊れず、私自身も「わからない」と言うしかなかったと思います。私だって早くマスターしたいし、こんな短いダンスパートなのにどうしてできないんだろうと自分のできなさにショックを受けたくらいですから…。

今思えば、当時の娘もこんな気持ちだったのだろうなーと今頃反省…なぜあの時気づかなかったんだろうと今頃後悔。しかしあの時はあの時で必死で子育てをしていて、そんな質問をされたところで「わからない」としか言いようのない娘(相手)の気持ちを全く想像していないダメ母ちゃんの典型でした。

「I go to by bus」 を「アイゴートゥバイ ブス」と呼んで 「あんた…バスブスって…」と吹き出してしまったり、小数点の問題に「何でここに ,(点)がくるの?」と聞くと「だってさっきは左側に付けたから今度は右がいいかなと思って」と好きなところに小数点をつける娘に「点は好きなところに付けるもんじゃないの!なに授業聞いてるの」と頭ごなしに怒ったり…。子育て真っただ中の時は、気持ちにゆとりがなく、今思えばこんなことくらいかわいいもんだと思えるしそのくらい愛嬌愛嬌とも思えます。子どものために必死に教えようとすればするほど母である自分自身にも余裕がなくなり余計子どもの気持ちはギューッと縮こまっていたかもしれません。何事においても一生懸命向き合うことは大事ですが、時に一生懸命な子育てが子どもを追い込むことになるのかもしれません。子どもと向き合う時大事なのは大人側の心のゆとりだと今は思えます。今回自分が『教えられる立場』になり、心の底からそう思いました。

幼稚園の教育においてもそれは同じで、『指導しなくては』『ここまでやらせなければ』『しっかり教えないと』と一生懸命になりすぎる保育は逆に子どもの心を遠ざけます。子どものやる気も伸ばしつつ出来る自信をつけさせていけるようなかかわり方のちょうどいい塩梅を見つけるのはなかなか難しいものです。私も若い頃は一生懸命になりすぎる保育になっていなかったか今では思い出せませんが、私達教員も『心のゆとり』を持ちメリハリをつけながら子ども達に向き合っていきたいと思います。

 

さてさてダンスの特訓の成果は!!! というと~

完璧に仕上がりました☆ 周りからも高評価!

しかし被り物を身に付けダンスをすることになり、私はインコの被り物を被りK先生が作ってくれたみごとなインコの羽を両腕に付けた瞬間から、もう心は人間ではなくインコになってしまいました。ついには完璧にマスターした踊りは姿を消し、ダンス曲に合わせ自由に飛び回って録画終了となりました(笑)。

娘に一連の流れを報告し、せっかくダンスを教えてもらったのに申し訳ない気持ちを伝えると「やっぱりね…想像できるわ。だってママだもん」とひとこと笑い飛ばし、私の性質をよーく理解している発言(笑)。娘の方が私よりもはるかに心にゆとりのある大人の対応でした(反省…)。

 

 

園長    伊勢 千春

 


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